「子育てが楽しくなる小さなヒント」⑫ ママ友との付き合い方
学研キッズネット編集部と、元保育園園長で現在「花まる子育てカレッジ」のディレクターである井坂敦子さんがタッグを組んで、月・水・金の朝6時に配信している、音声プラットフォーム『Voicy』の番組「コソダテ・ラジオ」。月曜日配信のトークテーマ「子育てが楽しくなる小さなヒント」の内容を、いつでもお読みいただけるように記事化しています。さて、今回は「ママ友」に関するお話です。
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「ママ友付き合い」は悩みがつきない
「ママ友との付き合いがうまくいかない」「やめたい」「困っている」というお悩みをよく聞きます。子どもを介した友だちですから、年齢も今までの背景もまったく違う「ママ友」。子どもが小さい頃はとくに、子ども同士が一緒に遊んだり、出かけたり、ごはんを食べたりというときに、サポートとしてついて行くことが多いですよね。
あとは、受験期のママ友付き合い。よくあるのが、お兄ちゃんやお姉ちゃんがいる友だちのママの場合、上の子の受験の体験や塾などのいろいろな情報を教えてくれたりして、それが一人目の受験のママにはありがたかったりしますよね。
ただ、その経験談が、果たして自分や自分の子どもに合っているかどうかというのは、見極めたほうがいいと思います。なぜなら、生まれも育ちも学校も異なる。さらに世代も、それこそ生きてきた背景も異なるので、自分とは価値観がズレていることがあるからです。
良かれと思ってアドバイスをしても、「ありがとう」と素直に受け取る人もいれば、自分が足りない部分を指摘されたと感じて悩んだり、辛くなってしまう人もいます。この辺りが、ママ友付き合いの難しいところかなと思います。
習い事、お稽古事は要注意
私の場合、仕事をずっと続けていたので、幼稚園のママ友と毎日ランチをしたりだとか、カフェに行ったりだとかということはありませんでした。娘が小学生の頃は、試験期間の2週間ほどのお休みのときに、子どもたちが退屈しないように、バーベキューやサッカーをさせようということで、一緒に遊びに連れて出かけたことがありましたが、さっぱりした付き合いでした。
けれど、ママ友付き合いの難しさを感じたのは、お稽古事のときです。うちの娘はバイオリンを習っていたのですが、そこに付き添ってくるお母さんたちには、いろいろなタイプの方がいました。「楽しく音楽に親しんでほしい」というお母さんから、「音大に行かせたい」というお母さん、「コンクールにどんどん出させよう」というようなお母さんなど、温度差があるんですよね。
バイオリンの場合、練習量の差が明らかに演奏に表れるので、そういうところで子どもたちの差が見えてしまいます。「自分の子が一番になってほしい」タイプのお母さんの場合、どういう練習をしているのか聞いて回ったり、「○○ちゃんの演奏は××だった」とよそのお子さんが気になったりしていたようです。練習曲の進み具合で張り合っているお母さんもいました。
スポーツも同じで、レギュラーに選抜されるかどうかみたいなことがあると、ピリピリしてしまいますよね。
言葉が誤解を生むことも…
また、会話をしていて「違う意味で受け取られてしまっているな」、と感じることもあります。とくにメールやLINEのようにテキストだけでやり取りする場合、こちらは穏やかに書いているつもりでも、向こうからすると怒っているように受け取られてしまうことも……。そうした行き違いでトラブルが絶えないように感じています。
付き合いを続けたほうがいいかどうかの判断理由は、「情報が欲しい、子ども同士が仲良しだから」などいろいろあると思いますが、何よりも、自分自身が「ご縁ができて嬉しい」「一緒にいると元気をもらえる」「子育てを頑張っている仲間同士」というふうに思えるような方と続けるのがいいのではないでしょうか。
それから何かトラブルがあったときには、あまりこだわらないこと。親同士がギクシャクしていると子どもにも影響してしまうので、一歩引いてみる。「あの人はああいう人だからしょうがない」、と見切りをつけるのも賢いやり方だと思います
あまりにも目に余る場合は、本人に伝えること。本人ではなく、つい第三者である共通の友だちに言ってしまいがちですが、いつかはバレますし、トラブルの元になります。それでお付き合いが終わってしまったこともありますが、私はそれでいいと思っています。
自分の物差しも相手の物差しも大事に
娘も今では高校生。そういう付き合いはさっぱりなくなりました。中高一貫校にいたので、中学時代のママ友関係がそのまま続いているのですが、たまにランチ会に出ると、まだちょっとしたゴタゴタはあるようですが、昔と違って、大人のほうも成長しています。
子育ての物差しは本当に人それぞれ。何を大切にしているか、何がその子にとってつらいことか、ということも異なります。自分の物差しに合わないとき、つい口出しをしたり、お節介をしたくなりますが、それはやめておいたほうがいいでしょう。
ママ友付き合いは本当に難しいですが、娘の幼稚園時代に親しくなり、いい付き合いを続けているママ友もいます。これは、娘に感謝しています。この先もずっと続いていって、お互いの子どもの結婚式など、人生の節目も一緒に見届けられたらと思っています。
まあ、そう思える人はわずかですし、自分自身が元気で気持ち良くいられれば、それが一番だと思います。ママ友付き合いに悩まれている方はたくさんいると思いますが、「付き合い続けなくては」と思わず、うまく距離をとったり、割り切る、という方法も試してみて下さい。
話し手/井坂敦子 構成/清野 直
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▼井坂敦子 プロフィール
慶應義塾大学→ 雑誌『オレンジページ』編集部 →公式サイト『オレンジページnet』編集長 →小学校受験対応型保育園園長 →年間約100本の子育てや教育に関する講演会や対談を企画運営 英国留学中高校生女子とボーダーコリー3頭の母
中学校高等学校教諭一種免許状(国語) 保育士 食育カウンセラー 表千家師範
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