子どもたちと一緒に毎日を過ごしながら、成長のサポートをする保育士さん。保育園に通っていた人は、たくさんお世話になったよね。
今回は0歳児の赤ちゃんから小学校入学前までの子どもたちが過ごす保育園で働いている、「保育士」の嶋﨑碧さんにお仕事について教えてもらったよ。
保育士ってどんなお仕事ですか?
保護者が仕事をしているなどで保育が必要な子どもを、専門知識や技術をもって保育するお仕事です。
子どもたちの成長に合わせながら、園庭で体を動かしたりお散歩したり、室内では使わなくなった空き箱や古紙などを利用した製作や身体を使っての表現遊びなど、さまざまな活動をして一緒に過ごします。1日の生活リズムを意識しながら、お昼ごはんやおやつといった食事や、お昼寝、トイレなどの生活面もサポートしますよ。
子どもたちが、自分で進んで取り組んだり考えたりできる「主体性」を育めるようにしています。一人ひとりがやりたい遊びをできるように、安全を確保しながらサポートしたり、必要なものを準備したりします。遊ぶときのルールも、子どもたちと一緒に考えたり相談しながら決めていますよ。
保育士のお仕事でどんなことを心がけていますか?
まず、子どもたちに対しては目線をしっかり合わせて、一人ひとりの話をしっかりと最後まで聞くようにしています。保育園は、子どもたちにとって初めての集団生活の場です。自分の気持ちを言える子もいますし、うまく伝えられない子もいます。そのため、「誰かにしっかり話を聞いてもらうこと」は、豊かな心を育てていくなかで大事な経験になります。周りの人と信じ合える関係を作ったり、みんなの話をよく聞いたり自分の話をしっかり伝えられるようになるためにも大切なので、一斉に話しかけられた場合でも、順番に話を聞くことを心がけています。
子どもを預けてくれる保護者の方とのコミュニケーションにも気を配っています。朝夕の送り迎えのタイミングや連絡帳などで教えてもらう家庭での小さな変化が、子どもたちの体調管理や気持ちの理解などで保育に役立つからです。また保護者の方へは、子どもたちが今どんなことに興味があるのかを、日々、写真と文章で伝えています。例えば知らない虫を見つけた日は、出来事そのものだけでなく、みんなで図鑑を見ながら「この虫かな?何色だったかな?」と一つずつ調べて楽しんだことも知ってもらいたいな、と考えながらいろいろな場面を紹介しています。
そして、一緒に働く先生たちと情報を共有することも大切です。クラスの担任だけではなく、園全体で子どもたち一人ひとりのサポートをしているため、日ごろから子どもたちのエピソードを伝え合うなど、積極的にコミュニケーションをとるようにしていますよ。
保育士に向いているのはどんな人だと思いますか?
私は「なんでも一緒に楽しめる人」が向いていると思います。子ども心を忘れずに、一緒に走り回ったり、折り紙をしたり…、先生だからといって見守るというよりは、子どもたちと一緒になって自分も楽しめることが大切だと思っています。子どもたちって、小さな虫や花を見つけたとき、まるで“世紀の大発見をした!”という気持ちで私たちに教えてくれるんですよね。そんなときに「わぁ、本当だ!どんな虫かな?どんな動きをするのかな?」と一緒に調べて、わくわく楽しめる人は、子どもと距離を縮めたり、お互い信じ合える関係をつくることができると思います。
好きなことや得意なことで、仕事に活かしていることはどんなことですか?
私は写真撮影が好きで、休日は仲間と自然豊かな場所へ出かけています。最近では秋の風景を撮りに、東京から静岡県や山梨県まで行きました。撮影するときに季節の花や木々を見つけるので、子どもたちと花を見たときには、それを思い出しながら子どもたちに伝えたり、一緒に調べたりしています。また、仕事終わりに時間があるときは、最寄り駅より手前で電車を降りて、お散歩をしながら帰ります。そんなときに感じる季節や自然の感覚を、子どもたちにどうやって伝えようかなと考えたりしていることもあります。
また、一緒に働いている保育士の中には、世界一周をして各国で見聞きしたことを子どもたちに伝えている先生や、ダンスが得意で子どもたちと一緒に踊っている先生もいますよ。みんなのいろいろな“好き”が仕事に活きていると感じます。
なぜ保育士になったのですか?保育士になって良かったと思うのはどんなときですか?
きっかけは、中学生のときの職場体験です。保育園を訪れてみて、お散歩で歩く位置一つにも気をつける、先生方の子どもたちへのかかわり方の細やかさや丁寧さに驚いたんです。友人に誘われて選んだ保育士の職場体験でしたが、保育士ってとても奥深いお仕事だなと興味をもちました。
また、私が子どものころにお世話になった先生と卒園してからも交流が続き、いつまでも私を覚えてくれていることを不思議に感じていました。「毎年たくさんの子どもたちをみているのに、どうして私のことを覚えているのかな?」って。先生には「覚えているものよ」と言われたのですが、その秘密が知りたくて、保育士を目指しました。実際に保育士になってわかりましたが、一緒に過ごした子どもたち一人ひとりのことは、忘れることはないですね。ずっと覚えているものなんです。
保育士をしていてうれしいときはたくさんありますが、言葉を覚え始めた子が初めて私の名前をしっかりと呼んでくれた瞬間はとってもうれしいですね!それまで部分的だったのが、ある日全部言ってくれるんです。“きゅん”とうれしい気持ちになります!
また、私は好きでしているお仕事だし、大切なお子さんを預けてくれることに感謝していますが、一日の終わりに保護者の方に「ありがとうございました」と感謝されることも、とても貴重な経験で励みになっています。積み上げてきた信頼関係も感じられてうれしい瞬間です。
保育士の仕事に興味があるみんなへの応援メッセージ
保育士は、子どもの笑顔を毎日見られる、とってもすてきなお仕事です。そして、子どもの笑顔のきっかけを作ることができるところに、やりがいを感じます。
「子どもが好きという理由で保育士になって大丈夫かな?」と心配になるかもしれませんが、いろんなきっかけがあっていいと思います!私は子どもの笑顔のことを考えるとなんでも頑張れて、楽しくお仕事しています。未来の社会をつくっていく子どもたち。そんな子どもたちの大事な部分である心や体の成長をサポートするためには、支えあう仲間がたくさんいるといいなと思っていますので、将来みなさんと一緒に働けることを楽しみにしていますね!
提供/こども家庭庁 制作/株式会社JTBパブリッシング
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