「がんばってね!」は禁句です/「賢い子ども」の育て方【第8回】
わが子に対して「がんばってね!」という声かけをよくしますよね。でも、時と場合によってはこの言葉が子どもをひどく傷つけ、ゆがめてしまうことがあるのです。
スポーツ選手に「がんばってね!」と声援を送るのは問題ありません。
彼らはその競技が大好きで試合に臨んでいるからです。
でも、選手によってはこの言葉を嫌がることもあります。
わたしもたまに生徒の母親に
「先生、お仕事がんばってくださいね!」
と言われることがありますが、実に嫌な気分になります。
なぜだと思いますか?
「オレはいつも100%がんばっている! おまえこそがんばれよ!」
と感じるからです。
もちろん、発言する人に悪意など微塵もなく、わたしを応援したいだけなのはわかります。 でも、あまりにも無神経です。
では、「がんばってね!」のどこがいけないのでしょうか?
勉強に関して「がんばってね!」を使う場面といえば、「宿題、がんばってね!」「明日のテスト、がんばってね!」でしょう。
しかし、宿題は楽しんでやるものではありません。
それをがんばらせるとどうなるか?
「終わらせればいんだろう!」と雑にやるか、答えを丸写しするかでしょう。
範囲指定のあるテスト勉強も楽しくありません。
それをがんばらせるとどうなるか?
「点数さえ取ればいいんだろう!」とカンニングに走るかもしれません。
楽しくないことはがんばれないのです。
「がんばってね!」は全否定の言葉でもあります。
「自分は50%くらいがんばっている。」と思っている子が母親から「がんばってね!」と言われるとどうなるか?
いきなり0%判定を突きつけられた気分になり、がっかりするかもしれません。
子どもの側の受け取り方は「おまえは全然がんばっていない! もっとやれよ!」かもしれません。
これが続くとどうなるか?
「どうせ何をやっても否定される。」と子どもはどんどん無気力になっていきます。
自発的に動かなくなり、反抗すらしなくなります。
母親に言われたことを仕方なしにしぶしぶやるようになります。
こういう場合の母親の愚痴はたいてい
「うちの子は言わないと何もやらない。」
です。元凶は自分自身なのに。
この悪い流れを断ち切る簡単な方法があります。
「がんばってね!」を「がんばってるね!」に変えればいいのです。
「がんばってるね!」は全肯定の言葉です。
「自分は50%くらいがんばっている。」と思っている子が母親から「がんばってるね!」と言われるとどうなるか?
「そうでもないけど。でも、そんなふうに言ってくれるのなら、もう少しがんばってみようかな。」
となるかもしれません。
「がんばってね!」をわが子に連発している方はぜひお試しください。
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