中学受験の意味と意義/「賢い子ども」の育て方【受験編】
何のために中学受験をすると思いますか?
「いい大学に入るため!」
この答えは0点です。
健全に成長し、幸せになるために中学受験をするのです。
ある種の哺乳動物はある年頃になると家族から離れ(追い出され)、同性だけで群れを作るようになります。そしてその群れの中で組織の掟を学び、協調性や闘争心を磨いていきます。
やがて一人前になれば群れを離れ、配偶者を得て家族を作ります。動物と人間を同一視することはできませんが、基本的な本能の部分は同じです。
小学校低学年のころは母親にべったりだった甘ったれの男の子も、高学年になると母親を遠ざけるようになり、中学生になるといっしょに歩くことを嫌がるようになります。
中学生になって急に大人びるというのもよくあることですね。
そういう微妙な時期の真っ只中に中学受験は位置します。
生活の場を家庭から群れにバトンタッチする時期です。
絶対に子どもを家庭に引き止めてはいけません。
高齢ニートの増加が問題になっていますが、彼らにも親の束縛をうるさく感じ、自立するチャンスが少なくとも1回はあったはずです。
それを親が(多くの場合、母親が)
「さみしいから、ママのそばにいて!」
と引き止め、自立のチャンスを潰してしまうのです。
そういうことを繰り返すと子どもの方も
「この方が楽でいいや。」
と親元を離れなくなります。
子どもが二十歳を過ぎても仕事をせず、親元を離れないでいると親の方がそわそわし始めます。
「そろそろ自立した方がいいんじゃないの?」
と母親が言ってもたいていの場合手遅れです。
そもそも自立の目を潰したのは母親なので、一生、子どもの面倒を見なければなりません。
子どもより先に死んではいけません。
さみしいのならペットを飼いましょう。
ペットは自立させる必要はありませんし、ずっとそばにいてくれます。
わたしの授業の特徴は「教えない」ことなので、子どもたちは簡単に自立し、親を必要としなくなります。
親には
「子どもをいじってはいけません。」
といつも言っています。
中学受験は自分に合った群れに合流するチャンスなので、学校選びは慎重に行いましょう。偏差値の高い学校がいい群れなのではなく、お子さんがよりよく伸びる群れがいい群れなのです。
いい群れに合流したければ、自分もその群れにふさわしい人間になるように自分を磨かなければなりません。そのための勉強、学習です。
宮本算数教室の卒業生のほとんどは中高一貫校に進学します。
中高一貫校は「学校主導型」と「生徒主導型」の2種類あります。
「学校主導型」
生徒の個性、主張を認めず、テストを頻繁に行い、宿題を大量に出す場合が多いです。すべては大学受験のためです。本人の適性を無視して、少しでもレベルの高い大学に入れようとする学校もたくさんあります。それは生徒のためではなく、学校のレベル、格を上げるためです。わたしはこういう学校が大嫌いなので、絶対に勧めません。
「生徒主導型」
生徒の個性、主張を認め、束縛しません。もちろん、テストも宿題もありますが、考える問題を出す場合が多いので、生徒も楽しんで取り組むことができます。大学進学も本人の適性を考慮し、生徒自身に選ばせます。うちの卒業生のほとんどはこういう学校に進学し、再会した昔の生徒たちはそれぞれに合った充実した人生を歩んでいます。
また、子どもの進学先を共学にするか別学にするかで悩むこともあるでしょう。
「世の中には男がいて、女がいるのだから、共学が自然」という意見もありますが、
12歳から18歳という最も多感で繊細な時期に異性の目を気にせず、思う存分自分をさらけ出し、磨きあげることの方がより重要だと思います。
以上の理由からわたしは中高の6年間は別学をお勧めしています。
中高の6年間を大学進学の準備のためだけに費やすのはとても危険です。
そして偏差値だけで進学先を決めるのはさらに危険です。
この場合の危険とは「幸せな人生」にならないということです。
公立中学に進学する場合はどうなるのか?
優秀であれば優秀であるほど、自分にいい意味で刺激を与えてくれる人に出会える可能性は低いでしょう。もちろん、それでも幸せな人生を歩んでいる人はいます。
中学受験の意味と意義は
「自分に合った群れに出会う絶好のチャンスである。」
というのがわたしの中での結論です。
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