言うことを聞かない子どもに、親としてどう向き合うべきか/くやまない、悩まない、自分を責めない――心がラクになるアドラー流子育て【第4回】
子どもは、親の言うことは聞かないけれど、親がやっていることはやるそうです。つまり、親の背中を見て育っているんですね。わが子であっても、「対等なひとりの人」として、ともに考え、ともに歩むという視点で接していけば、子育てはもっと楽になります。
親の言うことを聞かない子どもに手を焼いているという保護者の話はよく耳にするのですが、「しつけ」という名目で、ここまでしていいものかどうか。でも、親といえども人間、ついかっとなってしまうことは理解できます。
このニュースに接して複雑な気持ちになったのは、きっと、わたしだけではないと思います。
親になって思うこと
確かに、子どもって、親の言うことを素直に聞く子ばかりではありません。小さな子どもから思春期、あるいはおとなになっても、親の言うことなんて聞く耳を持たないというケースはいくらでもあると思うんです。
実は、わたしもそういう子どもでした。悪いことをしていると頭ではわかっていても、上から目線で命令されると、素直に聞き入れることができなかったんですね。反抗することも多かったですし、親のことを理不尽と感じることも多々ありました。親の価値観を押し付けられることが大嫌いな子どもだったのです。
そんな自分が親になってみて、今、思っていること――それは、自分は親に、とっても苦労をかけてきたんだなあということです。
わが子たちも、実はわたしを上回るほどの頑固者。小さい頃から、わが子たちとのコミュニケーションは本当に大変でした。
特に長男は、物心つく頃から自分の納得しないことには、首を縦にはふりません。「嫌なものは嫌」「できないことはできない」と、はっきり意思表示をします。
いつもマイペースで周囲に流されないタイプ。一体、わたしはこれまで彼と、何度衝突してきたことでしょう。
それでも、20歳を過ぎた頃には、親に感謝の気持ちを伝えることのできる人に成長してくれました。
「良い子になってほしい」という思いは、誰にでもありますよね。また「人に迷惑をかけない子であってほしい」「立派なおとなになってほしい」と親は思うものです。
本当に良い子?
でも、それでは「良い子」ってどんな子でしょうか? 親の言うことを聞く子は、本当に良い子なのでしょうか?
こんな話を聞いたことはありませんか? 「親を怒らせたくない。親の喜ぶ顔が見たいし、ほめてもらいたいから、自分の気持ちを押し殺して、良い子を演じている子どもがいる。」ということを。
このように本当の自分を表現できない子は、表面上は育てやすい「良い子」ということができるでしょう。でも、その結果、おとなになっても、周りの目ばかり気にしてしまい、本来の自分が見えずに苦しむことにもなりかねないのです。
自分が変われば、子育てはもっと楽になる
「子育て」は「自分育て」とよく言われますが、わたしも心からそう思います。親としても人間としても、まだまだ未熟なわたしに、子どもたちは色々なことを教えてくれます。
『相手を変えようとするのではなく、まず自分から変わる』というアドラーの言葉は、いつもわたしに勇気と希望を与えてくれます。相手を変えようとするのは至難のわざで、とてもストレスがたまります。それに比べれば自分が変わるほうがずっと楽です。自分が変われば周りの見え方も変わってきます。
子どもを変えるのではなく、自分が変わる。
子どもは、親の言うことは聞かないけれど、親がやっていることはやるそうです。つまり、親の背中を見て育っているんですね。
わが子であっても、「対等なひとりの人」として、ともに考え、ともに歩むという視点で接していけば、子育てはもっと楽になります。
あなたもアドラー流で、「子どもから学ぶ子育て」を楽しんでいきませんか?
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