メニュー閉じる

「デジタル教科書」のキホンーー授業はどう変わる? 何を準備すべき?

「デジタル教科書」のキホンーー授業はどう変わる? 何を準備すべき?

2024年よりデジタル教科書が本格導入されます。既にGIGAスクール構想により児童・生徒ひとりひとりにパソコンやタブレット端末が行き渡り、デジタル教科書の利用環境は整いつつあります。しかしながら現状、端末そのものを活用しきれていないという声も多く聞きます。デジタル教科書導入をきっかけに、授業はどう変わるのか、何を備えればいいのかを解説します。

デジタル教科書で授業はどう変わる?

そもそもデジタル教科書ってどんなもの?

デジタル教科書は、2019年4月に施行された「学校教育法等の一部を改正する法律」等関係法令により制度化され、一部の学校では試験的に導入されています。本格導入のタイミングは、小学校の教科書が改訂される2024年度と考えられています。紙の教科書も引き続き使用可能で、しばらくは併用するかたちになりますが、デジタル教科書のいち早い活用に向けて、準備が必要です。

デジタル教科書の内容は、基本的に紙の教科書と同じです。ただし、デジタル教科書ならではの特徴もあります。デジタル教科書の積極的な活動により、学習指導要領で掲げられた「主体的・対話的で深い学び」の実現を目指すことができます。

具体的な特徴やメリットについて、見ていきましょう。

デジタル教科書活用のメリット

デジタル教科書には、紙の教科書にはないメリットがあります。代表的なものをいくつかご紹介します。

◆表示を見やすくカスタマイズ

画面表示の調整ができるので、文字や図版の拡大表示、背景色や文字色の変更などが可能です。また、漢字にルビをふるなど、子どもの理解や能力、進度に合わせた学習が可能になります。児童生徒が個別に最適化して見やすく表示することで、教科書に記載された内容への理解を深めやすくなり、主体的な取り組みにつながります。

◆自由に書き込み、振り返りも簡単

紙の教科書に書き込みするのと同様に、電子ペンやマーカーで書き込むことができます。消すことも簡単で、書き損じが起きても何度でもやり直しながら、学習できます。書いた内容は保存して、後から表示することもできるので、学習過程を見直すことが可能です。グループ学習でそれぞれが書き込んだ情報を見せ合えば、学びの過程を共有することができ、対話的な学びを進められます。

◆音声や動画で学びを深める

デジタルならではの、文字を読み上げる機能も魅力。英語の発音を聞いて学んだり、国語の文章を音声で聞いたりすることができます。特別な支援が必要であったり、学習障害のある児童生徒に対しては、音声再生や、動画との連携などを積極的に利用することで、学ぶ内容に興味をもたせたり、集中して取り組める環境を用意したりすることができます。

◆教科書を持ち運ぶ負担を軽減

今後、デジタル教科書の利用が主流になれば、ランドセルに入れて持ち運ぶ本や資料を減らすことでき、登下校時に子どもたちの負担を軽減することにもつながります。

デジタル教科書の本格導入を前に備えておくべきこと

教室や学習環境の準備

デジタル教科書を導入するにあたっては、教室や機器などの環境を整えることが必要です。

◆「電子黒板」や「大型スクリーン」

大型スクリーンや電子黒板を用意すれば、先生の教科書から図版を拡大して大画面に表示したり、授業に関連する資料を見せたりできます。デジタル教材をそのまま投射すれば、板書や教材の配布時間が短縮されるので、そのぶん児童生徒が対話する時間を確保することが可能。先生の授業準備負担も軽減されます。

また、児童生徒が書き込みしたデジタル教科書を投射して学習過程を共有したり、書き込みした複数の画像を並べて比較表示したりすることで、児童生徒に考えてもらうきっかけにつなげることもできます。

<電子黒板とデジタル教科書を連携させた活用事例はこちらの記事で紹介中!>

※画像をクリックすると記事へ移動します

ネットワーク環境

GIGAスクール構想に伴って、既にWi-Fi無線通信環境が導入されていますが、これまではすべての端末をフル活用する機会がなかったという学校も多くあります。デジタル教科書の導入後、全クラスが同時にネットワークを利用することも想定して、1人1台が安定して利用できるネットワーク環境になっているか、確認したほうがよいでしょう。

また、自宅学習や、学校からの連絡、課題の提出などでGIGA端末を活用する機会も増えることが予想されます。そうなると、先生と児童生徒の間での通信や、データ共有のためにクラウド環境が必要になります。家庭でのネットワーク接続環境もあらためて確認し、整備することも大切です。

◆ヘッドフォン

音声を利用する教材も多くあります。各端末からそれぞれ音声が流れると、教室内がざわつき、集中して聞くことができないため、ヘッドフォンがあると便利。全校児童・生徒分を揃えるのが難しい場合には、学校内に何セットかを用意し、音声を使用する授業の場合のみ教室に持ち込んで使用するという方法も考えられます。

◆映り込み対策

一人一人が画面に向かうため、教室の明るさ、画面への映り込み対策が必要になります。窓からの光を遮光する方法や、照明の位置の工夫などを検討する必要があります。

デジタル教科書と連携したデジタル教材

デジタル教科書は、基本的な内容的については紙の教科書と同じです。児童生徒の理解をさらに深めるには、教科書の内容を補う教材を用意するとよいでしょう。このとき、デジタル教材を用意すれば、GIGA端末で閲覧・再生することができます。例えば、以下のような教材が考えられます。

 

・理科の実験手順の動画

・社会科の動画資料

・英単語のピクチャーカードやフラッシュカード

 

デジタル教科書とあわせて、教育動画や各教科書会社のデジタル教材サイトを活用すると、役に立ちます。また、デジタル教科書の導入、活用に向けて、実践事例や指導案を掲載するウェブサイトも参考になります。以下に一例を挙げますので、ご活用ください。

参考となるウェブサイト・資料

授業で役立つ動画

教科書会社のデジタル教材

・学習者用デジタル教科書・教材(東京書籍)
小学校
https://www.tokyo-shoseki.co.jp/ict/dkyokasho_el/
中学校
https://ten.tokyo-shoseki.co.jp/text/chu/ict/dtxgakushu.html

・デジタル教科書のご案内(大日本図書)
小学校
https://www.dainippon-tosho.co.jp/digital_textbook/es.html
中学校
https://www.dainippon-tosho.co.jp/digital_textbook/jh.html

・デジタル教科書・教材(光村図書)
https://2022-digital.mitsumura-tosho.co.jp/

参考となる事例・指導案

・学習者用デジタル教科書について(文部科学省)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/kyoukasho/seido/1407731.htm

・学習者用デジタル教科書実践事例集(平成30年 令和3年3月一部追補版/文部科学省)(PDF:3407KB)
https://www.mext.go.jp/content/20210325-mxt_kyokasyo01-100014398_01.pdf

・学習者用デジタル教科書実践事例集(2022年3月/文部科学省)(PDF:1981KB)
https://www.mext.go.jp/content/20220427-mxt_kyokasyo02-100002550_01.pdf

・活用事例・指導案|実践事例紹介(光村図書)
https://2022-digital.mitsumura-tosho.co.jp/user/case_plan/

・デジタル教科書/教材と電子黒板を連携させた活用事例(学研キッズネット)
https://kids.gakken.co.jp/teacher/ict/electronic_blackboard/

デジタル教科書の本格導入が始まれば、そのメリットを活かした利用方法の検討、授業計画の策定が必要になります。必要な環境を整えながら、校内での話し合い、授業研修なども計画的に進めていくことが必要です。

PAGETOP