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本に夢中で、早寝早起きができない息子/教えて! 陰山先生【第4回】

本に夢中で、早寝早起きができない息子/教えて! 陰山先生【第4回】

息子は本を読むのが大好きで、夜11時~12時頃まで読んでいます。本を読む時間を決めても守れず、早く寝ることの大切さを言い聞かせても効果はありませんでした。どうしたら、早寝早起きの習慣をつけさせることができるでしょうか?

質問

小3の息子のことで悩んでいます。

息子は本を読むのが大好きで、夜11時~12時頃まで読んでいます。そのせいで朝起きられず、ほぼ毎日遅刻です。本を読みだすと夢中になってしまい、早く寝るように言ってもなかなか寝ません。本を読む時間を決めても守れず、早く寝ることの大切さを言い聞かせても効果はありませんでした。

担任の先生から注意されると、その時は泣いて反省しているようなのですが、帰ってくるとケロッとしていて、また同じことの繰り返しです。本を読むことはいいことなので、それ自体を止めさせるようなことはしたくありません。

どうしたら、早寝早起きの習慣をつけさせることができるでしょうか?

回答

「読書をさせようとするのだが、なかなか読書好きになってくれない。どうすればいいですか?」という相談は多く受けますが、今回の相談はその逆になっています。

たくさん本を読むことは何ら問題なく、どんどん読んで欲しいと思います。読書をたくさんすることで、国語だけでなく、他教科の学力も上がってくるというデータも出ています。しかし、早く寝ることの重要性を理解せず、本を読むことで夜遅くまで起き、そして朝起きるのが遅くなってしまっている。そして結果的に遅刻してしまっているのは確かに問題です。ではなぜ、このように夜遅くまで起きてしまうのでしょうか。そこのところを考えなければいけません。

読書は、確かに中毒のように夢中になってしまうことがしばしばあります。ただ、今回の相談のように、毎日ずっと本を読み、遅刻をするのはあまり多い例とは思いません。ですから、なぜ夜遅くまで起きてしまうのかということを一度考えてみるのもいいでしょう。そして、「ただ単純に本を読むことが好きで、中毒のように読んでいるのか」、それとも「別の理由があるのか」ということで、対策も変わってきます。

まず最初に、就寝時刻を決めることです。本来なら、小学校3年生であれば、夜9時ぐらいに寝てもいいはずですが、とりあえずは夜10時ぐらいをめどに布団の中に入るということを決めましょう。そしてそこから逆算をして、夕食やお風呂など生活の時間を決め、さらに、宿題などの時間を取ったうえで読書をする時刻を決める必要があるでしょう。

夜10時までに寝るとなれば、読書をする時間が今までよりは少なくなってしまいます。まずは、眠るまでにどれだけの読書時間が確保できるのかを親子で確認をすることが大切です。そして読書にどれくらいの時間が割けるかがわかったら、それに応じた本を用意することです。際限なく本を読むということをやってしまうと、あっという間に12時を迎えてしまうというのはありうることです。なにより、本を読むことはいいことですが、早寝早起きの正しい生活習慣をつけることはそれ以上大切ですので、その価値を子どもに教えてあげてほしいと思います。

また、読書時間を習慣づけるために、家族みんなでその時間帯は読書をすることとし、「その時間が終わったら、続きはまた明日」というルールを設けてもいいかもしません。

ただ、気をつけなければいけないことがあります。今回の一件を聞いていると、夜11時以降の就寝となっているのは、ただ単純に本を読むことが好きなだけではないかもしれません。多くはないのですが、子どもの中には、本を読むことに没頭することで、学校での友だち関係など日常生活の中で思い出したくないことを忘れようとする意識の子もいます。こうした場合、親や先生に注意をされても、そのことから逃避するために、本に没頭することがごくまれにあります。

いずれにせよ、子どもの就寝時刻が適切に守られるよう、一度しっかりお子さんの話を聞いてあげて、もし大きな生活上の問題がないとすれば、早寝早起きの重要性を再度家庭の中で指導し、眠ることが人間にとってもっとも大切なのだと理解させることが大切だと思います。単に、遅刻をするから本を読ませないということではなく、正しい時間の使い方を作り上げるというような構えで、しっかり対応してあげることがいいと思います。

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陰山英男(かげやまひでお)

陰山英男(かげやまひでお)

陰山英男(かげやまひでお)

1958年兵庫県生まれ。岡山大学法学部卒。
兵庫県朝来町立(現朝来市立)山口小学校教師時代から、反復学習や規則正しい生活習慣の定着で基礎学力の向上を目指す「隂山メソッド」を確立し、脚光を浴びる。
2003年4月尾道市立土堂小学校校長に全国公募により就任。百ます計算や漢字練習の反復学習を続け基礎学力の向上に取り組む一方、そろばん指導やICT機器の活用など新旧を問わず積極的に導入する教育法によって子どもたちの学力向上を実現している。近年は、ネットなどを使った個別の小学生英語など、グローバル人材の育成に向けて提案や実践などに取り組んでいる。
2006年4月から立命館大学 教授(立命館小学校副校長 兼任)に就任。現在は、立命館大学 教育開発推進機構 教授(立命館小学校校長顧問 兼任) 。全国各地で学力向上アドバイザーなどにも就任し、学力向上で成果をあげている。また、北は北海道,南は沖縄まで、全国各地で講演会を実施している。
過去には、文部科学省 中央教育審議会教育課程部会委員,内閣官房 教育再生会議委員,大阪府教育委員会委員長などを歴任。
著書多数。
Webサイト http://kageyamahideo.com/

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