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スマホ世代はネットにクール/データで読み解く、子どもとスマホ【第42回】

スマホ世代はネットにクール/データで読み解く、子どもとスマホ【第42回】

日本の10代はどんなメディアを重要と考えたり、信頼したりしているのでしょうか。

10代はネットよりテレビの重要度が高い

今回も総務省の調査(※)をもとに、子どもたちがどんなメディアを重要と考えているのか、またどんなメディアを信頼しているのかについてみていきます。

この調査では、それぞれのメディアが「情報を得るための手段(情報源)」「楽しみを得るための手段」としてどの程度重要か、年代別に調べています。

10代は、テレビや新聞、ネット、雑誌の代表的なメディアについてどう評価しているのでしょうか。まず「情報を得るための手段(情報源)」の調査結果をみてみましょう。

平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 (2017年7月 総務省 情報通信政策研究所)より

10代は、テレビ、ネット、新聞、雑誌の順に情報源としての重要度が高くなっています。新聞の重要度は37.9%と全世代で最低となっていますが、テレビ、ネット、雑誌については全世代平均と大きな差はありません。

詳しくみてみましょう。10代のテレビの情報源としての重要度は93.6%と全世代平均をこえており、60代に次いで高い値です。

ネットはどうでしょうか。10代のネットの情報源としての重要度は77.1%。全世代平均より高いものの、20代・30代・40代より低くなっています。さらに20代〜40代は前回調査と比べネットの重要度が増えているのに対し、10代は前回より4.9ポイント減っています。

テレビとネットの重要度を比べてみます。20代ではネットの重要度がテレビを上まわり、30代ではテレビの信頼度に肉薄していて、ネットが一段と存在感を増しています。

しかし、10代の重要度は16.5ポイントの差でテレビが優勢。ひとことで若い世代とくくれない傾向がみてとれます。

次に「楽しみを得る手段」として各メディアをどの程度重要と考えているかみてみましょう。

平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 (2017年7月 総務省 情報通信政策研究所)より

10代はテレビ、ネット、雑誌、新聞の順に娯楽としての重要度が高くなっています。20代・30代ではネットの娯楽としての重要度が最も高いのですが、10代は8.6ポイントの差でテレビが優勢となっており、ここでも少し上の世代よりクールにネットとつきあっている10代の姿が浮かんできます。

10代はネットの信頼度が20代〜50代より低い

信頼度という観点からみてみましょう。
この調査では、それぞれのメディアのうち、信頼できる情報がどの程度あると思うかについて、「全部信頼できる」「大部分信頼できる」と回答したものを「信頼度」として合計しています。

平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 (2017年7月 総務省 情報通信政策研究所)より

10代のテレビの信頼度は全世代平均より高い66.4%。ネットの信頼度は全世代平均を下まわる30.7%です。ネットの信頼度は20代・30代・50代よりも低く、40代とほぼ同じ値となっています。

10代が60代をのぞく他の世代に比べてネットの情報への信頼が低いというのは、意外なように感じられますね。

いまの小学生は、ものごころついたころからネットやスマホが身近にある生活をしてきました。10代にとって、ネットは生まれたときから存在する、いわば既存のメディアということになります。

わたしたち保護者世代は、ネットの始まりのころに既存のサービスがどんどんネットに置き換わっていった興奮や、ネットバブルのころのネット進化のスピード感をおぼえています。けれど、10代にとっては、これらは自分たちが生まれる前にあった”昔の出来事”です。この経験の違いが、ネットというメディアへの認識に影響を与えているのかもしれませんね。

ふつうのメディアの一つとしてネットを冷静にみている感がある10代。これからどうネットとつきあい、進化させていくのでしょうか。期待を持って見守りたいと思います。


総務省 情報通信政策研究所「平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」

 
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渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

株式会社コドモット代表取締役社長。
NTT在籍時代の2001年、子ども向けポータルサイト「キッズgoo」を立ち上げ、同サイトでデジタルコンテンツグランプリ・エデュテイメント賞受賞。独立後は小学生向けのコンテンツを中心に、企業の子ども向けWebサイトや公共団体の子ども向けツールなどの企画制作を数多く手がける。一男一女の母。

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