「賢い子ども」の育て方

第10回 面白い問題と面白くない問題

第10回 面白い問題と面白くない問題

8月15日の「子どもの学力差はここでつく!」の回で
算数の問題には4種類あります。やさしくて面白い問題、やさしくて面白くない問題、難しくて面白い問題、難しくて面白くない問題です。
というお話しをしました。

やさしくて面白くない問題の典型は単純な計算問題です。

3+5=□

7+6=□

15+28=□

楽しいでしょうか?

こういう問題を楽しいという子はわたしの教室にはいません。
「算数を得意にするためには計算練習は大切だ。」
と言う人はたくさんいるでしょう。
こういう計算練習は必要でしょうか?
「全く必要ありません。」とわたしは断言します。

では、こういう問題はいかがでしょうか?


【ルール】
図のマスに1~4までの数字を1つずつ入れます。
どの列(たて、横とも)にも1~4の数字が1つずつ入ります。
数字は、太線で囲まれたブロックの数の和(たしたもの)を表します。
(学研プラス「賢くなるパズル」たし算初級より)

これは計算ブロックというパズルで、わたしが2004年に考案しました。
1,2,3,4しか使わない計算のパズルですが、ほとんどの人が没頭します。

このパズルを世界のあちこちで試しました。
タイの小学校、ニューヨーク日本人学校、ニュージャージー補習授業校、プリンストン公共図書館、MoMath(マンハッタンの数学博物館)、クイーンズの小学校、ニューヨーク日系人会のシニアの会、ミャンマーの僧院学校などなど。
年齢、性別、国籍、人種に関係なく、ほとんどの人が没頭しました。

タイで授業を行ったとき、日本語の通訳ができるタイ人女性のお世話になりました。
授業前日、この女性にパズルの説明をしましたが、あまり理解できなかったようで、
「このパズルを一晩お借りしてよろしいでしょうか? 自分の部屋でじっくり考えたいんです。」
と言うので、翌日使う予定のパズルを1セットお渡ししました。

翌朝、
「このパズルは1~4しか使わなくて、たし算だけなのにとても面白いですね!」
とすっかり、計算ブロックに没頭されたようです。

翌日の授業がうまくいったのは半分はその通訳さんのおかげです。
ミスをした子にアドバイスまでしてくれましたから。

計算問題も工夫すれば面白くなるのです。
こういうパズルを面白がって解き続けるとどうなるか?
もっと難しいパズルを解きたくなります。

このパズルの最上級問題がこれです。


【ルール】

  1. 図のマスに1~9までの数字を1つずつ入れます。
  1. どの列(たて、横とも)にも1~9までの数字が1つずつ入ります。
  1. 太線で固まれたブロック内のマスが2つのとき、ブロックの中に書かれた数字は、マスに入る数字の和(たしたもの)、差(ふたつの数を比べたときに、いくつちがうか)、積(かけたもの)、商(ふたつの数のどちらかでどちらかをわったもの)のいずれかを表します。
  1. 太線でかこまれたブロック内のマスが3つ以上のとき、ブロックの中に書かれた数字は、マスに入る数字の和または積を表します。

(読売新聞「KODOMOサタデー」より)

読売新聞・夕刊の「KODOMOサタデー」というコーナーに掲載されていますが、回答を寄せてくれる読者の年齢幅は大きく、10歳代から90歳代の人たちまで嬉々としてこの難しいパズルを解いているのです。

読売新聞の連載は2010年に始めましたが、当初は5×5のたし算だけのパズルでした。
でも、ほとんどの人にとっては未知のパズルなので、多くの人は手こずっていました。
投稿される方々のコメントを毎回興味深く読み、少しずつレベルを上げていくと、6年後には最上級の9×9、四則混合、演算記号なしに行き着きました。

面白くない問題をしかたなしにいくらやってもいいことは何もありません。
子どもには面白い問題だけを与えましょう。

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低学年の子どもにとって算数を学習する上で最も大切なもの

宮本哲也先生
宮本哲也(みやもとてつや)
1959年生まれ。
学生時代に塾業界に足を踏み入れ、大手進学塾講師を経て1993年宮本算数教室を横浜に設立。
「指導なき指導」を授業の柱に「無手勝流算数家元」と自らを名乗る。
無試験先着順の教室ながら、近年卒業生の80%以上が首都圏最難関中学(開成・麻布・栄光・筑駒・フェリス・桜蔭など)に進学する実績をあげている。
2009年、教室を日本橋に移転。2015年、教室をマンハッタンに移転。2017年、教室を中野に移す。

Webサイト http://www.miyamoto-mathematics.com/