化石燃料ってどんなもの?
こたえ:
はじめに、「燃料」とは、燃やしてそのエネルギーを利用するための材料です。キャンプのときご飯をたくのに使うたきぎも、自動車を走らせるガソリンも、台所で料理をするのに使うガスも、すべて燃料。わたしたちの身の回りには、さまざまな種類の燃料があります。それらのうち、石炭や石油、天然ガスのように地面を掘って取り出す燃料を「化石燃料」といいます。
化石燃料は、アンモナイトや恐竜のような化石からつくるわけではありません。それなのに「化石」と付いているのは、なぜでしょうか。それは、燃料になるまでの過程が化石と似ているからです。
わたしたちが暮らしている地面の下には、さまざまな種類のれき(小石)や砂、泥などが積み重なっています。これを「地層」といいます。地層をかたちづくるそれぞれの層には、大昔に暮らしていた微生物の死がいや枯れた植物などがふくまれています。これらが土にうもれて微生物に分解された後、地下深くにしずみ、それより上にある土や水から押さえつけられたり地下の熱で温められたりするうちに燃えやすい成分に変化したのが「化石燃料」です。化石も、生き物やその生活のあとが土にうもれて、分解され、押さえつけられることで石のようにかたくなります。けれども、燃えやすい成分が少ないため、燃料としては使えません。
化石燃料のうち石炭は、古生代の後半「石炭紀」(3億6000万~3億年前)の地層から多く取れます1)。何千万年も前のプランクトンなどが変化してできた化石燃料で、液体として取れるものが石油、気体としてくみ上られるものが天然ガス(関連記事「石油は何からどうやってできたの」)。地下深くのかたい地層「頁岩層」(シェール)から取れるシェールオイルやシェールガスも、数千万から数億年をかけてつくられました。
このように、化石燃料ができるには長い長い年月がかかるため、埋蔵量(地中にうまっている量)には限りがあります(関連記事『「地球防衛隊SDGs」第6話解説編「化石燃料と再生可能エネルギー」』)。2018年末の時点で、石油を採取できる年数は残り50.0年、天然ガスを採取できる年数は残り50.9年とされています2)。また、化石燃料を燃やすと二酸化炭素や二酸化イオウ、窒素酸化物を発生させるため、地球の温暖化や酸性雨の原因ともなります※。
そこで、エネルギーをむだなく使う「省エネルギー」(省エネ)によって化石燃料を使う量を減らす取り組みや、地球の環境に影響を与えにくい「再生可能エネルギー」(再エネ)を利用する取り組みが進んでいます。再エネには、太陽光や風力による発電、太陽熱や地中熱、稲わら・サトウキビのしぼりかす・家畜のふんなどからつくる「バイオマス燃料」といった種類があります3)。
※ 化石燃料でも、メタンと水が結合した固体燃料「メタンハイドレート」(関連記事「メタンハイドレートとは何ですか?」)は、埋蔵量が多く、石油などに比べて二酸化炭素の発生量が少ないため、新エネルギーとして注目されています。ただし、海底から掘り出すのにお金がかかるなどの課題もあります。
参考 資料
1)二宮書店『地理Q&A』「石炭が生成される過程とその時代について」:https://www.ninomiyashoten.co.jp/chiri_q_and_a/2018-002
2)経済産業省 資源エネルギー庁『令和元年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2020)』:https://www.enecho.meti.go.jp/about/whitepaper/2020html/
3)経済産業省 資源エネルギー庁『なっとく! 再生可能エネルギー』「再生可能エネルギーとは」:https://www.enecho.meti.go.jp/category/saving_and_new/saiene/renewable/index.html
監修者 :大山 光晴
1957