こたえ:雲の中の水てきや氷のつぶが大きくなって落下し、雨として降ってきます。
ふわふわと空にうかぶ雲は、「雲つぶ」とよばれる水てきや、「氷晶」とよばれる氷の結晶でできています(関連記事「雲は何からどのようにできるの」。これらが大きく・重くなって空から落ちてきたものが、雨や雪なのです。
まず、海や地面から蒸発した水分が、上へ向かう大気の流れ「上昇気流」に乗って温度の低い場所までたどり着くと、上空の冷たい空気に冷やされて雲つぶができます。地球上では、あらゆる場所で上昇気流が発生していて、雲つぶが集まってできた雲は、上昇気流に吹き上げられて空にうかんでいます。
雲の中では、雲つぶが上昇気流によって上へと向かい、周りの水蒸気を取りこみながら成長していきます1)。はじめ、雲つぶの半径は0.001~0.01mm(髪の毛の太さの約5分の1)ですが、上昇するにつれて大きく・重くなり、やがて半径0.1mmくらいになります。すると、上昇気流では雲つぶを支えられなくなり、こんどは雲から地上へ向かって落下を始めるのです。雲から落ちた水てきは、周りの水てきとくっついて「雨滴」を形づくりますが、半径2.5mm~3mmほどになると、途中でちぎれて小さくなりながら、雨となって地上に降ってきます。
雲つぶが成長するときに気温が-20℃以下に下がると、雲つぶはこおって氷晶になります2)。氷晶に周りの水蒸気がくっついてできるのが雪の結晶(関連記事「雪はどうして降るの?」)。雪の結晶にさらに雲つぶがくっつくと、「あられ」になります。地上付近の気温が0℃以上のときは、雪やあられが溶けて雨として地上に降ります。
このように、雲粒が大きくなって落ちてくる雨を「温かい雨」、氷晶が溶けて落ちてくる雨を「冷たい雨」といいます。温かい雨が降るのは、熱帯の地域。日本をふくむ温帯で降る雨のほとんどは、冷たい雨です。
記事公開:2022年3月
参考資料
1)荒木健太郎・監修『雲と雨の大研究 空のしくみとふしぎをさぐろう!』.2021年.PHP研究所
2)武田康男・監修『学研の図鑑 LIVE eco 異常気象 天気のしくみ』.2018年.学研プラス
監修者:大山光晴
1957年東京都生まれ。東京工業大学大学院修士課程修了。高等学校の物理教諭、千葉県教育委員会指導主事、千葉県立長生高等学校校長等を経て、現在、秀明大学学校教師学部教授として「理数探究」や「総合的な学習の時間」の指導方法について講義・演習を担当している。科学実験教室やテレビの実験番組等への出演も多数。千葉市科学館プロジェクト・アドバイザー、日本物理教育学会常務理事、日本科学教育学会及び日本理科教育学会会員、月刊『理科の教育』編集委員等も務める。