未来の先生フォーラム2026 「子どものネットトラブルを防ぐ」をテーマに藤川大祐・千葉大教授が講演
ふじかわ・だいすけ/千葉大学大学院教育学研究院教授(教育方法学、授業実践開発)。1965年、東京生まれ。教育方法学・授業実践開発を専門とし、メディアリテラシー、数学、企業との連携授業、いじめ・学級経営等を研究。附属中学校長等を経て2023年度より教育学部長(2026年度から大学院教育学研究院長)。子どもいじめ防止学会理事、NPO法人企業教育研究会理事長、NPO法人全国教室ディベート連盟理事長等をつとめる。著書『「いじめに対応できる学校」づくり』(ぎょうせい)、『教師が知らない「子どものスマホ・SNS」新常識』(教育開発研究所)等。
時間管理能力は大事なライフスキル
――ネットいじめなどのトラブルについてよく聞きます。家庭ではどのように対策すればいいのでしょう。
いじめ認知件数の中でネットいじめが占める割合は、2007年ごろに一度ピークを迎えました。プロフィルサイトや学校裏サイトが広く利用された時期です。いったん低下したものの13年ごろに再び上昇し、その後は横ばいの状況が続いています。通信アプリのLINEが急速に普及していたころのことです。中高生の間でスマホが本格的に普及したことが、ネットいじめの比率の上昇につながったことがうかがわれます。
いじめや誹謗(ひぼう)中傷については、軽い気持ちで書き込んだことが、相手にとっては重い被害になることもあるというギャップに目を向けてほしい。いじめや誹謗中傷は罪になりえます。学校でももちろん指導しますが、家庭でもぜひ話してください。
被害者になる可能性もあります。ネット社会では被害が見えづらいので、何かあったら信頼できる大人に相談するという行動を徹底しないといけません。嫌なことを書き込まれたら消したくなるでしょうが、スクリーンショットを撮っておくと学校側も対処しやすくなります。
怖いのは「中1デビュー」です。中学生になるのを機にスマホを持たせ、SNSを解禁する家庭は多くありますが、LINEでの悪口や盗撮画像の拡散といったトラブルが一番多いのは中1です。最終的には自由に使わせるにしても、最初は親と一緒に使うなどして、段階的に慣れていったほうがトラブルは起こしにくい。何歳になれば自由にさせていいという一律の基準はないので、子どもの個性や状況を見ながら徐々に慣らしていくよう心がけてください。
――使いすぎで生活リズムが乱れないかも気になります。
ある程度自由に使わせるといっても、健康を害さないためのルールは必要です。家族で話し合ってルールを決め、必要に応じて見直していくといいでしょう。たとえば、学習目的以外での利用は一定の時間以下にする▽利用時間帯を一定の時刻までにする▽夜間の利用は食事や宿題などが終わってからにする――といったルールが考えられます。
スマホを触っているとSNSや動画の視聴でいつの間にか時間が過ぎ、ほかのことに使う時間が削られてしまいます。利用する時間を意識し、自分で時間を区切ることを習慣づける必要があります。スマホのアラーム機能を使ったり、iPhoneやiPadなら「スクリーンタイム」、アンドロイド端末なら「デジタルウェルビーイング」というアプリの機能を利用したりして時間を区切るのもいいでしょう。時間管理能力は大事なライフスキルです。
お金のルールも決めておきましょう。子どものスマホに課金を制限する設定をしていても、実は解除のパスワードを知られているということが意外に多くあります。クレジットカードも勝手に使われることがないようきちんと管理してください。最近は番号が印字されていないナンバーレスカードもあります。
近年、情報社会の一員として適切に行動するための規範、といった意味の「デジタルシチズンシップ」という言葉を耳にすることが増えました。シチズンシップの育成は重要ですが、もはやデジタルとアナログは融合しており、デジタルだけを分ける意味はなくなりつつあるように思います。デジタル空間の危険性も認識しつつ、デジタルとアナログを行き来させえながら、家庭でも子どもに様々な経験をさせてあげてほしいと思います。
未来の先生フォーラム2026に藤川教授が登壇
藤川教授には教育現場やSNSをめぐる最新状況をふまえ、学校で求められる指導について講演していただきます。スマホ利用のルールづくりだけでなく、その先のデジタル社会を見据えたメディアリテラシー教育のあり方を考えます。詳細・申し込みはこちら











