目玉が伸びる!? 保護者も知らない“近視”の仕組み——クーパービジョン 近視体験会レポ

目の解剖モデルと、光線の実験装置。机の前に並んだ道具を眺めながら、小学5年生の石村さんは講師の話にじっと耳を傾けていました。「一番びっくりしたのは、戻らないこと」——体験会を終えた石村さんの声には、自分の目とこれからどう付き合っていけばいいのか、真剣な心持ちがにじんでいました。
「一度伸びたら戻らない」眼軸長のふしぎ、親子で知ろう
7 月19日、東京理科大学葛飾キャンパスで開催された「あそび まなび かがくラボ」。さまざまなワークショップとショーが並ぶなか、クーパービジョン・ジャパンは、ワークショップ「光と色のサイエンス・ラボ」体験会を開催。
体験会では、”近視のふしぎ”を親子に伝えるべく、「一度伸びたら戻らない」眼軸長(眼球の奥行き長さ)の話や、近視の進行を抑える3つの予防習慣など、楽しい学びが用意されていました。
学校ではなかなか教わらない目のケアについての内容を、体験会にギュッと凝縮。親子必見の30分でした。


※特別冊子「猫猫(マオマオ)の目の困りごと調査」と同内容
動物クイズから眼球風船まで、体験会の30分
教室に集まった親子、近視の体験クイズが始まる
体験会がスタートすると、講師から、近視の体験クイズが3問出題されます。ぼやけた画像から何の動物かを当てるクイズから、時計の時刻を読み取るクイズ、黒板に書かれた文字を読むクイズまで——見えにくさを、子どもたちが目で実体験していました。

「近視になると、世界はこんな風に見えるのか!」という声が聞こえてきそうなほど、驚いた表情でスライドを見つめる子どもたちの姿。インパクトが残る導入となっていました。
光線で目の仕組みを実演——眼軸長と近視の関係
クイズのあとは、目の解剖モデルとレーザー光線の実験装置を使った、近視の仕組みの実演が始まります。
「人間の目は、光が入ってきて、網膜というところで像を結ぶと、くっきり見える仕組みです」
講師の解説とともに、机の上の眼球の標本模型で光線の交点が網膜に合う”正視”の状態が可視化されます。
「でも、ゲーム機やスマホを近くで見ていると、目の奥行きが後ろに長く伸びちゃうことがあるんです」


「一度伸びたら戻らない」——ラーメン、体育帽のゴム、ビニール袋の取っ手と一緒
重要なのは、“眼軸長は一度伸びたら戻らない”、ということです。
「ラーメンも同じ。置いておくと麺が伸びちゃって、元のコシに戻らないですよね。体育帽のゴムも、ぐーっと伸ばすとデローンと伸びたままで戻らない。ビニール袋の取っ手も、伸ばしちゃったらそのままです」
講師が身近な比喩でたとえると、親子で顔を見合わせたり、ひとり小さくうなずいたりする子どももいました。
体験会を終えて、小学5年生の石村さんに感想を聞くと、静かに、でも、真剣な表情でこう教えてくれました。

「一番びっくりしたのは、一度伸びてしまったら元に戻らないこと」
お母さんによると、石村さんは自分から「目が少し悪いかも」と気にして、この体験会に参加を決めたのだといいます。
お母さんも、体験を通しての気づきを教えてくれました。「私は目が良いので、いままで悪い人の気持ちがわかりませんでした。今日はよい体験になりました」——近視を疑似体験したことで、お子さまの気持ちがもっと理解できるようになったようです。
政府データも警鐘、"戻らない眼軸長"と学校で教わらない目のケア
一度伸びたら戻らない——このシンプルな事実は、日本の子どもたちを取り巻く近視の現状と、深くつながっています。
文部科学省の令和6年度学校保健統計によると、小学生の裸眼視力1.0未満の割合は約37%、過去最大を記録しました。京都大学の全国医療データベース研究でも、近視発症のピークは 8歳、しかも近年は低年齢化が進んでいると報告されています。
「見えにくさを感じたら、お家の人や眼科の先生に相談してください」(講師)
そのうえで、今からできる予防対策を3つ紹介しています。
- 外で遊ぼう:1日2時間を目安に、屋外で体を動かす
- 目とスマホやパソコンなどの画面は30cm離す:グーにした拳3つ分が目安
- 画面を30分見たら20秒遠くを見る
「ソフトコンタクトレンズや点眼薬を使った、近視の進行を抑制するための治療というものが現在あります」——講義の最後、講師はそう案内しました。近視は”仕方ないもの”から、”対策できるもの”に変わりつつあります。
家に帰ったら、親子で"近視のふしぎ"を話そう——クーパービジョン・ジャパンの親子向け導線
体験会を家庭での親子会話につなげる、そんな広げ方も用意されています。家に帰ったら、お子さんにこんなふうに聞いてみると、話がふくらむかもしれません。
「テレビやゲームを見るとき、どのくらい画面から離している?」
「1日にどのくらい外で遊んでいる?」
「もし目が悪くなり始めたら、どうやって気づけると思う?」
クーパービジョン・ジャパンが公開している「子どもの近視ナビ」(東京科学大学 眼科学教室教授・大野京子先生監修)では、近視進行の予防と対策から治療法まで、保護者向けにやさしく解説しています。

会場から持ち帰ったワークシート、特別冊子「猫猫(マオマオ)の目の困りごと調査」、クーピーペンシル®、そして眼軸長の変化を表した眼球風船——体験の記憶を、家でもう一度ふりかえるきっかけになるはずです。
まとめ:一度伸びたら戻らない、だから親子で今、話す時間を
石村さんが感じた「戻らないこと」への驚きは、これから何十年も自分の目と付き合っていく子どもたちにとって、大切な知識となったはずです。眼軸長のふしぎも、30-30-20ルールも、学校ではなかなか教わる機会がないもの。だからこそ、体験会や親子向け情報のような”きっかけ”が、家庭で話す時間を作ってくれるのかもしれません。
(取材・文/染谷遥 写真/我妻慶一)











