学研 × 朝日新聞 キッズネット

【小学校高学年・中学生向け】反抗期の会話は食卓から変わる?自立を促す『食選力』の身につけ方

【小学校高学年・中学生向け】反抗期の会話は食卓から変わる?自立を促す『食選力』の身につけ方

小学校も高学年になると、さまざまなことを自分で決めていくシーンが増えるもの。親としても、少しずつ「自立」を促していかなくては……と考え始める時期ではないでしょうか。

「じつは、子どもの自立をサポートするのにも『食育』がおすすめです!」

そう語るのは、一般社団法人日本キッズ食育協会の代表理事・榊原理加さんです。今回は、小学校高学年から中学生に向けた「家庭で育むさまざまな子どもの力」を教えてもらいました。

そもそも食育ってなに?という方は、こちらから

小学校低学年向けの食育について知りたい方はこちら

食育は「お手伝い」から「プロジェクト」へ。思い切ってキッチンを任せてみよう

未就学児から小学校低学年にかけての食育のひとつとして、子どもに「食事のお手伝い」をしてもらうことがありますよね。子どもが食や料理に興味を持ち、さらには親子のコミュニケーションの時間にもなる、とてもよい機会です。

高学年や中学生になると、いっしょに料理をする時間を各ご家庭で確保するのはなかなか難しいかもしれません。けれども、行事やイベント、また学校の宿題などでも、料理をする機会があるはず。

そんなときは、思い切って本人に任せてみましょう。困っていたらサポートしながら、その過程からいっしょに楽しんでくださいね。

たとえ失敗しても大丈夫。次はどう工夫しようか、と考えることが問題解決能力へつながり、ひいては子どもの自立を促します。

料理をする子ども

最近は、TikTokやYouTubeといったSNSを見て、独創的な創作料理に挑戦する子も増えています。以前私の教室に通っていた生徒さん(現在中学生)の保護者の方から、先日「子どもがカルボナーララーメンをつくってくれました」という報告をいただきました。

大人からすると少し訝しく思うメニューかもしれませんが、ここは子どものやる気を尊重するチャンス! 「どうやってつくるの? 教えて!」と親が聞き役にまわることで、子どもの向上心や自主性が育ちます。

つくってくれた料理に対しては、しっかり感謝しておいしくいただきましょう。「家族が喜んでくれた」というポジティブな体験が、その後も食に興味を持ち、積極的に料理に関わっていく意欲になります。

「正論」よりも「なりたい自分」。成長期に響く「食選力」の伝え方

小学校高学年から中学生にかけては、まさに成長期。自分の体に必要な栄養を知り、食材を選び取っていくこと、つまり「食選力(しょくせんりょく)」を身につけることも大切な食育のひとつです。

とはいえ、単に「栄養があるから野菜を食べなさい」と言っても響かない年頃。たとえば、「背が高くなりたい」「体重を増やしたい」「肌をきれいにしたい」といった「なりたい自分」に近づくためには、なにを食べたらいい?という視点で話すことがおすすめです。

栄養価の高い野菜

なかには、「プロテインを飲んでおけば大丈夫!」という考えの子もいるかもしれません。機能性食品は栄養が含まれているので一見良さそうですが、食の役割は栄養を摂るだけではないので、日々の食事を大切にしてほしいですね。

おすすめは、憧れのスポーツ選手のエピソードを交えること。たとえば、苦手な子どもが多い高野豆腐も、「じつはアスリートが積極的に食べているパワーフードなんだよ」と伝えると、子どもたちの目の色が変わります。

「体にいいから」という正論よりも、「憧れのあの人に近づけるかも」というワクワク感が食選力を育てるのです。

食卓は小さな社会。“おかわりじゃんけん”から学ぶ「多様性」と「他者理解」

子どもの自立や食選力以外にも、食育で身につけられる力はたくさんあります。

たとえば、給食時によく行われる「おかわりじゃんけん」。好きなおかずをおかわりしたい子が多いとき、じゃんけんで決めたりしますよね。おそらく家庭でも、きょうだいでおかずやデザートをわけるときなどに、「僕がもうひとつ食べたい」「私も欲しい!」といったシーンが見られるのではないでしょうか。

じゃんけんをする子どもたち

そんなとき、どうやって解決するのか。

給食と同じようにじゃんけんをする? それとも、話し合う? 場合によっては、「昨日じゃんけんに勝ったから今日は譲るよ」という言葉が出てくるかもしれません。おかずやデザートを子ども同士でわけることで、自然と他者理解や思いやりの心が育っていきます。

また、食べ物の好みや、味の感想について伝え合うことも、食育では大切なことです。

自分が苦手なものでも、誰かが「おいしいね!」と食べていると、自然と「食べてみよう」という気持ちになりますよね。また、食べ物の好みだけでなく、自分の感想を自分の言葉で伝えることや、違う意見があることを知り、認め合うことで多様性を理解する一歩にもなります。

食育は難しくない。大人の小さなサポートで、子どもの力は大きく育つ

こうして見てみると、食育は決して難しいものでも、準備が大変なものでもなく、日々の親子の会話や友だちとのやりとりのなかから取り組めるものなんですよね。

気軽に取り組めるのに、食選力多様性他者理解以外にも、さまざまな力が身につく点も食育の大きな魅力です。

国語や算数、理科、社会といった学習のきっかけづくり、伝統文化の継承、さらには、社会性責任感自主性コミュニケーション能力洞察力……本当に、食育をやらない手はない! そう声を大にして伝えたいです。

ただし、子どもだけでは、それらの力を身につけるのは少し難しいのもまた事実。大人が声をかけ、子どもの言動を認め、褒め、いっしょに話し合い考えることで、子どもたちの力はぐんぐんと育まれていきます。

小学校高学年から中学生は部活や習い事で忙しく、また反抗期で会話が減ってくる時期。だからこそ、親子で向き合う時間をつくりませんか? 食卓での些細なやりとりが、親子をつなぐ大きな懸け橋になるはずです。

取材・文/水谷映美 編集/高須賀里緒菜(キッズネット)

 榊原 理加(さかきばら りか)さん

 榊原 理加(さかきばら りか)さん

榊原 理加(さかきばら りか)さん

一般社団法人日本キッズ食育協会 代表理事。大手料理教室マネジメント、講師育成を経験後、独立。料理教室や、料理ビジネスの経営コンサルティングを行う傍ら、日本キッズ食育協会を設立。子どもたちへ食育を教えるための講座・研修を開催し、トレーナーを育成。食育スクール「青空キッチン」を全国に約70校展開。

PAGETOP