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SNSと顔写真/データで読み解く、子どもとスマホ【第63回(最終回)】

SNSと顔写真/データで読み解く、子どもとスマホ【第63回(最終回)】

データで読み解く、子どもとスマホ【第63回(最終回)】でも、一般社団法人日本スマートフォンセキュリティ協会(JSSEC)の「中高生のスマホ利用傾向調査レポート」※1から、気になるデータを読み解きます。

SNSの顔写真、顔出しNGが7割

今回も、一般社団法人日本スマートフォンセキュリティ協会(JSSEC)の「中高生のスマホ利用傾向調査レポート」※1から、気になるデータを読み解きます。

今回着目するのは、SNSへの顔写真投稿についてです。

まず、自分や家族の顔写真をSNSに投稿することに対して、世代ごとに意識の違いがあるのか、みてみましょう。

《自分や家族の顔写真をSNSなどに投稿すること》

一般社団法人日本スマートフォンセキュリティ協会「中高生のスマホ利用傾向調査レポート」 (2018年3月)」より

自分や家族の顔写真についてSNSに投稿を「良くする」と回答した割合が高いのは、10代から30代まで。それぞれ13%~14%と7人に1人程度ですから、さほど目立つ数字ではありません。しかし気になるのは10代、20代に多い「気にしたことはない」という回答です。
これは、顔写真の投稿に無とんちゃくだったり、投稿にあたってためらわない状態といえるので、自覚的でないぶん、「良くする」人に比べて配慮の呼びかけが届きにくいと考えられます。
10代、20代では「良くする」「気にしたことはない」を合わせた回答は約3割となっていて、これは少し気になる傾向です。

では、自分や家族の顔写真をSNSなどに投稿を「絶対にしない」「極力しない」という人はどれくらいいるのでしょうか。

「絶対にしない」「極力しない」の合計は次のようになっています。

  • 全体 77%
  • 10代 69%
  • 20代 67%
  • 30代 74%
  • 40代 81%
  • 50代 84%
  • 60歳以上 91%

全体で8割弱、10代~20代で7割弱が投稿を控えていることがわかります。

面白いことに「極力しない」の回答がもっとも多かったのは10代(39%)です。情報モラル教育の浸透を感じるとともに、10代の子どもたちもなかなか考えているなと感心させられます。

10代女性の3割は友だちの顔写真をSNSによく投稿する

さて、自分の顔写真のSNSアップには慎重な姿勢がみえる若年層ですが、友だちの写真についてはかなり状況がことなります。

《友達の顔写真をSNSなどに投稿すること》

一般社団法人日本スマートフォンセキュリティ協会「中高生のスマホ利用傾向調査レポート」 (2018年3月)」より

10代で友だちの顔写真投稿を「良くする」と回答した割合は25%。10代の女性に限ってみると30%で、全世代で断トツのトップです。自分や家族の顔写真の投稿は控えめ、でも友だちの顔写真はよく投稿するという非対称性には少々驚かされます。

とはいえ、一般的にSNSには画像や書き込みを友だちなどに限定して公開する機能がありますから、広く一般に顔写真を公開しているということではないのでしょう。

記念写真などをクローズドなグループ内で公開しあうことで、自分の撮った写真を仲間で共有したり、イベントの余韻を味わったりした経験は、きっと読者のみなさんにも心当たりがあるでしょう。

気になるのは、「本当にそのグループはクローズドなのか?」ということ。

たとえばLINEのグループトークには、友だちの友だちの友だち……というような、仲間というには微妙な関係の人も、だれかの招待で入ってくる可能性があります。

そんな立場の人がアップされた写真をどう扱うかは未知数です。あまり知らない人に自分や友だちの写真を渡す人はいませんよね。同じように、SNSの(一見)クローズドなグループのなかであっても、顔が特定できる写真については慎重に取り扱いたいものです。グループではなく個人あてにダイレクトメッセージを送る、GooglePhotoの共有アルバム信頼のおける人にだけ見せたら共有をオフにするなど、くふうしだいでさまざまなやりかたがあります。

人生の早いタイミングでスマホという“拡散機能付きカメラ”を手にしている子どもたち。子ども自身が慎重に対応できるよう、保護者がSNSデビューのころから導いていきましょう

 

※1 一般社団法人日本スマートフォンセキュリティ協会
「中高生のスマホ利用傾向調査レポート」(2018年3月発表)

 
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 渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

 渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

株式会社コドモット代表取締役社長。
NTT在籍時代の2001年、子ども向けポータルサイト「キッズgoo」を立ち上げ、同サイトでデジタルコンテンツグランプリ・エデュテイメント賞受賞。独立後は小学生向けのコンテンツを中心に、企業の子ども向けWebサイトや公共団体の子ども向けツールなどの企画制作を数多く手がける。一男一女の母。

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