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小3の娘、このまま塾に通わせ、中学受験させるべき?/教えて! 陰山先生【第25回】

小3の娘、このまま塾に通わせ、中学受験させるべき?/教えて! 陰山先生【第25回】

中学1年と小学3年の娘がいる母です。上の娘は地元の公立中に通っています。下の娘を中学受験させるべきかで悩んでいます。

質問

中学1年と小学3年の娘がいる母です。下の娘を中学受験させるべきかで悩んでいます。

わたしも働いているので、毎日学童に行かせるよりはと思って、小1からお友だちといっしょに英会話教室に通わせていました。その英会話教室は、勉強というよりも英語で遊ぶという内容です。

昨年の秋、「算数と国語も教えましょうか?」と言われ、本人もやりたいというので、同じ教室で算数と国語も教えてもらうことにしました。しかし算数と国語の教室は、中学受験するという子ばかりだと、あとで知りました。そして、最近になって娘も「受験したい」と言い出しました。

上の娘は地元の公立中に通っています。今まで中学受験などまったく考えていなかったので、わたし自身も受験の知識がなく戸惑っています。夫に相談すると「公立で十分」という意見でした。それに「上の子が公立中なのに、下の子だけ私立中に行かせていいのか」とも言われました。

でも、せっかく楽しく通っている教室を辞めさせるのもかわいそうですし、なにより本人がやる気になっていることに水をさすのも……と思ってしまいます。しかし、上の娘のことも考えるとちょっと複雑です。

娘たちのために何が一番正しい選択なのか、よくわからなくなってしまいました。

回答

中学入試を受験するかどうかというのは、たいへん悩ましい問題です。というのは、受験のための労力が大きいうえ、受験費用やのちのちの学費もかかるからです。にもかかわらず、地域によっては、公立学校が信頼できないからという、いわば消極的な理由で受験せざるを得ないと判断する家庭もあります。

中学受験をする理由と強い意志があるのかを確認

今回の場合は、姉が公立中学に通っていて、親もそのことに大きな不満があるわけではないので、公立中学に行かないという判断は必要ないでしょう。とすれば、私立中学を受験するには、なおさら特別な理由が必要になってきます。

まず、塾で勉強をしているから中学受験をするというのは、判断の基準としては適切なものとは思えません。なぜなら、私立中学にはそれぞれ独自の校風や教育方針がありますから、そのような公立にない特色ある教育を受けたいという理由がないのなら、そもそもどこの私立中学を受験するのか選びようもありません

なにより、「周囲の友だちが受験するから自分も」というのは、自分の進路を友だちの判断にゆだねることになるわけで、決して好ましいものではありません

上の子が公立中学なのに、下の子だけ私立中学に行かせてよいのか。この観点は、子育ての費用を考えてみれば、あながち無意味ではないでしょう。私立中学にかかる費用を、姉妹がともにできる勉強や活動にあてれば、より有意義になることもあるでしょう。

私立中学に行くということは、本人だけではなく、家族の今後の生活にも関わる大きな決断を要するものだということ。そのため大前提として、まず本人の意志や希望がしっかり固まっていなければならないということを、お子さんに理解させることが必要だと思います。

姉妹2人の将来を考える良い機会ととらえて

このように中学入試を検討することになった今、この機会を今後の方向性を考える良いきっかけとしてとらえてみてはどうでしょう。

今回中学受験について答えが出ていない最大の理由は、実は、お子さんの将来をどのようにしていきたいか、その方向性が定まっていないことからきているように思うのです。たしかに小3というのは、いわゆる進路を考えるにはやや早いような気もします。しかし、現実に多くの子どもたちが中学受験をしている地域では、環境的にそろそろ意識せざるを得ないのかもしれません。

まずはお子さんに自分の将来を考えさせてみましょう。まだ漠然としているかもしれませんが、中学や高校でどんな学校生活を送りたいのかということくらいは、家族で話し合ってみると良いと思います。すでに中学生である姉も交え、その経験や考えを参考にするのも良いでしょう。これは姉にとっても、これからの高校入試や大学入試、さらにその先をどうしたいのか考えるための良い機会となるはずです。

幼い子どもが、「パン屋さんになりたい」「お菓子屋さんになりたい」と無邪気に言ったとしても、今はパンひとつつくるにもまずはフランスへ行き、パン職人としての修業を積む若者もいる時代です。世界に飛躍することもそう困難ではない時代、将来の可能性や選択肢は、これからもっと広がってゆくことでしょう。そうした状況を考えれば、どのような未来や進路があるのかということを早い段階から意識するのは、決して無駄ではなく、あとから振り返ったとき、必ず意味あることだったと思うことでしょう。

塾で算数と国語を教えてもらったということを、勉強のひとつの機会あるいは進路を考えるきっかけととらえ、将来の希望や夢を、姉も含め家族で考えてみてください。それなりのプロセスと時間をかけることによって、受験すべきかどうかは、ほどなく自然に決まってくるのではないでしょうか。

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陰山英男(かげやまひでお)

陰山英男(かげやまひでお)

陰山英男(かげやまひでお)

1958年兵庫県生まれ。岡山大学法学部卒。
兵庫県朝来町立(現朝来市立)山口小学校教師時代から、反復学習や規則正しい生活習慣の定着で基礎学力の向上を目指す「隂山メソッド」を確立し、脚光を浴びる。
2003年4月尾道市立土堂小学校校長に全国公募により就任。百ます計算や漢字練習の反復学習を続け基礎学力の向上に取り組む一方、そろばん指導やICT機器の活用など新旧を問わず積極的に導入する教育法によって子どもたちの学力向上を実現している。近年は、ネットなどを使った個別の小学生英語など、グローバル人材の育成に向けて提案や実践などに取り組んでいる。
2006年4月から立命館大学 教授(立命館小学校副校長 兼任)に就任。現在は、立命館大学 教育開発推進機構 教授(立命館小学校校長顧問 兼任) 。全国各地で学力向上アドバイザーなどにも就任し、学力向上で成果をあげている。また、北は北海道,南は沖縄まで、全国各地で講演会を実施している。
過去には、文部科学省 中央教育審議会教育課程部会委員,内閣官房 教育再生会議委員,大阪府教育委員会委員長などを歴任。
著書多数。
Webサイト http://kageyamahideo.com/

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