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小学校に入学して間もなく、学校に行きたくないと言い出した娘/教えて! 陰山先生【第27回】

小学校に入学して間もなく、学校に行きたくないと言い出した娘/教えて! 陰山先生【第27回】

4月から小学生になった娘が、学校に行きたくないと言って困っています。

質問

4月から小学生になった娘が、学校に行きたくないと言って困っています。

娘は、入学して2日で「学校に行きたくない」と言い出しました。
でも、原因は学校ではなく「学童」のようです。
わたしが働いているので、娘は4月から学童に行っています。
ただ、保育園ではなく幼稚園に通っていたので学童にお友だちが少なく、なじめないようなのです。

「なんで、○○ちゃんのママはお家にいるのに、ママはいないの?」とか、
「なんで、ママはお仕事しているの?」と聞かれると、わたしも切なくなります。

娘は幼稚園に通い出したときも、同じようなことがありました。
そのときは仕事の都合がつくときは時々休ませ、少しずつ慣れるようにしたのですが、
学校は休ませるわけにもいきません。

今のところ、毎朝なんとかなだめながら、学校へ送り出していますが、
ゴールデンウィークをはさむと、また行きたくないと言い出すのではないかと心配です。

回答

お子さんが不登校になるかもしれないと心配されているようですが、それほど心配しなくても大丈夫だと思います。

新学期が始まる4月は、多くの子は知り合いが少ないものです。ですから、みんな不安な思いをしています。みんなが友だちを求めているので、自分から話しかければ、たくさんの反応が返ってきます。つまり、この時期は新しい友だちを作る最高のチャンスなのです。そんなときに保育園や幼稚園時代の友だちが少ないからと消極的になっていては、せっかくの友だちを作るチャンスを逃してしまうことになります。

まさしくこの時期は友だちを作るという学習をしていく時期だということを、お子さんにわかりやすく話してあげてください。

よその家と自分の家は違うということを教えましょう

子どもというのは、自分に都合のいいように、いろいろなことを言ってきます。「おもちゃを買ってほしい」というのと同じように、「家にいてほしい」というようなことも言ってくるでしょう。でもそれが適切かどうかは、大人が判断しないといけません。「近所の家のようにお母さんは家にいてほしい」などということは、ちょっと考える必要があります。

子どもがものをねだるとき、「みんな買ってもらっているんだよ」などとよく言いますが、実際はごく一部の特殊な事例であることが多いものです。仮に多くの家庭がそうしていたとしても、自分の家庭がそれに従う必要はまったくありません。それぞれの家庭の考えや事情があるわけですから、そこを教えることも必要なことと思います。

質問しているお母さんもおわかりだと思いますが、「友だちが少ないから学校に行かない」ということを認めてはいけません。それは、勉強が遅れるということだけでなく、友だちの少ない生き方に子どもを導くことになってしまうからです。

学童にせよ学校にせよ、何かしらの困難はあっても、ほとんどの子どもは通っているわけで、いやだから行かないというのはマイナスが大きいように思います。

学校に行かせないという選択肢について考えなければいけないとしたら、それは学校や学童などで、適切な指導や待遇がなされていない場合でしょう。いじめや不条理な指導者の扱いなどがあるならばそれは問題です。学校や学童などで生活が荒れている場合は、家庭で吸収しきれないようなこともあります。ですから気にかけるべきは、学童や学校に行くかどうかではなく「そこが良い状態かどうか」であるといえます。

とかく批判されることが多い学校ですが、では大人になって、学校へ行かない方が良かったと思っている人はどれくらいいるでしょうか。友だちや先生と衝突したとしても、そこから学ぶことはたくさんあったはずです。学校を休んで得るものと失うものを比較したとき、よほどの問題がない限り、学校へは行ったほうがいいとわたしは思います。

多くの友だちと活動することには、プラスの要素がたくさんある!

「母親が家にいるべき」という考え方は、いまだに何となく社会にただよっていますが、根拠のないことだと思います。かつて不登校が急増したとき、その原因は母親の愛情不足だという論調が強かった時期があります。そして「だから、保育所に子どもを預ける風潮が問題だ」と言われたのです。しかし「早期から保育所に預けられていた子どもたちが不登校になったという事例は、ほとんど起きていなかった」と、当時、生活習慣指導の専門家から聞いたことがあります。

ですから、子どもを学童に預けることに何も問題ありませんし、ほかの家と比べる必要もありません。そもそも家に母親がいるべきだということもありません。

むしろ保育所や学童の中で、多くの大人や友だちと活動することは子どもにとってプラスのことがたくさんあります。ですから切なくなる必要もないのです。

ど~んとかまえて「行っといで!」と、お子さんを元気に送り出してあげてください

お子さんを明るく軽やかに送り出してあげるうちに、自然に問題は解決していくと思います。

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陰山英男(かげやまひでお)

陰山英男(かげやまひでお)

陰山英男(かげやまひでお)

1958年兵庫県生まれ。岡山大学法学部卒。
兵庫県朝来町立(現朝来市立)山口小学校教師時代から、反復学習や規則正しい生活習慣の定着で基礎学力の向上を目指す「隂山メソッド」を確立し、脚光を浴びる。
2003年4月尾道市立土堂小学校校長に全国公募により就任。百ます計算や漢字練習の反復学習を続け基礎学力の向上に取り組む一方、そろばん指導やICT機器の活用など新旧を問わず積極的に導入する教育法によって子どもたちの学力向上を実現している。近年は、ネットなどを使った個別の小学生英語など、グローバル人材の育成に向けて提案や実践などに取り組んでいる。
2006年4月から立命館大学 教授(立命館小学校副校長 兼任)に就任。現在は、立命館大学 教育開発推進機構 教授(立命館小学校校長顧問 兼任) 。全国各地で学力向上アドバイザーなどにも就任し、学力向上で成果をあげている。また、北は北海道,南は沖縄まで、全国各地で講演会を実施している。
過去には、文部科学省 中央教育審議会教育課程部会委員,内閣官房 教育再生会議委員,大阪府教育委員会委員長などを歴任。
著書多数。
Webサイト http://kageyamahideo.com/

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