空気にも重さはあるの?
こたえ:
わたしたちは、生活する中で空気の重さを感じません。けれども、空気には重さがあります。ここでは、そのことを確かめる実験をしょうかいしましょう。
まず、ゴム風船を2つと、長さ70cmくらいの棒を1本、そして糸を用意します。次に、風船2つを同じくらいの大きさにふくらませて、空気が逃げないようにしばります。その風船を棒の両はしに糸で結びつけ、さらに、棒のまん中辺りに糸を結んでぶら下げます。このとき、両側の風船がつりあうように糸を結ぶ位置を調整してください。これが、この実験を成功させるためのポイントです。
2つの風船がつり合うことが確認できたら、実験の準備は完了。風船の天びんのできあがりです。
ここからが実験の本番です。つり合っている状態の風船の、どちらか片方を針でつついて割ってしまいましょう。すると、どうなるでしょうか? さっきまで2つの風船はつり合っていたのに、割った方の風船が上へ、割れていない方の風船が下へと移動するはずです。つまり、空気が入っている風船の方が重いということですね。
これが、風船の中の空気に重さがあるという証拠です。ふくらんだ風船の中の空気は、ゴムの力でまわりの空気よりぎゅっと押し込められているため、少し重くなっているのです。
けれども実際、空気の重さは変わります。正確には、温度や湿度が変わると空気の体積が変化し、その結果、体積当たりの重さ(密度)も変化するのです。
気温が20℃で湿度が65%、1気圧(約1013hPa)のとき、空気1Lの重さは1.2gです。ところが、この空気を温めると体積が大きくなって密度が小さくなるため、軽くなります。それとは逆に空気を冷やすと、体積が小さくなって密度が大きくなり、重くなります。熱気球は、このしくみを利用して上昇したり下降したりしています(関連記事「空気について調べちゃおう」)。
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記事公開:2022年12月
監修者:大山光晴
1957年東京都生まれ。東京工業大学大学院修士課程修了。高等学校の物理教諭、千葉県教育委員会指導主事、千葉県立長生高等学校校長等を経て、現在、秀明大学学校教師学部教授として「理数探究」や「総合的な学習の時間」の指導方法について講義・演習を担当している。科学実験教室やテレビの実験番組等への出演も多数。千葉市科学館プロジェクト・アドバイザー、日本物理教育学会常務理事、日本科学教育学会及び日本理科教育学会会員、月刊『理科の教育』編集委員等も務める。