入国審査官は、主に外国人の日本への出入国や在留について審査・管理をする法務省所属の国家公務員。当然、いろいろな国の出身者とコミュニケーションを取れる語学力が求められる。
こんな人にピッタリ!
責任感のある人。少なくとも英語で会話ができる人。コミュニケーション能力のある人。世界情勢に常に関心を持つ向上心のある人。
どんな仕事?
パスポートやビザをチェックし、不法滞在も取り締まる
観光やビジネス、留学などさまざな目的で日本にやってくる外国人は年々増加している。それにともない、違法な薬物や武器などを持ち込むなど、日本にいる外国人が犯罪に関係する事例も増えている。そうしたトラブルから日本の安全を守るために、海外から来る人たちを審査し、管理するのが入国審査官の仕事だ。具体的には、日本各地の空港や港でパスポート(旅券)やビザ(入国許可書)をチェックする「出入国審査」、入国理由や期間をいつわって不法入国したり不法滞在している外国人を取り締まる「違反審査」、在留目的や期間の変更を希望する人を審査する「在留審査」、また難民に対する認定業務なども行う。
これがポイント!
「入国審査官」に特定した試験はなく、一般採用後に配属
入国審査官は国家公務員であるため、この仕事につくまでにはいくつかのステップが必要だ。まずは「国家公務員採用一般職試験」(大卒程度試験または高卒程度試験)に合格すること。この試験に合格したのち、外務省の外局である「出入国在留管理庁」の地方支分部局である「地方出入国在留管理局」による面接を受ける。そこで採用されると「法務事務官」として働くことができる。しかし、この段階でもまだ入国審査の具体的な仕事などは任されない。研修で出入国管理の基礎知識を学び、研修後に入国審査官の補助業務や一般事務業務を通して経験を重ねながら、入国審査官に必要な知識やスキルを積み重ね、数年後に「出入国在留管理庁職員」として、ようやく入国審査官のキャリアをスタートさせることができる。
語学学校や予備校も活用して準備しよう
「国家公務員採用一般職試験」に合格し、法務事務官として採用されるとさまざまな研修を受けることになるが、その中には語学研修もある。仕事の一環として語学学校の専門課程で英語、中国語、韓国語などを学んだり、勤務時間終了後に語学学校に通学できたりする制度もある。ただ、働き始めて一から外国語を習得しようとしても実際には大変だ。世界各国で使われている英語は国家公務員試験を受ける段階で、ある程度マスターしていることが望ましい。できればもう1言語、勉強しておけば採用後に役立つのは言うまでもない。将来、この仕事をめざすなら、学生時代から語学学校や国家公務員試験対応の予備校に通って準備しておきたい。
将来はこうなる
出入国者数の急増に対応
昨今、日本はインバウンド(訪日外国人旅行)政策に力をいれ、外国人の出入国数が急増している。入国目的も多様化していて、観光やビジネスだけでなく、国際結婚など長期滞在をする外国人も増えてきた。密輸・密入国など犯罪にからむ人の移動も増える可能性も高くなるため、入国審査官の仕事は責任重大だ。国家公務員試験に合格するのは大変だが、待遇面でも優遇されており、将来も有望な職業であることにはまちがいない。何よりも国の安全を守るという使命感を持って仕事ができることは、やりがいのある職業と言えるだろう。
データボックス
収入は?
平均給与月額はおよそ40.4万円。ボーナスは民間の平均値と大差のないように調整される。
休暇は?
公務員なので週休2日が基本だが、現実には一律ではない。規模の大きな国際空港などでは飛行機の発着が深夜にまでおよぶなど、そのつど対応する必要があるからだ。夜勤や早朝勤務のシフトが組まれることもある。
職場は?
全国8か所にある地方出入国在留管理局、国際空港や港に設けられた7つの支局、さらに全国61か所にある出張所など。また、法務事務官として入国管理センターに勤務することや、外務省に出向して海外の在外公館に勤務することも。
なるためチャート
入国審査官の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!
役立つ資格
入国審査官の仕事につくために役立つ資格を紹介しているよ。
TOEFL(R)
TOEIC(R)
実用英語技能検定(英検(R))