Case 7 カップルラブラブ写真（２）／わが家のSNSトラブル　～ユカの事件簿～

ケンちゃんと彼女のラブラブプロフィール写真

娘のユカが、大学の友だちとおかしな遊びをしていました。「同級生インパクト対決」。スマホで持っている一番インパクトのある友だちの写真を出しあい、勝ち負けを決めるという、少々悪趣味な遊びです。

「ぶっちぎりで勝ってきた！」というユカの同級生の写真はケンちゃん。かわいい小学生だったケンちゃんは、芸能人で例えると「湘南乃風」の人みたいな迫力満点の青年になっていました。そのケンちゃんのほっぺに日焼けした彼女がチューしているカップルラブラブ写真です。こんな写真を、勝手に他人に見せてしまっていいのでしょうか。

「ユカ、これってどこからゲットした画像？」と思わずわたしは聞きました。

「LINEのプロフィール写真だよ」

ということは、公開したケンちゃんは、友だちみんなに見られてOKなのです。

プロフィール写真は共有OK？　NG？

公開されているプロフィール写真はいったいどこまで共有が許されるのでしょうか。LINEのプロフィール写真は、IDや電話番号による検索を許可していたら、LINEを使っているユーザーみんなが見ることができますから、絶対に共有NGというのは通らないでしょう。モラルの問題として考えても、わたしには判断がつきません。そして子どもたちは、おもしろいものはどんどん友だちに教えます。

ラブラブ写真、変顔写真、ちょっとイキがった写真…。SNSのプロフィールには、さまざまな「黒歴史」写真があふれています。ノリでアップしたプロフィール写真を、だれかがおもしろがってまわりに拡散していても、本人は（よほどさわぎにならないかぎり）知ることができません。自分でコントロールできない黒歴史写真がネットに残ってしまったら、実害はなくても、とても居心地がわるいでしょう。

「アルバム」を持ち歩く時代

いまの子どもたちは、小学校のころからケータイやスマホを持ち、たくさんの写真をとって残しています。わたしの「アルバム」は家に置いてあるものでしたが、ユカは「アルバム」をスマホで持ち歩いているのです。 

また、ユカは大学生ですが、いまもSNSで小学校の同級生とつながっています。実際に交流していなくても、SNSを調べたら、何年も会っていない同級生が今日なにをしているのか知ったり、いまの画像を見ることができます。

大量の写真や友だち関係をSNSで共有しながら大人になる現代の子どもたちは、どんな時代を作っていくのでしょう。もしかすると、過去のラブラブ写真などの「黒歴史」がネットに公開されたままなのも「普通のこと」として気にしなくなるのかもしれません。

たとえそんな時代が来るとしても、ユカにはカップルラブラブ写真をSNSで大公開しないでほしいと願ってしまいますが……。

エピローグ

その後ケンちゃんのLINEのプロフィール写真が更新されました。あいかわらず彼女とツーショットの写真には、「家族になっちゃった！」というコメントが！

そしていま、ケンちゃんのプロフィール写真は、彼女に加えて「ベイビー！」を抱いた写真になっています。

最初に見た時には「トホホ」という気持ちになったカップルラブラブ写真ですが、こんなふうに家族の歴史をきざんでいくと思うと、なかなかよいものにも思えてくるので不思議です。