春から中学生になる娘にお金の管理の仕方を教えたい/教えて! 陰山先生【第24回】
4月から中学生になるので、この機会にお小遣い制にして、お金の管理をさせようと思います。お小遣い制にする際に、決めたほうがよいことや、無駄遣いしないようにするコツなどありましたら教えてください。
質問
小6の娘に、お金の管理の仕方をどう教えたらいいのか悩んでいます。
今まで娘には、月々決まった額のお小遣いは渡したことがありません。
毎日、おやつは用意していますし、娘が「欲しい」と言うものは、わたしや夫が必要だと判断すれば買っています。
お祭りなどの行事の際は、その都度必要だと思う額を渡しているので、あえて、お小遣いを渡さなくてもいいと思っていました。
お年玉もわたしがすべて管理し、娘には合計金額を言わずにそのまま貯金しています。
その話をママ友にしたら
「それでは、金銭の管理が身につかないから良くない」
と指摘され、このままではよくないのかな。と不安になりました。
ちょうど4月から中学生になるので、この機会にお小遣い制にして、お金の管理をさせようと思います。でも、今までやってこなかったので、どう教えたら良いのかわかりません。
まずは、お小遣い帳をつけるところから始めればいいのかなとも思いますが、日記も三日坊主で終わってしまうような娘なので、続かないのではないかと不安です。
お小遣い制にする際に、決めたほうがよいことや、無駄遣いしないようにするコツなどありましたら教えてください。
回答
学校の家庭科でもお金の使い方を多少は教えますが、多くの場合、家庭で教えることの方が多いでしょう。なぜなら、お金に対する考え方は各家庭や個人によって大きく異なり、その人の生き方や人生観に関わっているからです。ですからこの機会に、家庭におけるお金に対する考え方というものを、まず保護者がよく考えておきましょう。その考え方により、お小遣いに関することがいろいろと違ってきます。
子どもが必要なものとその金額をリストにしましょう
まずは、金額をどうするのか。一般的には必要なものとその金額をリストにして明らかにしておき、それに見合った額を渡す場合が多いでしょう。
ここで問題になるのは、ノートやペンなどの学用品をお小遣いで買うか、別にするか、というようなこと。もし子どもが好みに応じて自分で買うとするなら、それらを含んだ額をお小遣いで渡すことになり、当然金額はふくらんでくるでしょう。
一方、お手伝いなど、家庭への貢献に応じて金額を変えるというやり方もあります。基本的なお小遣いの額は少なくしておき、お手伝いとか、何かしらの活動に対するごほうびのような形でプラスとなる額を決めていくというやり方です。
また近年は、自分が何を必要としているのかをきちんと親にプレゼンし、その内容によってお小遣いを渡すというような家庭もあります。お小遣いの渡し方ひとつにしても、実にさまざまな考え方があるものです。
子どものころからお金の管理をしたほうが良い理由
ところで、金銭の使い方が荒くならないよう、お金を大切に使うということを第一の方針とするならば、お小遣い帳をつけることはやはり効果的でしょう。これは日記と違い、実生活に直接かかわってきますから、意外と長続きするものです。
一般的に、男の子に比べ女の子はお小遣い帳をつけることが苦にならず、むしろそれをきっかけに、お金を貯めることの意義や効果的なお金の使い方を考えられるようになることが少なくありません。さらに無駄遣いも減ってきます。自分にとって何が大切なのか、数字を見ながら客観的に考えることができるからです。
その点では、銀行の通帳を持たせて貯蓄をさせるのも良い方法かもしれません。貯まったお金をどう活かすのかを考えるのは、ひいてはその後の人生にもプラスとなることでしょう。いつか知り合いの銀行員から聞きましたが、小さいころからお小遣帳をつけ、お金の出入りをきちんと管理している人というのは、銀行からも信頼性が高く融資が出やすい、ということでした。
最近はスマホのアプリにも家計簿のソフトがあり、それを使えばグラフ化することも簡単にできます。わたしは『陰山手帳』という手帳を出版していますが、その中にもお金の出入りを記録するページを設けています。こうした大人がするような管理の仕方も、早い段階から教えておいても決してマイナスにはならないでしょう。
お金は直接社会とつながっているものです。金額の多い・少ない、お小遣いのあげ方・もらい方、そしてその貯め方や管理までひっくるめて、どのようにお金と接していくかということを考えてみてください。
よその家庭は参考程度。わが家の考え方で決めること!
最後に、注意しておかなければいけないたったひとつのことは、ほかの家庭と同じにしようとしてはいけないということ。
お金に対する考え方は、各家庭によって違います。また収入も支出も違います。人の生き方も違うのですから、ほかの家庭のようすやほかの人の考えを、少し参考にすることはあっても、最終的にはやはり各家庭・各個人で決めるべきでしょう。
わたしもお小遣いをねだったことがありました。そのとき、わたしの母は「よそはよそ、うちはうち」の一言でその要求を突っぱねていました。わたしはそれで良いと思います。それぞれの人間のそれぞれの在り方がある。そのことをしっかり伝えてあげられると良いでしょう。
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