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10代の新聞事情/データで読み解く、子どもとスマホ【第43回】

10代の新聞事情/データで読み解く、子どもとスマホ【第43回】

10代は紙のメディアの筆頭格である新聞とどう接しているのでしょうか。2つの調査から読み解きます。

10代は新聞を読まない

前回・前々回と、総務省「平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」※1をもとに、10代がメディアとどうふれあい、重要度や信頼度についてどうとらえているのか、ネットとテレビにフォーカスをあててお伝えしました。

今回は、10代が紙のメディアの筆頭格、新聞とどう接しているのかに注目してみていきます。

まず、平日1日の平均利用時間をみてみましょう。

平成28年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書 (2017年7月 総務省 情報通信政策研究所)より

グラフをみれば一目りょう然ですね。

高くそびえる赤色がリアルタイムのテレビ視聴時間、10代ではそれよりも高い青色がネットの利用時間です。その右側、10代ではほとんど見えないほどの高さに、新聞を読む時間が黄色で示されています。

10代が平日に新聞を読む平均時間は0.3分。たったの18秒だそうです。テレビの89.0分、ネットの130.2分とは比べものになりませんね。

これには環境の変化が背景にあるとわたしは考えています。

日本新聞協会によれば、新聞(一般紙)の発行部数は、2000年には約4740万部でしたが、2016年には約3982万部に減少しています。さらに、1世帯あたり部数は2008年に1部を割り込んで以降減り続けて、2016年には0.78部となっています。※2いま10代の子が生まれたころから、新聞をとらない家庭が増えていることがわかります。

家庭で新聞に接することが減れば、もともと大人のためのメディアである新聞を10代の子が読まなくなるのもうなずけます。

ネットのニュース利用時間は増えている

一方で、興味深いことに、「ネットにおけるニュース」というくくりでみてみると、10代の利用は年々増えているのです。

総務省の調査でもネットの利用内容についても調べていますが、利用項目に「ニュース」がないので、内閣府の「平成28年度青少年のインターネット利用環境実態調査」※3からみてみます。

内閣府 平成28年度青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(概要)より

内閣府の調査によると、ネットでニュースを利用する割合は、平成26年の24.4%から平成28年には31.2%に増加しています。平成28年は地図・ナビゲーションの利用率を上回りました。なかなかの健闘ぶりです。

ネットで見ることができるニュースは、さまざまな媒体や個人から提供されていますが、もちろん新聞社はその有力な提供元です。

紙の新聞は読まないけれど、新聞社の作成したニュースはスマホを使って見る。そんな10代の姿が浮かびあがってきますね。10代にとって紙の新聞の存在感は薄くとも、日ごろ接する情報源としては大いに役立っているわけです。

紙でもネットでも、同じ記事であれば基本的には書かれていることは同じです。ということは、デザインや縦書き・横書きの違いといった見た目の違いはあっても、「紙の新聞で一つの記事を読む」ことと、「新聞社の提供するニュースをネットで見る」ことの間に情報の違いはありません。

こんなふうに考えてみると、「新聞を読む」という定義自体にネットでの利用を含めて考えるほうが自然な時代になったのかもしれませんね。更なる調査が実施されることを期待します。

なお、紙の新聞の閲読時間を示した「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」の調査対象は13歳から19歳、ネットのニュース利用率を示した「青少年のインターネット利用環境調査」は10歳から17歳と、調査母体・年齢構成に違いがあります。独立した調査結果を比べていることにご注意ください。

※1
総務省 情報通信政策研究所
「平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」
※2
一般社団法人 日本新聞協会
調査データ
※3
内閣府 内閣府
平成28年度青少年のインターネット利用環境実態調査 調査結果(概要)

 
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 渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

 渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

株式会社コドモット代表取締役社長。
NTT在籍時代の2001年、子ども向けポータルサイト「キッズgoo」を立ち上げ、同サイトでデジタルコンテンツグランプリ・エデュテイメント賞受賞。独立後は小学生向けのコンテンツを中心に、企業の子ども向けWebサイトや公共団体の子ども向けツールなどの企画制作を数多く手がける。一男一女の母。

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