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【無料・有料教材10選】西端教授に聞くプログラミング教材の選び方

【無料・有料教材10選】西端教授に聞くプログラミング教材の選び方

小学校では2020年、中学校では2021年、高等学校では2022年に必修化となった「プログラミング教育」。それにあわせ、以前に比べてプログラミングツールや教材の選択肢も増えましたが、そのぶん、どう選べばいいのかがわかりづらいという声もあります。ここでは、プログラミング教育にくわしい畿央大学教育学部・西端律子教授に、発達段階に応じたプログラミング教材の選び方や、プログラミング教育を実践するうえで重要なことについてうかがいました。

今回お話をうかがった方

西端 律子教授

畿央大学教育学部・教授
畿央大学教育学部・教授 畿央大学大学院教育学研究科・教授 博士(人間科学・大阪大学) 文部科学省・情報ワーキンググループ委員、 文部科学省中央教育審議会「教育の情報化に関する手引」作成検討委員を歴任。

【関連記事】「プログラミング教育」のキホン――導入の狙いや実践事例を畿央大学・西端律子教授に聞く

発達段階に応じた教材の選び方

「教材の選び方は、子どもたちの発達段階に応じて決めていく必要があります」と西端教授。発達段階に応じてできることや解決できることが増えていくのはほかの教科でも同じです。まずは小学校の低学年、中学年、高学年にわけて、教材の選び方を解説していただきました。

※記事内の価格表記は2022年7月時点のものです。また、教育機関向けに独自の教材セットを用意している場合もありますので、詳しくはそれぞれの教材の公式ページをご覧ください。

【小学校低学年におすすめプログラミング教材】

低学年では、好奇心を広げることが大切です。まずはプログラミングに慣れ親しむことから始めると良いでしょう。

画面に向かったプログラミングではなく、実物を動かすことができる「アンプラグド」の教材であれば、低学年でも親しみやすいでしょう。例えば、プログラミングを、まるでブロックで遊ぶように学べる「Matatalab(マタタラボ)」やカードを組み合わせて車の動かし方を決める「プログラミングカー」などがあります。1班の5~6人がグループで1セットを使うことができます。

アンプラグド教材以外でも、例えば「Viscuit(ビスケット)」は、自分が作りたいと思った動きを簡単に表現できるので、低学年でも直感的にプログラミングすることができます。自身で描いた絵やキャラクターと動きの属性を組み合わせていく「Springin’(スプリンギン)」も、同様にプログラミングしていくことができます。Springin’は、子どもたちの表現の手段としての機能が豊かなことも特徴です。

Matatalab Pro Set(マタタラボ プロセット)

カードでピピッと はじめてのプログラミングカー

Viscuit(ビスケット)

Springin’(スプリンギン)

教材名Matatalabカードでピピッと はじめてのプログラミングカーViscuitSpringin’
開発元Matatalab社(日本語版の販売元は株式会社くもん出版)株式会社学研ステイフル合同会社デジタルポケット株式会社しくみデザイン
分類アンプラグトアンプラグトビジュアルプログラミングビジュアルプログラミング
特徴パズルのようなシンプルな設計で、遊びながらプログラミングに親しめる。指示や数字、音といった「ブロック・ピース」をボードに並べると、「コマンドタワー」が画像認識センサーでその指示を読み取り、てのひらサイズのロボットが動くという仕組み。車の動作を指示する「めいれいカード」を車の玩具に読み込み、決めたルートを走らせてプログラミングの仕組みを学ぶことができる。カードを読み込むという手順があることでプログラミングにおける指示出しの役割を実感しやすい。自ら描いた絵を自由に動かしたり、ゲームを作ったりすることができる。メガネに入れた絵で表現した「〜から〜へ変わる」という書き換え規則を組み合わせてプログラミングする。色設定の豊富さや動きの柔軟さにより、子どもの発想を反映することができる。自作の絵や画像に配置や動きなどを設定し、ゲームやアニメーションを作成できる。完成した作品を公開することで、世界中のユーザーに遊んでもらうことができるコミュニケーションの場も用意されている。学校向けに、クラスルーム版も用意。
利用環境製品購入製品購入ブラウザ、iOS、AndroidiOS、Android
価格(税込)38280円(マタタラボ プロセット)6578円無料(学校向け有料プランあり)無料(学校向け有料プランあり)

【小学校中学年におすすめプログラミング教材】
小学校中学年では、プログラミング的思考、いろいろな考え方に触れてパターンを知ることが大切です。

ブロックを連ねてプログラムの処理を書き出すことができるビジュアルプログラミングのツールとして、「Scratch(スクラッチ)」や、東京書籍のサイトで利用できる「Edu Town(エデュタウン)プログラミング」などの教材があります。

各種センサー機能もあり、高学年への接続も可能ということで「micro:bit(マイクロビット)」を導入する先生もいます。

micro:bit(マイクロビット)

Edu Town(エデュタウン)プログラミング

教材名ScratchEdu Town プログラミングmicro:bit
開発元MITメディア・ラボ東京書籍株式会社Micro:bit教育財団
分類ビジュアルプログラミングビジュアルプログラミングビジュアルプログラミング、タンシブル
特徴さまざまな命令が書かれたブロックを画面上で組み合わせることで、ゲームやアニメーションを作ることができる。動きや見た目、条件づけなど命令の種類が細かく、多様なアイデアを形にできる。命令が書かれたブロックを問題文に沿って組み立てることで、学校での学びを確認することができる。算数や理科で学ぶ内容とプログラミングが関連づけられることで、学習内容の振り返りに加え、プログラミングの身近さを実感することができる。小型のマイコンボードの本体に、専用のアプリでプログラミングした情報を転送する。ボードには25個のLEDや磁気センサーなど多くの機能が備わっている。また、本体を工作物などに組み込むことで作品の幅が広がる。
利用環境ブラウザ、Windows、macOSなどブラウザブラウザ、iOS、Android
価格(税込)無料無料2662円(本体のみ)

【小学校高学年におすすめプログラミング教材】
小学校高学年になると、プログラミングにより日常的な問題を解決することを考えます。そのため、理科ではセンサーが付いた教材が用いられます。

センサーやモーターが入ったブロックを組み合わせて動かし方をプログラムする「アーテックロボ」や、センサーが入ったブロックを組み合わせる「MESH(メッシュ)」などの教材があります。

そのほかユニークな教材として、ロボット掃除機をモチーフにしたプログラミングロボット「Root(ルート)」などがあります。

MESH(メッシュ)

アーテックロボ

Root(ルート) rt1

教材名アーテックロボMESHRoot rt1
開発元株式会社アーテックソニー株式会社アイロボット
分類ビジュアルプログラミング、タンシブルビジュアルプログラミング、タンシブルビジュアルプログラミング、タンシブル
特徴ロボットの組み立てから動作のプログラミングまで、自らのアイデアで作成できる。初心者向けの組立説明書やサンプルプログラムから上級者向けのセンサーやモーターなどのパーツも用意されており、創造力、表現力を引き出せる内容になっている。機能の異なる7種類のブロックをアプリでプログラミングすることができる。各機能は、スイッチとなるボタンやLED、温度の感知など日常に役立つ内容となっており、自作のプログラミングによって生活をより豊かにできる実用性をもつ。専用アプリによるプログラミングにより、走る、光る、描く、音を奏でる、といったことが可能なロボット。マグネット式のホワイトボードや黒板に貼って動かせる点がユニーク。専用アプリではレベル別に3段階のプログラミングインターフェースが用意されており、小学校低学年~大学生まで利用可能。
利用環境製品購入/iOS、Android、Windows、Chrome OSなど製品購入/iOS、Android、Windows、Chrome OSなど製品購入/iOS、Android、Windows、Chrome OS、Mac OSなど
価格(税込)30745円(Artecブロックアーテックロボベーシック)6091円~(MESHブロック) ※アプリは無料29800円(Root rt1)

【中学校や高等学校でのプログラミング教育】
中学校では、技術の時間にプログラミングを学び、日常の問題解決に使うことを考えます。高等学校の「情報科」では、世の中で困っている人たちの問題解決のためのプログラミングを考え、データに基づいて裏付けをとることも実施します。

 

GIGAスクールで、一人一台の端末がありますが、センサー付き教材などの場合は高価で、予算の問題もあるため苦慮されている学校も多いそうです。

「教育委員会が教材を持っていて、巡回してくれる地域もありますが、どこの学校も使いたいタイミングは同じですからね。私たちのように大学が持っている教材をお貸し出しする場合もあります。近隣の先生方で情報共有して活用してほしいです」
(西端教授)

プログラミング教育の実践のために大切なこと

「自分の楽しいことを楽しく伝えるのが、教育の基本だと考えています」という西端教授。続いては、プログラミング教育を実践していくうえで大切なことについて教えていただきました。

【学校全体で情報共有すべし!】

コロナ禍もあり、リアルで集まるのが難しい状況ですが、議論することは大事です。

「一人で悩んでいても解決は難しいですが、議論すればそこから新しいアイデアが出てきます。先生どうしで情報共有して、学年ごとに達成できることを相談することもできるでしょう。」(西端教授)

また、校長先生をはじめとした管理職の方の関わりが大切になってきます。

「校長先生や教頭先生が学校の中のバランスを見て、先生方のチームを編成し、情報共有しやすくしている学校もあります。先生方も、音楽で図工で算数で、興味や関心がそれぞれあって、さまざまな経験をお持ちなので、アイデアを出し合うことが大切です。情報共有ができれば、学年と教科の幅がある教材の活用ができます」(西端教授)

 

【 教えることを楽しむ! 完璧である必要はナシ】

とはいえ、先生方からは教わったことがないことを教える不安の声も聞こえてきます。しかし、完璧にできる必要はないと西端教授は言います。

「例えばアイススケートのコーチはみんな4回転ジャンプができるわけではないですよね。ピアノの伴奏だって、先生より上手な子どもがいます。プログラミングも、児童とともに楽しみつつ、その上で授業の目的に応じて、アドバイスが言えるくらいになっていれば十分です。例えば、児童が自発的につくる場面においては、情報モラルに反することについてきちんと指導することが重要です。
また、すでに家族でプログラミングを楽しんでいたり、塾などで学習したりしている児童もいることでしょう。こうした子どもたちには、グループ活動として、まわりの子どものサポートをしてもらってもよいでしょう。これは今までも、算数で教えあったり、体育で体の動きを確認しあったりしている活動と同じです。」(西端教授)

国語や算数などは、長い時間をかけて、どう教えるべきか確立されています。一方、スタートしたばかりのプログラミングは、指導者である先生向けの指導法もまだ確立されていない状況です。プログラミングは、まだまだこれから教材も教え方も増えていく発展途上の学習なのです。

「子どもたちが楽しむのと同様、先生方も教えることを楽しんでほしいですね。そのための第一歩として、我々は先生向けの研修やイベントを実施しています。いま、プログラミング教育に積極的にチャレンジしようという先生方が増えているんです。加えて、最近では気軽に参加しやすいオンラインでの研修も増えていますね。そうした外部の研修などに参加して知見を広めるのも1つの方法です。
研修の目的に応じて、内容や方法も変わってきますが、私は一貫して、『まずはみんなで楽しみましょう』というタイプです。そうしたところから、第一歩を踏み出せるお手伝いをしたいと考えています。」(西端教授)

関連リンク

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くわしく以下のリンクからご覧ください。

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