スマホの利用ルール決め根気よく/データで読み解く、子どもとスマホ【第58回】
内閣府の定点観測調査から、子どもが家庭でネットをする際のルールづくりの現状を読み解きます。
保護者の取り組みは変わらず
平成30年発表の「青少年のインターネット利用環境実態調査」(内閣府)※1から、子どもが家庭でネットをする際の保護者の取り組みについてみていきます。
小学生・中学生の保護者は、子どもがスマホを利用するときにどのような配慮をしているのでしょうか。
子どもがスマホを利用している保護者の84.4%は、なんらかの方法でネット利用に関する取り組みをしていると回答しています。この割合は、平成26年度から現在までほぼ同じような値で推移しています。
どんな取り組みを行なっているのでしょうか。もっとも多いのは「フィルタリングを使っている」(44.0%)、次いで「子供のネット利用状況を把握している」(36.1%)です。この数値も、この4年間あまり変化していません。
スマホを使ったネット利用に関して、保護者の取り組み状況があまり変わっていないようすが見えてきます。
スマホ・ノールール、小中学生は約6割
そんななかスマホについて「利用時間等のルールを決めている」との回答は、平成26年度比で10.6ポイント増えています。
しかし、その割合はまだまだ低いのです。利用時間等のルールを決めている保護者の割合は、直近の30年度調査でも、小学生の保護者41.5%、中学生の保護者39.6%、高校生の保護者18.5%にとどまっています。
小学生と中学生の保護者の約6割、高校生の保護者の8割以上は、子どもにスマホをノールールで使わせているのが現状です。
子ども、とくに小学生・中学生のスマホ利用率が上がっているなか(第55回参照)、ルール作りをして子どもにスマホを使わせる保護者の割合は大きく変化していない。
このことが示すのは、ルールなしでスマホを使う小学生・中学生の絶対数が増えているということです。スマホの使い始めの時期にあたることからも、家庭での保護者の取り組みがさらに広がることを期待したいところです。
ルールについての認識ギャップが親子間で広がる
しかしここで、保護者と子どもの間にある意識ギャップが課題となります。
スマホにかぎらず、いずれかの機器※2でネットを使っている子どもと保護者を対象とした設問をみてみます。
インターネットを利用するときの家庭のルールについて「ルールを決めている(計)」と回答した保護者は83.5%なのに対して、子どもは65.1%。18.4ポイントの差があります。保護者は「ルールを決めている」と認識しているのに、子どもはそうは思っていないということです。
とくに気になるのは小学生の保護者と子どもの認識ギャップの広がりです。
「ルールを決めている」とした小学生の保護者は91.5%(前年度比+0.9ポイント)なのに対して、小学生は72.7%(同 -5.2ポイント)。保護者と子どもの認識ギャップは18.8ポイントで、前年度より7.1ポイント拡大しています。
保護者のネットルールへの関心の高さが、小学生には伝わっていないことが見えてきます。
小学生はネットの使い始めの時期ですから、無鉄砲な利用に走らないよう、子どもの個性に合わせた保護者のきめ細かな対応がいります。家庭で確実にネットの使い方のルールを身につけていけるよう、根気づよく子どもと話し合っていきましょう。
※2 スマートフォン、いわゆる格安スマートフォン、機能限定スマートフォンや子供向けスマートフォン、携帯電話の契約が切れたスマートフォン、携帯電話、機能限定携帯電話や子供向け携帯電話、ノートパソコン、デスクトッパソコン、タブレット、学習用タブレット、子供向け娯楽用タブレット、携帯音楽プレイヤー、携帯ゲーム機、据置型ゲーム機、インターネット接続テレビの15機器
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