「地球防衛隊SDGs」第45・46話解説編「争いのない世界を目指して」
ちょっとむずかしそうだけど、
※この
今 この瞬間 も、世界 で争 いごとが起 きている
ねえ、スモール。
そうじ当番の話から、すごい話に発展しちゃったけど、世界で起きている争いごとについて、みんなと話せてよかったよ。
よくロシアのウクライナ侵攻のニュースを見るから、空も気になってたんだ。現代でも戦争が始まるなんて…ほんとショックだよ。
※ロシアのウクライナ侵攻については、こちらの記事でくわしく解説しているよ。
そうだね。ウクライナ侵攻のニュースはよくテレビやネットのニュースで報道されているよね。
でもね、今世界で起きている争いごとは、ウクライナ侵攻だけじゃない。世界には「サイレントクライシス」がたくさんあるんだよ。
サイレントクライシス…?
サイレントクライシスとは、今も深刻な状態が続いているのに、報道されず、知られていない危機のこと。争いごとが起きると、それに連鎖して、暮らしのさまざまなところに悪い影響が及ぶんだ。たとえば経済が不安定になって物の値段が上がったり、食料が不足したり、安心して寝られる場所がなくなったりする。でも、そうした危機的な状況は、なかなか報道されないんだよね。
たしかに、ウクライナ侵攻でも、ニュースでよく見るのは爆撃があったとか、町を占拠したとか、そういうのばかりだね。しかも最近、ニュース自体も減ってきているような…。でも戦争がなくなったわけではないもんね。
そう。今も争いごとが続いていて、支援を必要としている人がたくさんいる地域があるんだ。ここでは2つ、紹介するよ。
1:イエメンの内戦
2015年に内戦が勃発したイエメン。それ以降、経済不安が続いている。
特に深刻なのが食料危機。2022 年 6 月から 12 月の間に、イエメンの状況 はさらに悪化し、最低限の食料ニーズを満たすことができない人々の数は、 過去最多の 1900 万人に達する恐れがあると警告されている。
参考:国連食糧農業機関(FAO)、WFP 国連世界食糧計画(国連 WFP)、国連児童基金(UNICEF) イエメンの総合的食料安全保障レベル分類 (IPC)分析
2:ミャンマーの軍事 クーデター
2021年、ミャンマーでは国軍がクーデターを起こした。クーデターとは、武力によって国の政治を動かす力を奪うこと。
国連の発表では、軍が政権を掌握してから国内で起こった戦闘により、少なくとも40万5700人が故郷から避難をしたとされている。また、ミャンマー全土で避難を強いられた人たちの37%は子どもたち。今もジャングルの中につくった仮設シェルターの中で暮らしている人たちがいて、食料不足や病気、怪我や暴力の危機にさらされている。
全然知らなかった…。ミャンマーの「避難を強いられた人の37%は子どもたち」って話、すごくショック。今も仮設シェルターの中で暮らしている子どもがいるんだ…。
争いごとが起きたとき、自分ひとりではなかなか逃げられない子どもたちが、犠牲になることは多い。親を失ったり、離れて暮らさなければいけなかったりして、生活が困窮するケースもたくさんあるんだよ。
どうしたら争いごとがなくなるだろうってずっと考えていたんだけど、その前に、空は世界のことを全然知らないんじゃないかって気がしてきた…。
空、いい気づきだね!
今は知ろうとすれば、いろんな情報を手に入れられる時代。ニュースで見聞きしたものから興味を持って、自分でもいろいろ調べてみるといいね。
ただし、中にはウソの情報(フェイクニュース)もあったりするから、信頼できる情報源・メディアなのかをしっかり確認するようにしよう。
SNSとかでも、メッセージをタップすると、すぐ翻訳できる機能がついているものが多いんだよ。世界のいろんな人の声を、聞くことができるよね。
最初から「どうすれば争いがなくなるのか」「平和な世の中になるのか」って考えると、あまりに大きな問いで、難しいと感じてしまうこともあるよね。
まずは今、世界で何が起きているのかを知ろうとすることが大事なんじゃないかな。
知ろうとすること。それが、争いのない世界にするための第一歩だね!
構成・文/塚田智恵美
イラスト/奈良裕己