読書傾向、小学生・中学生では堅調/データで読み解く、子どもとスマホ【第44回】
新聞を読む時間が1日に平均18秒だった日本の10代。それでは、より身近な「本」とはどうつきあっているのでしょうか。
小学生・中学生・高校生は本を読んでいるのか?
前回、総務省の調査から、10代は平日1日に平均0.3分(約18秒)しか新聞を読まないことをお伝えしました。※1
この調査結果を見ると、「若者の文字離れ」が深刻化しているように感じてしまいますね。
そこで今回と次回は、「文字」を読むという観点から、日本の子どもたちの行動をデータで読み解いていきます。
一度にまとまった量の文字を読むことができ、子どもたちにとっては新聞より身近な存在なのが本。日本の子どもたちは本とどのように接しているのでしょうか。文部科学省の調査結果をみてみます。
文部科学省は「子供の読書活動の推進等に関する調査研究」で、小学生・中学生・高校生の読書活動の実態を調べています。※2
調査対象は公立の学校に在籍する、小学4・5 年生、中学1・2 年生、高校1・2 年生(普通科の生徒)。受験を控えた学年は対象外となっています。
この調査結果から、まず、読書時間についてみてみます。日本の子どもは、学校がある平日にどれくらい本を読んでいるのでしょうか。
ここで、グラフに紫色で示されている「まったくしない」の割合に注目してみましょう。学年・学校段階が上がるにつれて本を読まない子が増えていきます。
平日1日に読書をまったくしない子の割合は、小学校では平均して14.4%、中学校では少し割合が増えて平均17.2%。高校生になると約4割以上が1日に読書をまったくしていないことがわかりました。
1カ月に何冊本を読む?
さて、平日はなにかと忙しい子どもたち。土日も含めた1カ月あたりでみると、何冊くらい本を読んでいるのでしょうか。読書冊数についてみてみます。
さらに、グラフに紫色で示されている「0冊」の割合に注目してみましょう。
この調査では、1カ月で読んだ本の冊数を0冊と回答した割合のことを「不読率」としています。
小学生では不読率は1割未満です。中学生になると不読率は約1~2割と少し高まります。高校生になると不読率はぐっと増えて3割をこえ、高校2年生では35.7%。高校2年生の3人に1人は1カ月に読んだ本が0冊という状況です。
実はこの調査では、紙の本以外に、パソコンやタブレット端末、スマホなどで読める本(電子書籍)も本に含めています。(なお、マンガや雑誌、新聞、教科書や参考書は含まれていません。)スマホやタブレットなどの端末で本を読んでいる、という状況でもないのです。高校生になったら、紙でも電子媒体でも本は読まない、そんな姿が浮かび上がってきました。
子どもたちはなぜ読書をしなくなるのでしょう。また、読書をしないことで子どもたちにどんな影響があるのでしょうか。
(次回に続く)
- ※1
総務省 情報通信政策研究所「平成28年 情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01iicp01_02000064.html - ※2
子供の読書活動の推進等に関する調査研究(文部科学省 H29年)
http://www.kodomodokusyo.go.jp/happyou/datas.html
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