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防災のプロが解説!ライフラインが止まっても慌てない「備蓄」の3ステップ【親子で取り組む防災チャレンジ】

防災のプロが解説!ライフラインが止まっても慌てない「備蓄」の3ステップ【親子で取り組む防災チャレンジ】

防災グッズを準備していても、実際に被災したときのことを考えると「ライフラインがなくても生活できるだろうか」「防災リュックの中身を活用できるかな」と不安になってしまう人は多いのではないでしょうか。

「いざというとき慌てないために、防災を日常の生活の延長にしておくことが大切です」と語るのは、国際災害レスキューナースとして活躍する辻直美さん。

いったいどういうことでしょうか? 親子で取り組める「防災チャレンジ」について教えてもらいました。

被災時を生き抜くために身につけたい「対応力」って?

地震や水害が起きたとき、まずやらなくてはいけないのは「身の安全を確保すること」。

被害の大きさや周囲の状況から、避難所に行くのか自宅にとどまるのか、避難所に行くならどの道から行くのか、何を持っていくか。すべてを自分で選択するための「判断力」がとても重要です。

自宅避難を選択した場合は、備蓄している食料や防災アイテムを使って生活を送ることになります。

たとえば食料の備蓄について考えてみると、「調理しないでそのまま食べられるもの」を買い揃えている方が多いかもしれません。

じつは、その視点だけで備蓄をするのは持続可能ではありません。なぜなら、食べる機会がなければ廃棄処分しなければいけないし、食品ロスになってしまうからです。

大切なのは、備蓄も日常の延長線で考えること。カセットコンロとボンベ、フライパンなどの調理機器さえあればお米が炊けるし、パンも焼ける。普段私たちが夕食で食べているような料理だって作れるんです。

さまざまなレトルト食品も、パッケージに書かれているだけが調理法ではありません。パスタソースをうどんにかけてもいいし、スープに使ってもいい。

野菜にかけることだってできますよね。すでにおいしく味付けして作られているものだから、どう調理してもきっとおいしいでしょう?(笑) そんな「応用力」もぜひ身につけてほしいと思います。

防災力がアップする「おうちチャレンジ」3ステップ

とはいえ、どんなに防災について知識があっても、防災グッズを完璧に揃えていても、いざとなると思うように動けないのが被災現場の実情です。

災害時に行動に移せるのは、日常でやっていることだけ。そこで、普段の生活を防災の延長線にするための、3つのステップを紹介します。

1.脱・食品ロス!「食品の賞味期限チェック」

まずは家の中にある備蓄のチェックです。キッチンにある食品を全部出してみて、何がどのくらいあるか、そして賞味期限を確認しましょう。

備蓄において大切なのは、賞味期限切れにならないように「使う→買い足す」を繰り返していくこと。防災用にと棚の奥にしまいこんでおくのではなく、普段の料理で使っていくローリングストックが理想です。

ローリングストックのメリットは、食品ロスが減らせることだけではありません。被災時にいつもの味を食べられることは、不安な被災時の心の支えにもなるんですよ。

まずは、賞味期限を確認して、家族全員が使いやすいように収納していきましょう。

被災時に子どもだけで過ごさなければならないというケースでも、どこに何があるかを把握していれば、安心して食事をすることができます。

簡単で節約も!持続可能な「ローリングストック」って?

2.停電時を想定するのがカギ!「冷蔵庫の中身を整理整頓」

続いては、冷蔵庫の中を整理整頓していきましょう。じつは冷蔵庫内の収納も、工夫次第で立派な防災になります。

電気が止まってしまった場合、冷蔵庫はどうなるでしょうか。

たとえば、私が参加しているフードロス削減のためのプロジェクトが行った検証結果によると、冷凍室に保存したものはゆっくり溶けていくので24時間は品質に問題なく、冷蔵庫も3~4時間はある程度の冷たさが持続することがわかりました。

ただし、いずれも「扉を開けない場合」に限るので、できるだけ冷蔵庫のドアの開閉を少なくする必要がありますよね。

そのためには、普段から冷蔵庫内に何があるかを把握しておくことが大切。さらに、無駄にドアの開け閉めする必要がないように収納しておくと、日常的にも電気代の節約になります。

ちなみに、我が家の冷蔵庫の中身がこちら。

 

冷気は上から下に流れるため、しっかりと冷やしたいものは下の方に。メッシュのカゴには、朝食で使うもの、夕食で使うもの、和食用、洋食用、中華用といった具合に、用途別にわけて食品や調味料を収納しています。

冷凍庫の収納も同様に、停電になった際、冷蔵庫の開閉をできるだけ少なくしながら、なおかつ食品をできるだけ上手に消費できる視点を持ちましょう。

自分で冷凍した肉や野菜は、市販の冷凍食品のように清潔な状態でフリージングされていないので、できるだけ早く使うように手前に。購入した冷凍食品は一番奥にしておくのがおすすめです。

画像提供/ご本人(Instagram @nao_saigairescue)

ちなみに、冷凍可能なペットボトルで水やお茶を凍らせて何本か入れておくと、保冷剤代わりになり、停電時に庫内の温度を下げるのに役立ちます。

3.被災時に絶対に役立つ!「カセットコンロ調理」

ライフラインが止まった際の調理に欠かせないのは、カセットコンロとボンベです。被災現場は、体力だけでなく精神をもすり減らします。電気やガスがなくても温かい食事がとれると、それだけで生きるパワーが湧いてくるんです。

実際に作った経験があると、いざというときも慌てずに食事の準備ができるので、鍋や焼肉といった出番だけにするのではなく、ぜひいろんな料理をつくってみてください。

たとえば、土曜のお昼はカセットコンロで焼きそばを作るとか、ホットケーキを作ってみるとか。そんなことからでも十分。

カセットコンロの調理はすごく楽しいので、お子さんも興味を示してくれるのではないでしょうか。何を作ろうか一緒に考えたりするのもいいですね。

失敗なんて怖くない。楽しみながら防災チャレンジをしよう

今回「防災チャレンジ」とお伝えしましたが、防災のためにやらなきゃ!と思うのではなく、あくまでも「楽しむ」ことが大前提。

たとえ失敗したなということが起こっても、落ち込む必要はありません。大切なのは、そこからどうリカバリーするか。たとえば、カレールウがあればどんな食材にも合いますし、たとえ少し焦がしてしまったとしても味は整います! 

ものが足りない、うまくいかなかったから諦めるのではなくて、「いまあるものでなんとかしよう!」と思えるかどうかが防災力アップにつながるカギ。意外に子どもの方が、ユニークな発想で挽回する方法を思いつくこともありますよ。

ぜひ、親子でいろいろと楽しみながら防災チャレンジに取り組んでみてくださいね。

 

取材・文/水谷映美 編集/石橋沙織

辻直美(つじ なおみ)さん ※辻は二点しんにょう

辻直美(つじ なおみ)さん ※辻は二点しんにょう

辻直美(つじ なおみ)さん ※辻は二点しんにょう

国際災害レスキューナース。一般社団法人 育母塾 代表理事。阪神・淡路大震災で実家が全壊したことを機に災害医療に目覚め、JMTDR(国際緊急援助隊医療チーム)にて救命救急災害レスキューナースとして活動。現在は講演会と防災教育をメインに、要請があれば被災地で活動を行っている。著書に、『保存版 防災ハンドメイド 100均グッズで作れちゃう!』(KADOKAWA)、『地震・台風時に動けるガイド 大事な人を護る災害対策』(発行:メディカル・ケア・サービス、発売:Gakken )などがある。

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