そのスマホ、フィルタリングはかかっていますか?/データで読み解く、子どもとスマホ【第13回】
子どもたちを危険な情報から守るフィルタリング。子どもが使う携帯・スマホにはフィルタリングが義務づけられていますが……
フィルタリングって何?
前回、出会い系サイト・コミュニティサイトがきっかけで犯罪被害にあった児童の9割以上が、スマホにフィルタリングをかけていなかったことをお伝えしました※1。
ここでいうフィルタリングとは、インターネット上にある好ましくない情報をスマホなどで見えないようにすること。好ましくない情報とは、アダルト情報だけはありません。犯罪や暴力、コミュニケーションサービス(SNSを含む)などもフィルタリングの対象で、通常、初期設定ではアクセスできないようになっています。
フィルタリングにかかわる法律を5割弱の保護者は知らない
このフィルタリング、保護者はどのくらい知っているのでしょうか。
内閣府の「青少年のインターネット利用環境実態調査」(平成27年度)※2で見てみます。フィルタリングについて「知っていた」または「何となく知っていた」と回答した保護者は約95%と大多数を占めています。
しかし、前回お伝えしたように、フィルタリングの利用率はあまり高くなく、子どもが使うスマホのフィルタリング利用率は41.4%。前年度に比べて2ポイント減少しています。※3
フィルタリングについての高い認知がある一方で、フィルタリングを子どものスマホに適用することへの感心は薄いことが見えてきます。
ここで、青少年インターネット環境整備法※4の認知についての項目を見てみましょう。
青少年インターネット環境整備法では、保護者には「18歳未満の子どもが携帯・スマホを使う場合、事業会社に使用者が子どもであることを申し出なければならない義務」、そして「ネットには有害情報がはんらんしていることを認識して、子どもをしっかり見守るよう努力する責務」が定められています。
なお、携帯事業者は保護者から不要という申し出がない限り、18歳未満の子どもが携帯・スマホを使う場合にはフィルタリングの提供が義務づけられています。ですから、保護者が18歳未満の子どもが携帯・スマホを使うと申告すれば、フィルタリングが適用されます。
さて、この法律があること、保護者の義務があること、保護者の責務があること、これらについて「いずれも知らない」と回答した保護者は44.5%です。※5
中学生の6割は「親は自分のスマホ利用状況を把握していない」と思っている
たとえ法律の定めを知らず、フィルタリングを導入しなくても、子どもの様子をよく見ていれば子どものスマホを安全に管理できる、と思われる方もいるでしょう。
しかし、子どもの側から見たらどうでしょうか。
民間の調査会社MMD研究所がインテルセキュリティーと共同で行なった「中学生のスマートフォン利用実態調査」(平成27年7月発表)※6を見てみましょう。
親が自分のスマートフォン利用状況を「把握していると思う」と答えた中学生は42.5%。子どもの側から見ると、6割弱が「親は自分のスマホの利用状態を把握していない」と認識しているという結果です。
一方子どものスマホの利用状況を「把握している」と答えた親は64.4%。親と子の間には意識のギャップがありますね。
「自分は子どものスマホの使い方をあまりわかっていないかもしれない」ということを、保護者は認識しておかなくてはいけないようです。
そして、このフィルタリングには、じつは多くの抜け道があるのです。そのことについて、次回読み解いていきます。
(おわり)
- ※3
- 通常のスマホ、子ども向けスマホ、格安スマホ、契約切れのスマホを合計した場合のフィルタリング等利用率は45.2%。
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