こたえ:太陽の光を反射しているからです。
夜空に見える星は、太陽などの「恒星」と、地球のように恒星のまわりを回る「惑星」、惑星のまわりを回る「衛星」、細長いだ円形の軌道で恒星のまわりを回る「彗星」の4種類に分けられます。わたしたちの目には、どれもきらりと光って見えますが、この中で自分自身で光を出しているのは恒星だけ。ほかの3種類は、恒星の光を反射してかがやいています。地球の衛星である月の場合は、太陽の光をはね返すため、明るく見えるのです。
月は地球のまわりを、地球は太陽のまわりを公転しているので、太陽と地球、月の位置関係は毎日変化します。すると、太陽の光が当たる部分も変わります。これが、月の満ち欠けです1)。
地球から見て月と太陽が同じ方向にあるのが「新月」。月のかがやいた面は太陽の方を向いていて、地球から見えません。それとは逆に、地球をはさんで月と太陽が正反対の位置にあるのが、満月です。地球から見える面全体で太陽の光をはね返しているので、まんまるに見えます。地球から見て太陽と月が90°の位置に来たときは、月のかがやいた面の半分だけが見える「半月」となります。新月から次の新月になるまでの期間は約1か月をかけて変動し、平均で29.53日です。
また、めったにないことですが、満月の月が地球の影の中を通る場合があります2)。これが、月食(関連記事「月食、日食ってなに、どうしておきる?」)。月が地球の影に完全にかくれることを「皆既月食」、一部がかくれることを「部分月食」といいます。2022~2030年に、皆既月食は5回、部分月食は3回、日本でも観測できるそうです3)。
2021年5月の皆既月食を見た人もいるかもしれません。そのとき、月はどのように見えましたか? 「あれ? まっ暗にならない」とふしぎに思った人もいるのではないでしょうか。じつは、皆既月食のとき、月はまっ暗になるのではなく、暗い赤色に見えます。
これは、太陽からやって来た光のうち地球の大気の中を通った光が空気によって屈折し、地球のかげの中に入りこむからです。大気の中を進むとき、太陽の光のうち青色の光は散乱してしまい、赤い光だけが大気を通過します(関連記事「空はどうして青いの?」)。そのため、赤い光が月を照らし、月が赤色に見えるというわけです。
記事公開:2022年1月
参考資料
監修者:大山光晴
1957年東京都生まれ。東京工業大学大学院修士課程修了。高等学校の物理教諭、千葉県教育委員会指導主事、千葉県立長生高等学校校長等を経て、現在、秀明大学学校教師学部教授として「理数探究」や「総合的な学習の時間」の指導方法について講義・演習を担当している。科学実験教室やテレビの実験番組等への出演も多数。千葉市科学館プロジェクト・アドバイザー、日本物理教育学会常務理事、日本科学教育学会及び日本理科教育学会会員、月刊『理科の教育』編集委員等も務める。