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専門家 塩谷京子先生が校正!読書感想文の書き方カンペキナビ【実践編】

専門家 塩谷京子先生が校正!読書感想文の書き方カンペキナビ【実践編】

夏休(なつやす)みも()づけば(のこ)りわずかとなりました。「読書(どくしょ)感想文(かんそうぶん)」にはもう()()みましたか? これまで学研(がっけん)キッズネットでは、文章(ぶんしょう)のプロ・塩谷(しおや)京子(きょうこ)先生(せんせい)読書(どくしょ)感想文(かんそうぶん)()(かた)のコツを(おし)えてもらってきました。今回(こんかい)はその実践(じっせん)(へん)として、編集(へんしゅう)()新人(しんじん)スタッフが()いた読書(どくしょ)感想文(かんそうぶん)校正(こうせい)塩谷(しおや)先生(せんせい)依頼(いらい)。その結果(けっか)をもとに、どのような(てん)注目(ちゅうもく)するとより相手(あいて)(おも)いが(つた)わる感想文(かんそうぶん)になるかを一緒(いっしょ)()ていきましょう。

▶【小学生(しょうがくせい)()け】読書(どくしょ)感想文(かんそうぶん)()(かた)()りたい(ひと)はこちら

▶【中学生(ちゅうがくせい)()け】読書(どくしょ)感想文(かんそうぶん)()(かた)()りたい(ひと)はこちら

()んだ(ほん):『ふしぎな()()料理法(りょうりほう)』(岡田淳(おかだじゅん)(ちょ)

今回(こんかい)編集(へんしゅう)Iさんが読書(どくしょ)感想文(かんそうぶん)課題(かだい)図書(としょ)として(えら)んだのは、『ふしぎな()()料理法(りょうりほう)』(岡田淳(おかだじゅん)(ちょ)理論社(りろんしゃ)(かん))。(なぞ)(つつ)まれた不思議(ふしぎ)(もり)()主人公(しゅじんこう)・スキッパーと個性的(こせいてき)住人(じゅうにん)たちとの、ユニークで(こころ)がじんわり(あたた)かくなる物語(ものがたり)です。小学(しょうがく)4(ねん)(せい)国語(こくご)教科書(きょうかしょ)()っている作品(さくひん)なので、()んだことがある(ひと)もいるのではないでしょうか。

Iさんが本気(ほんき)()()んだ読書(どくしょ)感想文(かんそうぶん)はこちらです。まずは()んでみてください。

自分(じぶん)(とびら)(ひら)くこと」編集(へんしゅう)S・I
(だれ)かと直接(ちょくせつ)言葉(ことば)()わさなくても()きていける()(なか)になった。昼食(ちゅうしょく)のハンバーガーやシャンプーも、画面(がめん)をタップするだけで(だれ)かが玄関(げんかん)まで(とど)けてくれる。とても便利(べんり)だ。

② 二十(ねん)ほど(まえ)までは(めずら)しい(いろ)のペンは(とお)くの(みせ)まで()かないと()えなかったし、レジではおしゃべり()きな店員(てんいん)のおばちゃんに(つか)まったりした。様々(さまざま)なことが不便(ふべん)で、(すこ)面倒(めんどう)くさかった。

③ この(ほん)主人公(しゅじんこう)であるスキッパーは、(おな)(もり)()(だれ)とも交流(こうりゅう)せず、(いえ)にこもって()きな化石(かせき)(ほん)ばかり(なが)めている。面倒(めんどう)人付(ひとづ)()いを()けてスマホの世界(せかい)()じこもる、現代(げんだい)(ひと)たちに(すこ)()ている。

④ ある()スキッパーは自宅(じたく)突然(とつぜん)(おく)られてきた()()料理法(りょうりほう)(さが)して、やむなく(もり)住人(じゅうにん)たちを(たず)(ある)くことになる。ある(ひと)(さわ)がしかったり、(ぎゃく)にとっても無口(むくち)だったりと、会話(かいわ)()れていないスキッパーは()(まわ)されて、どっと(つか)れてしまう。

⑤ しかし、そんな個性(こせい)(ゆた)かな住人(じゅうにん)たちと交流(こうりゅう)するにつれて、(すこ)しずつスキッパーに変化(へんか)()きる。物書(ものか)きのあの(ひと)自分(じぶん)()きな(ほん)一緒(いっしょ)で、ぶっきらぼうなあの(ひと)(じつ)(だれ)よりも(こころ)(やさ)しい(ひと)だった。元々(もともと)名前(なまえ)しか()らなかった住人(じゅうにん)たちと言葉(ことば)()わすことで、段々(だんだん)世界(せかい)(ひろ)がっていく様子(ようす)(えが)かれる。(ほん)最後(さいご)には(おも)いもよらない(かたち)料理法(りょうりほう)()かるのだが、その(よろこ)びを共有(きょうゆう)する(ひと)ができたことが(なに)よりの(しあわ)せだとスキッパーは()がつく。

(だれ)かと(かか)わることは、とても厄介(やっかい)だ。(とき)には(かな)しくて(つら)(おも)いをすることだってある。でも、偶然(ぐうぜん)出会(であ)った(だれ)かが、自分(じぶん)想像(そうぞう)もしない素敵(すてき)景色(けしき)()せてくれるかもしれない。(⑦)友人(ゆうじん)関係(かんけい)(なや)み、(ひと)(かか)わることが(こわ)かった小学生(しょうがくせい)(わたし)は、この(ほん)出会(であ)って自分(じぶん)(とびら)(すこ)しずつ(ひら)くことができた。(いま)(とびら)()こうには、面倒(めんどう)(こころ)(おど)世界(せかい)(ひろ)がっている。

いかがでしょうか? まだ()んだことがない(ひと)も、(おも)わず()()りたくなる感想文(かんそうぶん)ですよね。

構成(こうせい)骨組(ほねぐ)みにあわせて感想文(かんそうぶん)()()てよう

それではいよいよ、塩谷(しおや)先生(せんせい)赤字(あかじ)()原稿(げんこう)()ていきましょう。

塩谷(しおや)先生(せんせい)のコメント

「Iさんが、この(ほん)出合(であ)ってどう()わったか?」がしっかりと()()(つた)わる読書(どくしょ)感想文(かんそうぶん)ですね。タイトルもブラッシュアップされていると(かん)じます。このままでも十分(じゅうぶん)素晴(すば)らしいですが、さらに相手(あいて)(おも)いが(つた)える文章(ぶんしょう)にするために、2つの推敲(すいこう)(あん)(かんが)えてみました。

推敲(すいこう)(あん)A

()らし()わせて()てほしいのは、読書(どくしょ)感想文(かんそうぶん)の3つのパートです。
段落(だんらく)①②③が「なか1」、④⑤⑥が「なか2」にあたると(かんが)えると、「つかみ」と「まとめ」を追加(ついか)する必要(ひつよう)があります。

たとえば、タイトルの「自分(じぶん)(とびら)(ひら)くこと」へとつながるような、(ほん)出合(であ)ったきっかけや、(ほん)(なか)にある印象的(いんしょうてき)言葉(ことば)使(つか)って「つかみ」を()いてみてはどうでしょうか。⑥の最後(さいご)にある「面倒(めんどう)(こころ)(おど)世界(せかい)(ひろ)がっている」の一文(いちぶん)(かく)として、「まとめ」を加筆(かひつ)するのもいいですね。

▶【読書(どくしょ)感想文(かんそうぶん)の3ステップ】の(くわ)しい説明(せつめい)はこちら

推敲(すいこう)(あん)B

「まとめ」を⑥、「つかみ」をタイトル部分(ぶぶん)(かんが)えると、①②③が「なか1」、④⑤が「なか2」となります。ただ、「なか②」は(すこ)物足(ものた)りない印象(いんしょう)です。

ここで、「読書(どくしょ)感想文(かんそうぶん)骨組(ほねぐ)み」に今回(こんかい)感想文(かんそうぶん)()てはめてみます。

一番(いちばん)(つた)えたいこと】
(おも)()みを()てて(あたら)しいことにチャレンジすることの大切(たいせつ)さ。

場面(ばめん)言葉(ことば)
(ひと)(せっ)することが苦手(にがて)主人公(しゅじんこう)は、(だれ)とも交流(こうりゅう)せず(いえ)(なか)にこもっている。

自分(じぶん)()()せる】
インターネットで(なん)でも()(はい)るようになり、(ひと)(せっ)しなくても(なん)でも()(はい)便利(べんり)()(なか)になった。

自分(じぶん)(かんが)え・()づき】
人付(ひとづ)()いは不便(ふべん)面倒(めんどう)だ。

場面(ばめん)言葉(ことば)
あることがきっかけで近所(きんじょ)(ひと)交流(こうりゅう)するようになり、自分(じぶん)()らなかった世界(せかい)(ひろ)がっていった。

自分(じぶん)()()せる】
★この部分(ぶぶん)()かれていない!

自分(じぶん)(かんが)え・()づき】
(あたら)しい一()()()せば、(こころ)(おど)世界(せかい)(ひろ)がる。

それぞれしっかりと()()まれているのですが、★部分(ぶぶん)の「自分(じぶん)()()せる」内容(ないよう)がありません。だから、(すこ)物足(ものた)りなく(かん)じたのですね。ここを追記(ついき)すると、Iさんと(ほん)関係(かんけい)がハッキリと()えてくるので、より相手(あいて)(つた)わる読書(どくしょ)感想文(かんそうぶん)になります。

自分(じぶん)体験(たいけん)見聞(みき)きしたことのなかから、「(なに)かをきっかけにして、(あたら)しい世界(せかい)(ひろ)がった」エピソードを()()()とよいでしょう。そのうえで、⑥の後半(こうはん)を⑦とすると、⑦が「まとめ」になり、読書(どくしょ)感想(かんそう)文全体(ぶんぜんたい)構成(こうせい)がよりわかりやすくなりますよ。

▶【読書(どくしょ)感想文(かんそうぶん)骨組(ほねぐ)み】の(くわ)しい説明(せつめい)はこちら

文章(ぶんしょう)(つく)るときに一番(いちばん)大切(たいせつ)なのは「推敲(すいこう)」すること

読書(どくしょ)感想文(かんそうぶん)をはじめ、文章(ぶんしょう)()くときに大切(たいせつ)なのは「推敲(すいこう)」です。つまり、一度(いちど)()いた文章(ぶんしょう)をもう一度(いちど)()み、構成(こうせい)()(なお)して、より()いものにすること。

というのも、読書(どくしょ)感想文(かんそうぶん)()相手(あいて)は、あなたのことを(なん)でも()っている(だい)親友(しんゆう)とは(かぎ)りません。また、()()げた(ほん)()んだことがあるかもしれないし、まったく()らないかもしれないですよね。そんな相手(あいて)自分(じぶん)()いたいことを(つた)えるためには、()()げた読書(どくしょ)感想文(かんそうぶん)文章(ぶんしょう)構成(こうせい)をもう一度(いちど)見直(みなお)して推敲(すいこう)することがおすすめです。

自分(じぶん)()いたいことがどの段落(だんらく)とつながっているか?という(てん)意識(いしき)しながら再考(さいこう)することで、より相手(あいて)(つた)わる読書(どくしょ)感想文(かんそうぶん)になるでしょう。

すでに読書(どくしょ)感想文(かんそうぶん)()いた(ひと)も、これから()()かるという(ひと)も、ぜひ塩谷(しおや)先生(せんせい)(おし)えてもらった「3つのパート」と「骨組(ほねぐ)み」を意識(いしき)しながら推敲(すいこう)してみてくださいね。

取材(しゅざい)(ぶん)水谷(みずたに)映美(えみ)

(はなし)()いた(ひと)塩谷(しおや)京子(きょうこ)さん 
放送大学(ほうそうだいがく)客員(かくいん)准教授(じゅんきょうじゅ)関西大学(かんさいだいがく)昭和(しょうわ)女子(じょし)大学(だいがく)非常勤(ひじょうきん)講師(こうし)博士(はかせ)情報(じょうほう)(がく))。静岡県(しずおかけん)公立(こうりつ)小学校(しょうがっこう)教諭(きょうゆ)関西大学(かんさいだいがく)初等(しょとう)()教諭(きょうゆ)(ちゅう)高等(こうとう)()兼務(けんむ)()現職(げんしょく)図書館(としょかん)教育(きょういく)情報(じょうほう)教育(きょういく)()()み、著書(ちょしょ)多数(たすう)執筆(しっぴつ)教育(きょういく)(よう)情報(じょうほう)システムの開発(かいはつ)研究(けんきゅう)にも複数(ふくすう)参加(さんか)している。現在(げんざい)大学(だいがく)では「司書(ししょ)教諭(きょうゆ)資格(しかく)取得(しゅとく)科目(かもく)」を担当(たんとう)

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