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生まれたときからスマホがあるいまどきの子ども/データで読み解く、子どもとスマホ【第19回】

生まれたときからスマホがあるいまどきの子ども/データで読み解く、子どもとスマホ【第19回】

いまどきの子どもはネット環境が整った時代に生まれ、スマホの普及とともに成長してきた世代です。ネットのいま昔と、子どもの関係について読み解きます。

保護者はネットのある子ども時代を体験していない

小学生や中学生がスマホでネットを使うとき、一番身近にいる大人は保護者のみなさんです。保護者の責務などと肩ひじはった言葉を使わなくとも、子どもが安全にネットを使えるよう導いてやりたいのが親心というものですね。

ここで気にとめておきたいことがあります。それは、子どもの「いま」にはネットがあるけれど、保護者の「あのころ」にはネットがなかったという事実です。

いまやネットは日常生活に深く根をおろし、ネットの情報や機能なしに暮らすことは想像するのも難しいほどですが、ネットの歴史はそう長いものではありません。そう、保護者の子ども時代にはネットはありませんでしたよね。

あのころ:ひとつ いま:14億以上

さて、ここでいくつかクイズを出してみましょう。
世界ではじめてWebサイトが公開されたのはいつのことだと思いますか?

答えは1991年。欧州原子核研究機構(CERN)が世界ではじめてWebサイトを公開しました。※1

1991年といえば、湾岸戦争があり、雲仙普賢岳の火砕流で大きな被害が発生した年です。若い保護者の方でも、これらのできごとはかすかに記憶にあるかもしれませんね。

さて、25年を経た2016年、世界にWebサイトはどのくらいあるでしょうか。

英国のインターネットサービス企業Netcraftが2016年11月に発表したレポート※2によれば、世界中のWebサイトの数はなんと14億以上。Webサイトによる情報発信やサービス提供がとてつもなく広がったことがわかります。

携帯のメールやスマホ、いつからあった?

もうひとつ質問です。携帯電話でWeb閲覧やメールができるようになったのはいつのことでしょうか?

答えは1999年です。NTTDocomoが携帯電話でWeb機能とメールの送受信ができる「iモード」というサービスを世界に先がけて提供を開始しました。※3

携帯でネットができるようになった年に生まれた赤ちゃんはもう高校生。スマホの普及率が9割を超える世代の一員となっています。※4

なおスマホはというと、日本ではじめてiPhoneが発売されたのが2008年。※5 北京五輪で北島康介選手が2種目2連覇を達成し、オバマ米国大統領が誕生した年のことです。この年に生まれた子どももすでに小学生ですね。

いまの子どもたちにとって、ネットは生まれたときには十分普及していて、自然に身近にあるもの。スマホも小学生・中学生の世代にとっては、もの心ついたときからあったもの、ということが実感できたでしょうか。

心が大人になる前にスマホでネットするいまどきの子どもたち

さて保護者世代は、インターネットの普及前のことを実感として知っています。そして保護者世代は、価値判断や言っていいことと悪いことの区別、人間関係の保ち方などをある程度身につけてからネットにふれることができた、最後の世代でもあります。

冒頭で気にとめておいて欲しいとお伝えしたのはこの点です。

保護者のネット観は子どものそれとは違うかもしれない。保護者のネットとのつきあい方は、子どもには難しいことなのかもしれない。そのことを保護者は知っておいてほしいと思います。

いまの子どもたちは、大人の処世術ともいうべき外界との接しかたの経験や技術を十分に身につけないうちに、子ども自身の心もまだ発達しきらないまま、スマホという道具を使ってネットで受発信を行なっています。

しかも生まれながらにスマホがある時代ですから、スマホの扱いにかけては一歩も二歩も大人の先を行くことがあります。

スマホには習熟しているけれどもコミュニケーション技術や心は未発達……そんな子どもたちには、ネットの世界はどう見えているのでしょう。そしてそんな子どもたちが出会うネットの「ちょっとイヤなこと」とは何なのでしょうか。次回から紹介していきます。

※1 JPNICSアーカイブ インターネット歴史年表

※2 Netcraft November 2016 Web Server Survey

※3 NTTドコモ 会社の沿革

※4 平成27年度 青少年のインターネット利用環境実態調査 (概要)

※5 アップル プレスリリース 「iPhone 3G、7月11日発売」

 
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渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

株式会社コドモット代表取締役社長。
NTT在籍時代の2001年、子ども向けポータルサイト「キッズgoo」を立ち上げ、同サイトでデジタルコンテンツグランプリ・エデュテイメント賞受賞。独立後は小学生向けのコンテンツを中心に、企業の子ども向けWebサイトや公共団体の子ども向けツールなどの企画制作を数多く手がける。一男一女の母。

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