夏休み特別編 その1 自主的に自由研究に取り組んでほしい/教えて! 陰山先生【第17回】
毎年、夏休みになると、自由研究は何をすればいいのかと頭を悩ませています。何かヒントなどをいただけたらうれしいです。
質問
毎年、夏休みになると、自由研究は何をすればいいのかと頭を悩ませています。
昨年は、息子には「めだかの観察日記」、娘には「牛乳パックでの工作」を勧めたのですが、飽きっぽい息子には継続して観察することが難しく、毎日観察するように声をかけなければいけませんでした。娘は「手伝って~」と甘えてきて、ほとんどをわたしがやることになってしまいました。
今年は心を鬼にして、親が決めるのではなく、子どもが自主的に「これやりたい!」と思わせるようにしたいのですが、どうやって導いていけばいいのでしょうか?
何かヒントなどをいただけたらうれしいです。
回答
自由研究は、もっと気楽に考えましょう
夏休みの自由研究は、多くの保護者が頭を悩ませる課題です。
なぜかと言うと、「研究」という名前に引きずられ、何か大きな題材にしなければいけないかのような錯覚があるからです。
まず、研究という言葉を横に置き、自由にやっていいと考えてみましょう。そうすると、いろいろなものが考えられると思います。
もっとも簡単な方法は、インターネットにアクセスし、「自由研究 夏休み」というように検索すれば、多くのサイトで自由研究のサンプルが提案されています。その中から自分の好きなものを見つけ、取り組んでみましょう。
また、近年は、科学館やいろいろな場所で、自由研究のイベントが行われ、さまざまな実演がなされています。多くの子どもたちといっしょに、楽しみながら自由研究に取り組むイベントもあります。
そのほか、書店でも自由研究のガイドブックが売られています。それらは自由研究というよりも、家庭でできる面白実験というような内容でもあります。そこで提案されているのは、100円ショップで売っているような物を使ってできる、本格的な理科実験です。
陰山先生のおすすめ自由研究
わたしが担任時代によくやった簡単な理科の実験は、ドライアイスの実験です。そのいくつかを紹介します。最近は、スーパーでも冷凍食品などを買うとドライアイスをもらえることがありますので、とっておくといいでしょう。ただし低温やけどには十分注意してくださいね。
- ドライアイスをビーカーの中に入れ、そこに工業用アルコールを入れます。アルコールの凝固点は非常に低いので、氷点下何十度という冷たい液体ができます。扱いには注意が必要ですが、ここにやわらかい葉っぱなどを入れると、瞬間に凍ります。
※ガラスのコップだと割れる場合がありますので、注意してください。ビーカーの代わりに紙コップを使ってもよいでしょう。 - 風船の中にドライアイスのかけらを入れ、風船の口を閉じると、ドライアイスが二酸化炭素に気化し、風船が大きく膨らんでいくのを確かめることができます。
- ドライアイスは通常の状態では、表面はいつも気化しているので、机の上などすべらせると、すごい勢いですべっていきます。
- ビーカーの中にドライアイスを入れておき、そこにろうそくの火をいれるとすぐに消えます。
ドライアイスだけでも、このようにさまざまな実験を行うことができます。これらを模造紙やデジタルデータでまとめておくだけでも、楽しい研究になります。
また、そうした学習の前後に、ドライアイスが二酸化炭素を固まらせたものであるということを学習させれば、これからの学習にいろいろと応用できることもあります。
自由研究は子どもといっしょに楽しむもの
自由研究の作品を見ていると、親が関わっているだろうなと思う作品が多いものです。実際にコンクールなどに入選するものは、親でなくとも、何かしらの大人の援助があるのが一般的です。ですから、「子どもだけで取り組まなければ」と構えるのではなく、重要なところは子どもに委ねながらも、保護者が上手に応援し、いっしょに楽しむという観点があればいいと思います。
子どもたちが独自で考え、子どもだけの力でやっていくという考えは一度横に置き、親子で研究を楽しむのです。そうした経験が土台となり、中学校や高校に行ったとき、今度は、子どもたちが自分の好奇心によって、大人ではもう提起できないような新しい科学への挑戦をはじめていくことが増えてくるでしょう。
実際に、わたしの教え子でもよくあったことですが、取り組んだ自由研究の内容がきっかけとなり、将来の進路につながることもあります。
重要なことは、楽しみながら進めることです。宿題だからと義務的にやっていたのでは、後々のいい影響にはつながりません。
このようなことを踏まえて、今年の自由研究を選んでみてはいかがでしょうか。
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