諸外国との外交交渉で活躍する日本の「顔」。日本の平和と繁栄のために働く責任重大な仕事。
こんな人にピッタリ!
日本と日本国民を守る使命感を持てる人。語学をはじめ他国の文化や社会に関心があり、大らかな気持ちで受け入れることができる人。コミュニケーション能力が高く、自分の意見をきちんと伝えることができる人。
どんな仕事?
外交交渉や海外情報の収集と分析、日本情報の発信で活躍
外交官は、外交(外国との交際に関わる活動)を担当する国の機関である「外務省」の職員(外務公務員)。その中でも、とくに海外にある日本大使館などの「在外公館」で働く職員を外交官と呼ぶ。外交官の任務は、日本の平和と繁栄という国益を守るために、相手国の政府と交渉(話し合い)をしたり、輸出や輸入・安全保障などの外交政策が良好に行えるように調整すること。そのための情報収集、現地の日本企業の支援、日本文化を広める広報活動も重要な任務だ。さらに、海外で活動する日本人の生命と財産を保護する役目も担っている。相手国にとっては、日本を代表する「顔」となる大事な仕事だ。また、外務省の職員は、数年ごとに海外の勤務と日本国内の勤務を繰り返す。東京にある外務省本省などで働くときは、各国の日本大使館などから集まる情報の分析、ほかの省庁との調整などを行い、外交政策の企画・立案をする。ほかにも、二国間・多国間で結ばれる決まりごとの条文を作成したり、国際的な会議では各国との交渉にあたる。また、国との関係を強化するために、外国を援助するODA(政府開発援助)や国際的な環境保全問題に取り組む活動にも外交官はたずさわっている。
これがポイント!
将来どういった仕事をしたいかで受ける試験も異なる
国の機関である外務省で働くには、国家公務員試験に合格しなくてはならない。外務省の場合は3種類の試験があり、合格した試験によって将来の仕事内容が変わってくる。1つ目の「国家公務員採用総合職試験(大学院卒・大卒程度)」は、将来の幹部職員として、大使館のトップである「大使(特命全権大使)」やそれに次ぐ役職の「公使(特命全権公使)」となって外交の中心を担うことが期待される。2つ目の「国家公務員採用一般職試験(大卒程度・高卒者・社会人)」は、海外では「領事」、国内では会計、通信・文書管理担当、秘書などとして働くことが期待される。3つ目の「外務省専門職員採用試験」は、高い語学力や各国・地域の外交に関する深い知識をいかして働くことが期待されている。それぞれ受験資格には学歴や年齢が決まっているが、「国家公務員採用総合職試験」と「外務省専門職員採用試験」は、21歳以上の受験者は学歴を問われない。ただし、年齢制限の上限がある。ちなみに、国家公務員試験は日本の国籍を持たない人は受験できず、外務省では外国籍を持つ人も受験できない。
語学力は必要だが、それ以外の能力も伸ばそう
外国語ができないからといって外務省で働くことができないわけではない。入省してからでも研修で身につけることができる。ただし、各国の代表との話し合いや外国語の文書を読むことがあたりまえの仕事なので、語学力は高ければ高いほどいい。外務省では世界の40以上の外国語をあつかっており、それぞれの言葉を操る専門家がいるほどだ。しかし、外交官に求められる能力には、語学力だけでなく、自分の気持ちをきちんと伝えられるコミュニケーション能力、その場で物事を素早く判断できる判断力、思考力など、さまざまなものがある。語学だけを勉強するのではなく、読書でさまざまな考えに触れたり、友人との交流などを通じて人の心を大切にする経験を積んだりする必要があるだろう。また、外交官は日本とまるで違う自然や文化を持つ国々で生活することになるので、どのような環境に置かれてもしっかり働くことができる心身の強さも必要だ。
将来はこうなる
さらなる国際貢献が期待されている
紛争やテロ、環境汚染、気候変動、感染症など、世界全体で取り組まなければならない問題は数多く、年々深刻化している。日本はそうした問題に取り組むため、人間一人一人が持つ豊かな可能性を実現する「人間の安全保障」の考え方のもと、さまざまな国際貢献を進めている。その代表的な取り組みが、開発途上国や国際機関に資金や技術提供を行う「政府開発援助(ODA)」だ。また、2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標である「SDGs」の達成も、地球を守るための大事な取り組みだ。そうした国際的な活動を積極的に進めていくためにも、外交官の果たす役割はより重要なものとなっていくだろう。
データボックス
収入は?
平均収入は439万7000円。国内勤務と国外勤務では、派遣される国や地域によって収入は変わってくる。国外に派遣された場合、国内と同等の生活環境を維持するための各種手当が支給される。
休暇は?
土日が休みで、年次有給休暇、病気休暇などが与えられる。海外勤務者には健康管理休暇、帰国休暇などが認められている。緊急の場合は深夜・早朝まで勤務し、時には休日出勤することもある。
職場は?
国内勤務の場合は、東京にある外務省本省。国外勤務の場合は、世界の195か国にある大使館や領事館。
なるためチャート
外交官の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!
役立つ資格
外交官の仕事につくために役立つ資格を紹介しているよ。
TOEFL(R)
TOEIC(R)
実用英語技能検定(英検(R))