フィルタリングの抜け穴 後編/データで読み解く、子どもとスマホ【第16回】
いまどきの家電はネットにつながるのは当たり前!? 見えないフィルタリングの穴、あの家電と子どもの関係を読み解きます。
フィルタリング率、最下位はあの家電
さて、同じ内閣府の調査で、フィルタリング率が最下位だったインターネット接続機器はなんだと思いますか?
答えは「インターネット接続テレビ」です。
では、インターネット接続テレビについて、内閣府の「青少年のインターネット利用環境実態調査」(平成27年度)※1でみていきましょう。
子どもの「インターネット接続テレビ」の利用率(単純に機器を使っているかどうかの割合)は4.7%と多くはありませんが、インターネットを「使っている」率は51.8%で、前年度より8.6 ポイント増加しています。
では、フィルタリング率はいうと、わずか4.5%。ダントツの最下位です。
現役のスマホのフィルタリング率は4割、携帯ゲーム機で2割、契約切れのスマホでも1割です。同じようにネットが使える端末でありながら、インターネット接続テレビがフィルタリングの網の目からこぼれ落ちてしまっている状態にあることがおわかりいただけると思います。
ウチはインターネット接続テレビなんて買ったおぼえはないから関係ない、と思ったかたもいるでしょう。でも、ちょっと待ってください。実はインターネット接続テレビは、なにも特別なものではありません。普通のテレビに当たり前にネット接続機能がついているのです。
2011年のアナログ放送終了に合わせて、テレビを買い替えたというお宅も多いのではありませんか? 2010年ごろにはテレビにインターネット接続機能を搭載するのはごく普通のことになっていましたから、そのころに買ったテレビであれば、インターネットに接続できるものがほとんどのはずです。
もう一度取扱説明書を確認してみてください。もし取扱説明書が手もとになくても、メーカーのサイトで機種番号を入力すればダウンロードできます。無線・有線で、ネットに接続できると書いてあったら、そのテレビはインターネットに接続できてWebの閲覧ができる「インターネット接続テレビ」なのです。
ウチには関係ない、と切り捨ててしまう前に、お宅のテレビを一度確認してみてください。
なんでもネットにつながるIoT(アイ・オー・ティー)時代へ
もちろん、インターネット接続テレビでも、「ペアレンタルブロック」「フィルタリング」などの名前で子どものWeb閲覧をコントロールできるようになっています。
でも、保護者自身が家のテレビがネットにつながることを知らなかったのならば、これらの制限はかかってないわけですから、制限なくネット接続ができる状態のまま。これがフィルタリングの穴になってしまうといわけです。
子どもたちの口コミと実行力はあなどれません。なにかのきっかけでテレビでもインターネットができることを知った子どもが、自由にネットができる媒体としてテレビを使っているケースは、保護者の想像以上にあるかもしれません。
これからはIoT(アイ・オー・ティー)の時代といわれています。IoTとは Internet of Thingsの略で、直訳すれば「モノのインターネット」。さまざまなモノがネットにつながったり、相互につながったりして、新しい機能を提供するしくみのことをいいます。
これからはテレビのような目立つもの以外にも、日常生活で使うさまざまなモノにネット接続する機能が搭載されてくるでしょう。
このモノはネットにつながるのか? 子どもが使っても問題ないか? 家電を買うときにそんなことをチェックしなければいけない日はすぐそこまできています。
- ※1
- 平成27年度 青少年のインターネット利用環境実態調査
第2節 子供のインターネット接続機器の利用状況
(1)(2)(3) - 第2節 子供のインターネット接続機器の利用状況(1)(2)(3)
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