クマのひみつQ&A~どうして街に?編~

クマのひみつQ&A~どうして街に?編~

クマが山(やま)から街(まち)へ出(で)てくるなどして、人間(にんげん)が傷(きず)つけられる事故(じこ)が近年(きんねん)増(ふ)えています。特(とく)に2025年度(ねんど)は、人間(にんげん)の被害(ひがい)が、これまででもっとも多(おお)く起(お)きています。あわせて、街(まち)に出(で)てきたり人間(にんげん)を傷(きず)つけたりして処分(しょぶん)されたクマも過去(かこ)最多(さいた)です。これからクマと人間(にんげん)はどう付(つ)き合(あ)っていけばよいか、クマが街(まち)に出(で)てくるようになった理由(りゆう)や、もしクマと出合(であ)ってしまったときの対応(たいおう)方法(ほうほう)などをQ&Aで学(まな)んでいきましょう。

「クマのひみつQ&A~どんな動物(どうぶつ)?編(へん)」はこちら

クマの出没(しゅつぼつ)、人間(にんげん)の被害(ひがい)が最多(さいた)に

Q1 どれくらいのクマが街(まち)に出(で)てきているの?

街(まち)のほか、山(やま)の登山道(とざんどう)なども合(あ)わせて、人間(にんげん)の行動(こうどう)エリアにクマが姿(すがた)を見(み)せた出没(しゅつぼつ)件数(けんすう)は、2025年(ねん)4月(がつ)~11月(がつ)の間(あいだ)で、全国(ぜんこく)で4万(まん)7038件(けん)です(※1)。これまでで最(もっと)も多(おお)い数(かず)です。

※1 環境省(かんきょうしょう)「クマの出没(しゅつぼつ)情報(じょうほう)(速報(そくほう)値(ち))」(2026年(ねん)1月(がつ)6日(にち)時点(じてん))

Q2 クマはどうして街(まち)に出(で)てくるの?

いろいろな理由(りゆう)が考(かんが)えられ、主(おも)なものを紹介(しょうかい)します。

クマが街に出る理由の図解

・山(やま)に食(た)べ物(もの)がない
特(とく)に冬眠(とうみん)をひかえた秋(あき)、ドングリなどの実(みの)りが悪(わる)いと、食(た)べ物(もの)を求(もと)めて遠(とお)くまで行動(こうどう)するようになり、山(やま)を下(お)りてきます。
・街(まち)に食(た)べ物(もの)がある
農作物(のうさくぶつ)や、家庭(かてい)の庭(にわ)に植(う)えられた柿(かき)などの果実(かじつ)は、クマにとってもおいしい食(た)べ物(もの)です。ペットや家畜(かちく)のエサ、人間(にんげん)の捨(す)てる生(なま)ごみも、クマは食(た)べます。クマは学習(がくしゅう)能力(のうりょく)が高(たか)く、食(た)べ物(もの)があると知(し)ると繰(く)り返(かえ)し街(まち)に出(で)てきます。

・クマの居場所(いばしょ)が街(まち)に近(ちか)づいた
かつて人間(にんげん)が薪(まき)を取(と)るなどして利用(りよう)していた里山(さとやま)が、使(つか)われなくなって荒(あ)れてしまい、クマが身(み)を隠(かく)せる場所(ばしょ)になりました。その分(ぶん)、クマの居場所(いばしょ)が街(まち)に近(ちか)づいています。
・人間(にんげん)を怖(こわ)がらなくなった
ハンターに追(お)い回(まわ)されることや、里山(さとやま)などで人(ひと)から追(お)い返(かえ)されることが減(へ)って、「人間(にんげん)は怖(こわ)い」という経験(けいけん)をしなくなっています。

Q3 どれくらいの人(ひと)がクマに襲(おそ)われているの?

人間(にんげん)の被害(ひがい)は、2025年(ねん)4~11月(がつ)の間(あいだ)で、東北(とうほく)地方(ちほう)を中心(ちゅうしん)に209件(けん)あり、230人(にん)が傷(きず)つけられ、そのうち13人(にん)が亡(な)くなっています(※2)。いずれも、これまでで最(もっと)も多(おお)い数(かず)です。

※2 環境省(かんきょうしょう)「クマによる人身(じんしん)被害(ひがい)件数(けんすう)(速報(そくほう)値(ち))」(2025年(ねん)12月(がつ)5日(にち)時点(じてん))

Q4 クマはどうして人間(にんげん)を襲(おそ)うの?

クマが人間(にんげん)を襲(おそ)うのは、多(おお)くの場合(ばあい)、突然(とつぜん)出合(であ)ったことに驚(おどろ)いて、クマ自身(じしん)や子(こ)グマの身(み)を守(まも)るためのとっさの行動(こうどう)です。
これまでに、クマが食(た)べるために人間(にんげん)を襲(おそ)ったと考(かんが)えられる事例(じれい)はありますが、とても珍(めずら)しいことです。ただ、たまたまでも人間(にんげん)を食(た)べたクマは、「人間(にんげん)は食(た)べられる」と学習(がくしゅう)してしまうため、すぐに駆除(くじょ)しないと危険(きけん)です。

Q5 人(ひと)を襲(おそ)ったり、街(まち)に出(で)てきたりしたクマはどうなるの?

再(ふたた)び人(ひと)を襲(おそ)ったり、街(まち)に出(で)てきたりしないように駆除(くじょ)する必要(ひつよう)があります。
このように処分(しょぶん)されたクマの頭数(とうすう)は、2025年(ねん)4月(がつ)~11月(がつ)の間(あいだ)で、全国(ぜんこく)で1万(まん)25485頭(とう)です(※3)。これまでで最(もっと)も多(おお)い数(かず)です。
2025年(ねん)には、街(まち)に出(で)てきたクマにいち早(はや)く対応(たいおう)できる新(あたら)しいルールもできました(※4)。ただし、街(まち)へ出(で)てきてしまった後(あと)にできる対策(たいさく)は限(かぎ)られるため、街(まち)に出(だ)さないことが重要(じゅうよう)です。

※3 環境省(かんきょうしょう)「クマの許可(きょか)捕獲(ほかく)数(すう)(速報(そくほう)値(ち))」(2026年(ねん)1月(がつ)6日(にち)時点(じてん))
※4  環境省(かんきょうしょう)「いま、なぜ緊急(きんきゅう)銃猟(じゅうりょう)が必要(ひつよう)なのか~緊急(きんきゅう)銃猟(じゅうりょう)の仕組(しく)みとその必要性(ひつようせい)~」

まず出合(であ)わないこと! 最後(さいご)は「命(いのち)を守(まも)る姿勢(しせい)」

Q6 クマに襲(おそ)われないためには?

音を出してクマを避ける図解

クマと出合(であ)わないことが一番(いちばん)大事(だいじ)です。
クマの生息(せいそく)地(ち)では、人間(にんげん)がいることを教(おし)えてやれば、クマの方(ほう)から逃(に)げてくれることが多(おお)いので、音(おと)を出(だ)しながら行動(こうどう)しましょう。友(とも)だちと話(はな)しながら、ラジオを流(なが)しながら、あるいはクマ用(よう)の鈴(すず)を持(も)って行動(こうどう)するとよいです。
街(まち)の中(なか)でも自分(じぶん)の住(す)んでいる地域(ちいき)の周辺(しゅうへん)にクマがやってきていないかどうか最新(さいしん)の出没(しゅつぼつ)情報(じょうほう)をチェックします。出没(しゅつぼつ)情報(じょうほう)があれば、建物(たてもの)から出(で)るときや見通(みとお)しの悪(わる)い場所(ばしょ)で飛(と)び出(だ)さないことでクマとの鉢合(はちあ)わせをふせげます。

Q7 もしクマと出合(であ)ってしまったら?

クマと出合(であ)ったときの基本(きほん)の対応(たいおう)を紹介(しょうかい)します。

クマから後ずさりで離れる図解

①ゆっくり後(あと)ずさりして離(はな)れる
決(けっ)して、背中(せなか)を見(み)せて走(はし)って逃(に)げてはいけません。クマは、本能的(ほんのうてき)に逃(に)げるものを追(お)いかけることがあります。建物(たてもの)などがあれば、その中(なか)へ入(はい)ります。

②クマスプレーを噴(ふ)きかける
クマが襲(おそ)ってきたとき、撃退(げきたい)スプレーを持(も)っていれば、クマの目(め)や鼻(はな)をめがけて、一気(いっき)に全部(ぜんぶ)を噴(ふ)きかけます。スプレーの届(とど)く距離(きょり)に注意(ちゅうい)します。

クマから命を守る姿勢の図解

③命(いのち)を守(まも)る姿勢(しせい)をとる
最後(さいご)の手段(しゅだん)は、地面(じめん)に腹(はら)ばいでふせて、首(くび)の後(うし)ろで両(りょう)手(て)を組(く)む姿勢(しせい)になって、おなか・頭(あたま)・首(くび)・背中(せなか)を守(まも)ります。リュックやヘルメットも身(み)に付(つ)けているとよいです。
これは、襲(おそ)われないための姿勢(しせい)ではなく、襲(おそ)われても命(いのち)にかかわる大(おお)けがをしないための姿勢(しせい)です。被害者(ひがいしゃ)のけがの状態(じょうたい)などを調(しら)べた研究(けんきゅう)で、この姿勢(しせい)をとった人(ひと)は大(おお)けがをしていないことが分(わ)かっています。

Q8 クマが街(まち)に出(で)てこないようにするには?

クマが街(まち)に出(で)てくる理由(りゆう)をなくすことです。
・街(まち)からクマの食(た)べ物(もの)をなくす
農地(のうち)を電気(でんき)柵(さく)で囲(かこ)ったり、収穫(しゅうかく)しない柿(かき)や栗(くり)の木(き)は切(き)ったり、生(なま)ごみを臭(にお)いの漏(も)れない方法(ほうほう)で捨(す)てたりすることが大事(だいじ)です。
・クマが隠(かく)れられる場所(ばしょ)をなくす
荒(あ)れた里山(さとやま)や、クマが移動(いどう)によく使(つか)う川(かわ)や水路(すいろ)沿(ぞ)いの草刈(くさか)りをして、クマが隠(かく)れて行動(こうどう)できる場所(ばしょ)をなくすことが大事(だいじ)です。
・クマに「人間(にんげん)は怖(こわ)い」と学(まな)ばせる
街(まち)に出(で)てきたクマを捕(つか)まえたり、追(お)い返(かえ)したりして、「人間(にんげん)は怖(こわ)い」「街(まち)に出(で)てはダメ」と学習(がくしゅう)させることが大事(だいじ)です。この経験(けいけん)は母(はは)グマから子(こ)グマへと伝(つた)えられていきます。

Q9 これからクマとどう付(つ)き合(あ)っていけばよいの?

絶滅(ぜつめつ)させないように、そして人間(にんげん)にも害(がい)がないように、クマの住(す)む環境(かんきょう)や頭数(とうすう)をコントロールしていくことになります(※5)。
クマがいてよい山(やま)、出(で)てきてはダメな街(まち)、その間(あいだ)の里山(さとやま)のようなクッションとなるエリアに、しっかり線引(せんび)きできるのが理想(りそう)です。そのためには、例(たと)えば、クマの被害(ひがい)対策(たいさく)やクマを捕獲(ほかく)する専門家(せんもんか)を多(おお)くの地域(ちいき)に配置(はいち)するなど、仕組(しく)みを整(ととの)えることも必要(ひつよう)です。

※5 2024年(ねん)に四国(しこく)の個体(こたい)群(ぐん)を除(のぞ)くクマ類(るい)は鳥獣(ちょうじゅう)保護(ほご)管理法(かんりほう)の「指定(してい)管理(かんり)鳥獣(ちょうじゅう)」に指定(してい)(環境省(かんきょうしょう)「鳥獣(ちょうじゅう)の保護(ほご)及(およ)び管理(かんり)並(なら)びに狩猟(しゅりょう)の適正(てきせい)化(か)に関(かん)する法律(ほうりつ)施行(しこう)規則(きそく) の一部(いちぶ)を改正(かいせい)する省令(しょうれい)(概要(がいよう))」)。

参考(さんこう)資料(しりょう)

取材(しゅざい)協力(きょうりょく)・監修(かんしゅう):小坂井(こざかい)千夏(ちなつ)さん

農研機構(のうけんきこう)畜産(ちくさん)研究(けんきゅう)部門(ぶもん)動物(どうぶつ)行動(こうどう)管理(かんり)研究(けんきゅう)領域(りょういき)動物(どうぶつ)行動(こうどう)管理(かんり)グループ主任(しゅにん)研究(けんきゅう)員(いん)。日本(にほん)クマネットワーク事務局(じむきょく)、日本(にほん)哺乳類(ほにゅうるい)学会(がっかい)員(いん)。ツキノワグマの行動(こうどう)と、ドングリといった堅果(けんか)類(るい)の豊作(ほうさく)・凶作(きょうさく)との関係(かんけい)などについて研究(けんきゅう)。

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