国連やその関連機関に勤務する国際公務員。世界の平和と繁栄に貢献したい人はぜひトライしてみよう
こんな人にピッタリ!
世界を舞台に人々のために働きたい人。他国の文化や考え方を尊重できる人。英語かフランス語を修得して大学院を卒業するなど、自分自身のスキルアップを続けられる人。
どんな仕事?
国連や国際機関で世界の人々のために働く重要な仕事
国際公務員は、世界の平和と安全を保つための組織である国連(国際連合)やその専門機関で働く職員のこと。国連職員とも呼ばれる。国連は、2022年現在193か国が加盟しており、6つの主要機関(総会、安全保障理事会、経済社会理事会、信託統治理事会、国際司法裁判所、事務局)と多くの専門機関から成り立っている。世界遺産の登録で知られるユネスコ(国際教育科学文化機関・UNESCO)や新型コロナウイルスの世界的感染拡大を宣言した世界保健機関(WHO)も国連の専門機関だ。それらの機関に所属する国際公務員は、国際社会で起こるさまざまな問題を解決するために働いている。国際公務員の職種には「専門職」と「一般職」の2種類がある。専門職員は、専門知識や経験を生かして開発途上国への技術支援、教育の普及といったプロジェクトの作成や管理を行う。そのため、経済、財務、行政、法律などの専門家が求められる。一般職員は、秘書、経理・統計など、主に事務を担当し、専門職をサポートする。世界を舞台にして働くので、専門職員も一般職員も、国連公用語である英語かフランス語で仕事ができるコミュニケーション能力が要求される。別の国連公用語であるスペイン語、ロシア語、中国語、アラビア語もできると就職には有利。一国だけの利益ではなく、世界の人々のために働き、世界の人々の役に立つ国際公務員は、重要でやりがいのある仕事だ。
これがポイント!
国際公務員になる3つの方法
国際公務員の専門職になるには、学歴・語学力・実務経験の3つの高いハードルをクリアしなくてはならない。まず、大学院修士課程を卒業して、英語かフランス語で専門的な会話ができる語学力を身に付ける。さらに、すぐに仕事ができる人材が求められるので、専門分野での2年以上の実務経験も必要だ。それらの条件をクリアできれば、国際公務員になる方法は3つある。一般的な方法は、職員の退職や転任などによる欠員を補う「空席広告」へ応募すること。国籍や年齢制限はないので、募集の条件を満たせば、だれでも応募できる。別の方法は、国連事務局が実施する採用試験である「YPP試験(ヤング・プロフェッショナル・プログラム)」。多くの若く優秀な人材を採用するために広く門戸を開いた試験であり、受験資格は32歳以下、学歴は大学卒業、実務経験は必要なしなど、ハードルが下がっている。しかし、それだけに競争がはげしく、日本人には難易度が高いと言われている。3つ目の方法は、外務省の国際機関人事センターが実施する「JPO(ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー)派遣制度」。受験資格は35歳以下、学歴や実務経験2年以上という条件はあるが、選抜試験に合格すれば、日本政府の費用負担で国連機関へ派遣され、実地研修をかねて一定期間(原則2年)そこで勤務できる。能力次第では国際機関の正規職員として採用される人も多いのでおすすめだ。
専門職以外の国際機関での働き方
国際公務員の一般職は、基本的に現地採用される。学歴は問われず、高校卒業でも応募できる職種もある。ただし、専門職と同じく、英語かフランス語の能力は不可欠だ。国際機関への就職を希望する人は、海外留学などで語学力を高めておく必要があるだろう。また、就職活動には、組織の仕組みや仕事の流れなどを理解しておくことが重要だ。国際機関には「インターン」や「ボランティア」という実務を経験できる制度がある。採用には直結しないが、そこで得た経験や知り合った人々の助言などが採用につながるかもしれない。学生時代にそうした経験をしながら、自分は国連でどんな仕事ができるのかを見極めることが重要だ。
将来はこうなる
日本人職員と女性職員が増えていく
2020年末現在、世界各国にある国連関係機関で働く専門職以上の日本人は918人。職員総数(4万1270人)の2.4%に当たるが、主要7か国(アメリカ、フランス、イタリア、イギリス、カナダ、ドイツ、日本)では一番少ない。職員の数については、以前から「日本は国連への拠出金(参加国が出し合うお金)に比べて職員の人数が少ない」と言われてきた。そこで日本政府は「2025年までに1000人にする」という目標を立て、増加に努めている。国連で働くことを目標にする者にとっては、チャンスが広がっていくだろう。また、国連で働く職員全体の男女比は、男性67%、女性33%。男女差別をなくす「ジェンダー平等」を目指している国連は、女性の応募を強くすすめている。世界を舞台に働こうしている女性にとってもチャンスだ。
データボックス
収入は?
平均年収は、439万7000円。仕事や地位によってちがってくる。配偶者や子供、両親などの家族手当や、勤務を続けるのが困難な地域で勤務する職員に支給される困難地手当、子供の教育補助金、住宅補助金などの支給もある。男女の差はまったくなく、能力に応じて昇進、昇給される。
休暇は?
年間30日の有給休暇が取れる。本国外で勤務する職員は、2年に1回(勤務困難地は1年に1回)、機関側の費用で家族と共に本国へ戻れる帰国休暇制度もある。
職場は?
アメリカ・ニューヨークにある国連本部や3か国(スイスのジュネーヴ、オーストリアのウィーン、ケニアのナイロビ)にある事務局のほか、フィールド(現地)と呼ばれる世界各地の事務所。日本各地にも20を越える国連機関の事務所がある。開発途上国で働くことも多い。
なるためチャート
国際公務員の仕事につくための主なルートが一目で分かるチャートだよ!
役立つ資格
国際公務員の仕事につくために役立つ資格を紹介しているよ。
TOEFL(R)
TOEIC(R)
実用英語技能検定(英検(R))