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いろいろなきっかけで読書が好きになる/子どもが伸びる親力【第29回】

いろいろなきっかけで読書が好きになる/子どもが伸びる親力【第29回】

子どもが小さいときの読み聞かせや家族みんなが本を読む読書タイムの実施などが、読書が好きになる一番効果があります。でも、ほかにもいろいろなきっかけがあり得ます。今回は、いろいろなきっかけで読書が好きになった人たちの例を8つ紹介します。

「本をよく読む子になってほしい」
「読書が好きになってほしい」
こう考えている親御さんは多いと思います。

では、そのためにはどうしたらいいのでしょう?
もちろん、子どもが小さいときの読み聞かせや家族みんなが本を読む読書タイムの実施などが一番効果があります。

でも、ほかにもいろいろなきっかけがあり得ます。
今回は、いろいろなきっかけで読書が好きになった人たちの例を8つ紹介しますので、参考にしてください。
なお、名前はすべて仮名です。

おばあちゃんのうちに、本がたくさんあった

東京都の税理士、山口さんの例です。
山口さんが子どものころ、自分の家にはあまり本がなかったそうです。
でも、近所に住んでいたおばあちゃんのうちには本がたくさんありました。
というのも、おばあちゃんのうちは、家族がみんな読書家だったからです。

当然そのうちの子ども、つまり山口さんの従兄弟たちも読書家でした。
それで子どもの本もたくさんありました。
山口さんはおばあちゃんのうちに行く度に本を読むようになりました。
そして、家に帰るときは読みかけの本を借りてくるようになり、家でも読むようになりました。
それで本が好きになりました。

読み聞かせボランティアと仲良くなった

福岡県の主婦、井上さんの例です。
井上さんの小学校では、よく地域のボランティアの人たちが読み聞かせをしてくれたそうです。
読み聞かせで一番多かったのは授業が始まる前の朝の時間帯でしたが、昼休みや放課後にも希望する子どもたちのためにやってくれました。

井上さんは、はじめは本にそれほど興味がありませんでした。
ところが、友だちに誘われるままに参加しているうちにボランティアの人たちと仲良くなり、それがきっかけでだんだん本が好きになりました。

中学生のときに小学生に読み聞かせをした

東京都の会社員、木村さんの例です。
木村さんは中学1年生の夏休みに、市が主催する「何でも体験隊」というイベントに参加したそうです。
そこで、小学生や幼稚園の子どもたちに読み聞かせをしました。

小さな子どもたちが喜んでくれるのがうれしくて、それから毎年参加しました。
どんな本を読めば子どもたちがもっと喜んでくれるか考えながら、自分でいろいろな絵本を探しているうちに本が好きになりました。

土曜日にお父さんと市立図書館に通った

大分県の会社員、林さんの例です。
林さんが子どもだったころ、土曜日にお父さんと妹と三人で市立図書館に行くのが恒例行事だったそうです。

図書館では土曜日に紙芝居タイムがあって、林さんはそれが楽しみでした。
もう一つの楽しみは帰りにラーメンを食べることでした。
この2つの楽しみにつられて図書館に通っているうちに本も好きになりました。

憧れの従姉妹が本を読んでいるのがかっこよかった

大分県の看護士、斉藤さんの例です。
斉藤さんには3つ年上の従姉妹がいました。
従姉妹は隣の市に住んでいたので、ときどき会っていました。

その従姉妹は勉強も運動もよくできて、習字も得意でした。
そして、小さな従姉妹たちの面倒もよく見てくれるので、斉藤さんにとっては憧れの人でした。

その従姉妹は本が好きで、よく読んでいました。
斉藤さんは、日頃からその姿をとてもかっこいいと思っていました。
少しでも従姉妹に近づきたいという気持ちがあったので、だんだん自分も本を読むようになったそうです。

赤毛のアンの映画がきっかけで

東京都の会社員、清水さんの例です。
清水さんは、小学校の高学年のとき『赤毛のアン』の映画を見て、とてもおもしろいと思ったそうです。

それで、学校の図書室で原作の『赤毛のアン』を借りて読みました。
すると、それもとてもおもしろかったので、『赤毛のアン』のシリーズを10冊くらい読みました。

次に、テレビで放映されていた『大草原の小さな家』もおもしろかったので、そのシリーズを図書室で借りて読みました。

この2つの読書体験で、すっかり読書の魅力にはまったそうです。

動物が好きで動物が登場する本にはまった

長野県の自営業、山崎さんの例です。
山崎さんが子どものころ、家で犬とイノシシとたぬきを飼っていました。
それで、動物が好きになりました。

ある日、お母さんが椋鳩十の書いた、犬が主人公の本を買ってくれました。
それをきっかけに、椋鳩十や戸川幸夫などの、動物が登場する作品をよく読むようになりました。

歯医者の待合室で『ルドルフとイッパイアッテナ』にはまった

東京都の会社員、森さんの例です。
森さんが子どものころ通っていた歯医者は、待ち時間が長かったそうです。

その待合室に『ルドルフとイッパイアッテナ』がありました。

何気なく読み始めたところが、とてもおもしろくて、治療が終わっても読むようになりました。
それで、お母さんがその本を買ってくれて、それから愛読書になりました。
もちろん、シリーズの続きも読みました。

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親野智可等(おやのちから)

親野智可等(おやのちから)

親野智可等(おやのちから)

教育評論家。1958年生まれ。本名 杉山 桂一。
公立小学校で23年間教師を務めた。教師としての経験と知識を少しでも子育てに役立ててもらいたいと、メールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。具体的ですぐできるアイデアが多いとたちまち評判を呼び、新聞、雑誌、テレビ、ラジオなど各メディアで絶賛される。また、子育て中の親たちの圧倒的な支持を得てメルマガ大賞の教育・研究部門で5年連続第1位に輝いた。読者数も4万5千人を越え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。『「親力」で決まる!』(宝島社)、『「叱らない」しつけ』(PHP研究所)などベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。長年の教師経験に基づく話が、全国の小学校や幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会で大人気となっている。
著書多数。
Webサイト http://www.oyaryoku.jp/

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