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わが子の将来は、言われたことだけやる人になる? 主体的に動ける人になる?/子どもが伸びる親力【第9回】

わが子の将来は、言われたことだけやる人になる? 主体的に動ける人になる?/子どもが伸びる親力【第9回】

過干渉的な育て方をしておいて、大人になったとき、主体的な自己実現力のある人は育ちません。

言われたことだけやる人と主体的に動ける人

ときどき企業や団体の幹部の人とお話しする機会があるのですが、そういうときよく耳にする話があります。それは、ひと言で言うと、主体的に動ける人が欲しいという話です。

つまり、言われたことだけやる人ではなく、自分からやりたいことややるべきことを見つけてどんどん実行していく人です。

部下
「部長、これをやらせてください。私いろいろ調べましたが、これいけると思います。これこれこうで、こういう理由で、今この企画が絶対当たると思います」

部長
「お前、本当にそれやれるのか? 勝算はあるのか? 競合が多いんじゃないのか?」

部下
「そこなんですが、いろいろ調べましたが、競合は確かに3社ほどありますが、これこれこうで、こういう理由で2年後には採算ベースに乗れると見ています」

部長
「よし、わかった、今度の会議で提案してみよう。資料の作成の方を進めてくれ」

自己実現力がある人は自分の人生を自分らしく生きられる

こういう感じで主体的にどんどん動いてくれる人、ビジネスの新しい地平を切り開き、イノベーションが起こせる人、こういう人が企業は喉から手が出るくらいに欲しいのです。

主体的に動ける人とは、言い換えると自己実現力のある人です。つまり、自分がやりたいことを自分で見つけて自分でどんどん実行していく人です。

そして、こういう人は、仕事だけでなくプライベートにおいても、常に自分がやりたいことを自分で見つけて自分でどんどん実行していきます。

つまり、自分の人生を自分らしく生きられる人なのです。

子ども自身がやりたがることを応援すると良いことがいっぱい

では、わが子がこのような生き方ができるようにしてあげるためにはどうしたらいいのでしょうか? それは、子どもである今が大事です。ぜひ、子ども自身がやりたがることを応援してあげてください。

例えば、工作が好きなら工作を応援してあげましょう。

必要な物を買ってあげたり、工作教室に連れて行ってあげたり、できあがった作品を大切に飾ってあげたりなどです。

作品についての子どもの考えや思いをしっかり聞いてあげたり、工夫したところを見抜いてほめてあげたりなどです。

親の応援があると、子どもは好きなことをどんどん深めることができます。すると、子どもは「これは誰にも負けない」と思えるようになり、自分に自信が持てるようになります。

そうなると、他のことでもがんばれそうな気がしてきます。

頭も良くなり親子関係も良くなる

好きなことができることで、毎日毎日楽しく生活できるようにもなります。生活に張りが出てきて、生き生きしてきます。好きなことで頭を目いっぱい使っているうちに、思考力、理解力、記憶力、表現力、集中力などがついてきます。

つまり、頭がよくなるのです。当然、いわゆる勉強にも良い影響が出てきます。

また、親が好きなことを応援してくれると、子どもは非常に感謝してお母さん・お父さんのことが大好きになります。

当然、親に対して素直な気持ちになれるようになりますし、親子関係もよくなります。

主体的な自己実現力も身につく

でも、子どもは途中で飽きて他のことをやりたくなることもあります。子どもは好奇心が旺盛ですから、これもよくあることです。そういうときは無理にやらせる必要はありませんので、新しくやりたがっていることを応援してあげてください。

このようにしてあげれば、子どもは自分がやりたいことを自分で見つけてどんどん実行していくことの喜びを味わうことができます。

こういう経験をたくさんすることで、主体的な自己実現力が身についていくのです。

過干渉な親だと自己実現力はつかない

その反対に、子どものときから、親が「そんなことしてないで、これをやりなさい」「そんなバカなことやってないで、こっちの方がもっと価値があるのよ」「あなたの道はそっちじゃない。こっちの道を行きなさい」「ここにいい線路があるからこの上を走りなさい」などと言って育てたら、主体的な自己実現力のある人は育ちません。

さんざんそういう過干渉的な育て方をしておいて、大人になったとき急に「さあ、あなたも大人になったんだから、これからは自分がやりたいことを自分で見つけてがんばりなさい」と言っても、それは無理というものです。

二十年もの時間をかけて、子どもの生き方そのものを受け身的にしてしまったのですから。

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親野智可等(おやのちから)

親野智可等(おやのちから)

親野智可等(おやのちから)

教育評論家。1958年生まれ。本名 杉山 桂一。
公立小学校で23年間教師を務めた。教師としての経験と知識を少しでも子育てに役立ててもらいたいと、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。具体的ですぐできるアイデアが多いとたちまち評判を呼び、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛される。また、子育て中の親たちの圧倒的な支持を得てメルマガ大賞の教育・研究部門で5年連続第1位に輝いた。読者数も4万5千人を越え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。『「親力」で決まる!』(宝島社)、『「叱らない」しつけ』(PHP研究所)などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。長年の教師経験に基づく話が、全国の小学校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会で大人気となっている。
著書多数。
Webサイト http://www.oyaryoku.jp/

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