冷凍食品はなぜ「-18℃以下」で保存するの?【親子で話そう!ニュースで広がる学び】

日々のニュースには、身近で面白い「理科」の学びが潜んでいます。朝日新聞や朝日小学生新聞などに掲載された日々の記事を題材に、M先生が理科の学びを楽しく深めるアドバイスを紹介! 「ニュースは難しそう」と感じる保護者の方も多いかもしれません。しかし、子どもが興味を持ちやすい話題をきっかけにすれば、親子で楽しくニュースに触れることができます。この連載では、朝日小学生新聞の記事をもとに、子どもの探究心や学びを広げるポイント、家庭での会話のヒントを紹介します。
ご家庭の冷凍庫には、アイスや氷のほか、冷凍食品をいくつもストックしているのではないでしょうか。実は冷凍食品のパッケージを見ると、ほとんどの商品に「-18℃以下で保存」と書かれています。なぜ-18℃なのでしょう?
今回は冷凍食品のニュースをきっかけに、おうちの冷凍庫を観察しながら理科の学びを深めてみましょう。
冷凍食品についてのギモン
☑ なぜ冷凍食品は長く保存できるの?
☑ なぜ保存温度は-18℃なの?
☑ なぜ凍らせてもおいしさが保たれるの?
今回の注目ニュースはこれ!

この内容は朝日小学生新聞2026年6月16日付「ニュースで広がる理科」をもとに紹介しています。
ご家庭の冷凍庫には、アイスや氷のほか、冷凍食品をいくつもストックしているのではないでしょうか。スーパーやコンビニにもたくさんの冷凍食品が並んでいます。味や調理方法が工夫された商品が増え、急場しのぎの頼みの綱としてだけでなく、メインのおかずに冷凍食品を使う場面もあるでしょうか。
【深めよう】なぜ冷凍食品は-18℃以下で保存するの?

冷凍食品の利点は長期保存が可能であることです。温度をコントロールすることで、食べ物を一定の状態に維持させています。食べ物がわるくなってしまう原因には、水分が失われてしまう、成分が変質してしまう、細菌やカビなど微生物によって腐敗してしまう、といったものがあります。「腐敗」とは、生き物である細菌やカビが生きるために養分を奪ってしまい、おまけにわるい成分を残してしまうために起こります。この微生物が生きられない環境をつくることで、食べ物は変質を逃れることができます。
腐敗の原因となる微生物の影響をなくす方法は、加熱と冷却です。加熱によって長期保存を実現しているのが缶詰やレトルト食品です。120℃以上で4分以上加熱することで、微生物は死滅します。しかし冷却の方は温度を下げても活動が低下し繁殖ができない休眠状態になるだけです。微生物が増殖できない温度として、食品衛生法には-15℃という温度が定められています。これをもとに、業界団体の取り決めにより-18℃以下での輸送・保管が定着していきました。
ご家庭の冷凍庫の温度は何度に設定されているでしょうか? 意識したことがないという方も多いかも知れませんが、そこに理科の学びがあります! 冷凍庫の開け閉めで温度が上がってしまうのもご存じだと思いますが、それを踏まえて設定温度がどうなっているか、お子様と一緒に見てみてはいかがでしょうか。スーパーやコンビニの冷凍庫では隅の方に温度が表示されているかも知れませんよ。
冷凍しているのに、おいしいままなのはなぜ?
冷凍すると食べ物の味が落ちそうなイメージがありますが、冷凍食品がおいしさを保てるのには理由があります。
水は凍るとわずかに体積を増やします。物質は温度が低いほど体積は小さくなりますが、水は例外で、0℃を下回って氷になると約1.1倍にふくらみます。ゆっくり時間をかけて凍らせると、食品にふくまれる水が集まって大きな氷の結晶となって細胞を破壊し、栄養や風味が失われます。しかし冷凍食品は、「急速冷凍」でこれを防いでいます。短時間で一気に冷やすことで、水が凍り始め、食材の細胞がこわれる温度帯を30分以内で一気に通過させるのです。
日本で冷凍食品が普及したきっかけの一つは、1964年の東京オリンピックだといわれています。多くの選手に大量の食事を用意するために冷凍食品が使われ、そのおいしさが認められるようになりました。
その後の技術の進歩は目覚ましく、腐らないだけでなく、栄養や風味がさらに向上しました。魚介類が海から遠くはなれた場所でも食べられること、いそがしいときも短時間で食事が完成することは、急速冷凍の技術、また低温を保って運ぶ輸送システムのおかげといえるでしょう。
家庭用冷蔵庫による冷凍の機能も進んでいます。まとめ買いした食材を冷凍して少しずつ食べることで買い物の手間が減りました。以前は冷凍に不向きとされた野菜も、高い品質で冷凍できるようになりました。にんじんやブロッコリーなど加熱して食べることが多い、比較的水分の少ない野菜は品質が落ちにくく、特に冷凍向きです。
一方きのこのように、水分が凍って細胞がわずかにこわれると、うまみ成分が出やすくなり、おいしくなる食材もあります。
【学年別】親子で話すポイント
子どもの発達段階によって興味を持つポイントは異なります。お子さまの学年に合わせて、こんな話題の広げ方をしてみましょう。
小学低学年向け:温度が低いと水は氷になる

ご家庭の台所には冷蔵庫があるでしょう。冷蔵庫はいくつかの部屋に分かれています。飲み物やマヨネーズが入っている「れいぞう室」のほかに、アイスや氷が入っている「れいとう室」があります。
冷凍室の方が温度が低く、開けると白いけむりのようなものが見えます。これは空気中の水分が冷えて白く見えているものです。それだけ冷たい部屋だということです。
冷凍室には冷凍食品も入っているのではないでしょうか。凍らせた肉や魚や野菜、またスーパーで売っているパックに入った冷凍食品もあるのではないでしょうか。冷凍食品は食べたいときに電子レンジなどで加熱して食べることができ、とても便利です。
食品に含まれる水分は、冷凍するときに凍って小さな氷のつぶになっています。この氷の粒がとけないように、低い温度を保つことで冷凍食品はくさらずに保存することができるのです。
小学中学年向け:水は凍ると体積が増える

同じ重さの水を2つ用意し、片方を凍らせてみます。水は凍ると氷になりますが、「液体の水」と「固体の氷」では、重さは同じでも体積に違いがあります。寒い冬になると私たちの体はちぢこまってしまいますが、ものも温度が下がると体積は“基本的に”小さくなります。
いま基本的を強調したのは、この通りにならないものもあるからです。その一つが実は「水」です。水は冷やしていくと4℃までは体積が小さくなりますが、それを超えて冷えると体積がむしろ増えていく性質があります。0℃で氷になるときには、液体のときの約1.1倍の体積になります。
食べ物には水分が含まれていますが、冷凍食品をつくるとき、この水分からできる氷のつぶの大きさがポイントになります。氷のつぶが大きくなりすぎると、食べ物のおいしさが失われてしまうのです。そこで、一気に冷やす急速冷凍が行われています。
小学高学年向け:冷凍庫の温度に注目

冷凍食品をつくっている工場では、急速冷凍の技術をもちいて、一気に温度を下げて凍らせています。氷ができる温度である0℃を一気に通過することで、氷のつぶが成長しないようにしています。
反対を考えてみます。ゆっくり冷凍させると低い温度になるまでに時間がかかります。その間に、小さかった氷の粒は大きくなってしまうのです。急速冷凍は冷凍までの時間を短くしているのです。
食品パッケージの裏には、賞味期限や保存方法が書かれています。冷凍食品はもちろん、とけないように0℃以下で保存するわけですが、アイスや冷凍ギョーザのパッケージをみると、どれも「-18℃以下で保存」と書いてあります。この温度は氷がとけないだけでなく、くさってしまう原因である微生物が生きられない温度なのです。-18℃をキープしていれば、冷凍食品は長期の保存が可能になるのです。
親子で学びを広げてみよう
記事を読んだあとに、親子で実際に確かめたり考えたりすることで学びはより深まります。身近な冷凍食品やスーパーの売り場にも、学校の理科とつながる発見が隠れています。
実物を見てみよう
- ご家庭の冷凍庫にある冷凍食品のパッケージの裏側やアイスを見てみましょう。
- 冷凍庫の設定温度を調べてみましょう(スーパーやコンビニの冷凍コーナーを覗いてもよいですね)。
理科の教科書では
お子さまが学校でどのように学んでいるかを知ると、家庭での会話も広がります。
〈3年〉ものと重さ →形が変わっても重さは変わらないことを学びます。
〈4年〉水のすがた →水の三態(固体、液体、気体)について学びます。
〈6年〉生物どうしのつながり →食物連鎖を学習する単元のなかで微生物の存在を扱うことも。
本やインターネットを使って
水は、最も身近で、最も大量にある物質ですが、その性質は実はとても独特です。この機会に水について深めてみてもよいでしょう。食べ物が「腐る」とは何なのかを、いま一度考えてみることも面白いでしょう。
親子で考えを深めてみよう
正解を探すだけでなく、「なぜだろう?」を一緒に考えてみることも大切です。
- 冷凍食品を常温に置いておくとよくないって聞くけど?
- 冷凍ギョーザを凍ったまま焼くのはなぜだろう?
- 冷凍工場からスーパーの冷凍庫までの間の、「倉庫で保管」や「トラックで輸送」の間も-18℃を保っているんだよね?
小学生向けの新聞は、子どもにも分かりやすい言葉や図解でニュースを伝えているのが特長です。気になった話題を親子で一緒に読みながら、「どうしてだろう?」「ほかにも調べてみよう」と会話を広げるきっかけになります。
今回紹介した記事の元になった朝日小学生新聞の記事も、ぜひ親子で読んでみてください。
※この記事は、朝日小学生新聞2026年6月16日掲載の「ニュースで広がる理科」をもとに、キッズネット向けに再構成・加筆したものです。
(編集/高須賀里緒菜)

