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SNSがきっかけの犯罪被害、15歳以下が過半数/データで読み解く、子どもとスマホ【第52回】

SNSがきっかけの犯罪被害、15歳以下が過半数/データで読み解く、子どもとスマホ【第52回】

データで読み解く、子どもとスマホ【第52回】と【第53回】でとりあげるのは、スマホでのSNSがきっかけで犯罪の被害にあってしまった18歳未満の子どもたちに関する報告書です。

SNSをきっかけとした被害児童数は過去最多

進学や進級にともない、お子さんが新たにスマホを持ち始めたというご家庭は多いのではないでしょうか。SNSで友だちとつながったり、ゲームや動画を楽しんだりと、お子さんが楽しくスマホを使っている姿が目に浮かぶようです。

そんなうれしい気持ちに水を差すようですが、今回と次回このコーナーでとりあげるのは、スマホでのSNSがきっかけで犯罪の被害にあってしまった18歳未満の子どもたちに関する報告書です。

2018年4月、「平成29年におけるSNS等に起因する被害児童の現状と対策について」(警察庁)※1という広報資料が発表されました。

定期的に発表されている資料なのですが、今回から名称が少し変わりました。昨年まで “コミュニティサイト”だった部分が“SNS”になっているのです。犯罪被害の入り口が、サイト(出会い系サイトなど)からSNSへと変化したことが端的に表れています。

資料によると、2017年の1年間、SNSがきっかけで犯罪被害にあった児童(18歳未満)の数は全国で1,812人。5年連続の増加で、過去最多でした。出会い系サイトがきっかけの被害児童数(29人)と合わせると1841人。1日に5人以上が被害にあっている状況です。

13歳と15歳の犯罪被害が増加傾向

被害児童を年齢別にみると、13歳と15歳の被害が増えています。これにより、全体の被害数のうち、15歳以下の児童の割合が5割をこえました

警視庁「平成29年におけるSNS等に起因する被害児童の現状と対策について 資料3」より

15歳といえば中学3年から高校1年にかけての年ごろですから、高校生になるかならないか……という年齢の子どもの被害が過半数を占めていることになります。また、16歳と17歳の被害数が横ばいになのに対し、13歳と15歳の被害数は増加傾向にあります。

犯罪被害の低年齢化の背景には、スマホを持ち始める年齢が下がっていることがあるとわたしは考えています。

というのも、犯罪被害の入り口となったSNSへのアクセス手段の約9割はスマホだからです。

ひと昔前なら「高校生になったらスマホ」が主流でしたが、いまは中学生でも4割が使うようになりました。このことが13歳(中学1年~2年)、15歳の被害増加に影響しているのではないかと考えています。

入り口となったSNS、Twitterとひま部が2トップ

被害児童数が多いSNSサービスは、Twitterの695人(昨年より249人増加)、ひま部181人(同104人増加)、LINE105人(同19人減少)などです。

警視庁「平成29年におけるSNS等に起因する被害児童の現状と対策について 資料11」より

「ひま部」というSNSサービスを、おそらくほとんどの保護者のみなさんはご存じないでしょう。ひま部は中学生・高校生・大学生限定のトークアプリで、社会人(保護者)は利用できません。同世代とやりとりができることから、最近学生に人気のSNSです。

サービス側は出会い目的での利用を禁じていますし、24時間体制でのパトロールをうたっていますが、被害児童数の伸び率が最も大きくなっています

とはいえ、Twitterにしてもひま部にしてもLINEにしても、SNSとしての機能はごく一般的なものです。

しかし検挙事例には、SNSで知り合った子どもに対して「女性になりすまして」など、顔の見えない関係だからこそ成り立つ手口があげられています。

悪意から子どもを守るためのしくみとして、フィルタリングがあります。SNSの利用はフィルタリングで制限できるはずですが……

犯罪被害児童のフィルタリング事情について、最新の資料ではじめてあきらかになった情報と合わせ、次回お伝えします。

※1 警察庁 子どもの性被害対策
平成29年におけるSNS等に起因する被害児童の現状と対策について

 
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 渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

 渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

株式会社コドモット代表取締役社長。
NTT在籍時代の2001年、子ども向けポータルサイト「キッズgoo」を立ち上げ、同サイトでデジタルコンテンツグランプリ・エデュテイメント賞受賞。独立後は小学生向けのコンテンツを中心に、企業の子ども向けWebサイトや公共団体の子ども向けツールなどの企画制作を数多く手がける。一男一女の母。

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