Case 10 アダルトサイトの甘いワナ／わが家のSNSトラブル　～ユカの事件簿～

思ったよりみんながひっかかっているアレ

わたしがママ友と子どものスマホトラブルについて話していると、男の子の母親から必ず出てくる話があります。

アダルトサイトで「登録したから会費を払え」と表示されてしまった……

いわゆる「架空請求」トラブルです。

友だちの話もふくめ、男の子の母親はこのネタを一つは持っていました。SNSとはちがいますが、これもケータイ・スマホを持った子どもに身近なトラブルです。もちろん、女の子だってひっかかります。

巧妙になっている架空請求

わたしもママ友から「架空請求がきた」と相談されたことがあります。

ママ友の高校生の息子さんが、アダルトサイトで「会員登録完了しました」と表示されて、あわてて相手に電話をかけてしまい、

「解約料10万円払ってください」

と言われ、その後も電話がかかってくるようになったのです。

息子さんは隠していましたが、「架空請求ってさ～」と話をふってくるのをママ友はおかしいと思い、事情を聞きだしました。そして「請求は無視して大丈夫」と教えたものの、やはり不安でわたしに相談したのです。

もちろん、請求は無視、電話は着信拒否で解決しました。

 不思議なのは、息子さんは「架空請求は無視しておけばいい」と知っているのにひっかかったことです。

そう、架空請求は、いかにもそれらしくやってくるわけではありません。

ママ友の息子さんは「解約はこちら」という指示にだまされました。これで解約できると思って電話をかけ、先方に電話番号を知られてしまいました。解約に必要な情報だと言われて、「名前」も教えたそうです。

このとき「住所」や「学校名」や「父親の名前」などを聞きだされるケースもあるそうです。相手に個人情報をつかまれてしまうので要注意です。

「会員登録」の入り口も、アダルトサイトばかりではありません。無料動画やコミックのサイトで、「再生」ボタンを押しただけでアダルトサイトの会員登録完了になるという手口もあるそうで、だれでもひっかかる可能性があるのです。

「もし巻きこまれたらどうするか」を教えておこう

こういったトラブルは、フィルタリングやペアレンタルコントロールを設定することでかなり防止できます。^※1 また、親は公的な相談窓口や似た事例についての対応方法を知っておくとよいでしょう。

しかし、フィルタリングをくぐりぬけてお子さんのスマホに「会員登録完了しました」と表示されてしまったとき、あわてたお子さんが相手に接触しないように、お子さんと大原則を確認しておきましょう。

子どもは自立心や自信が出てくると、トラブルを自力で解決しようとします。アダルトサイトを見ていた場合、隠したい気持ちも加わります。わたしのママ友のように、普段とちがう子どもの態度を感じとってトラブルを見つけることも、重要な親の役目になってきます。

とはいえ、思春期で親と話さない子どもは珍しくありません。「トラブルになっても自分にはわからないかも」と思う方もいるでしょう。

そんなお子さんには、親以外のおとなの人、たとえば親せきや先輩、スクールカウンセラーなどに相談できることを、ふだんからさりげなく知らせておいてあげてください。お子さんの性格にあわせたセーフティネットをはってあげましょう。