ネットやSNSを長時間使う中高生は読書時間が短い/データで読み解く、子どもとスマホ【第45回】
学年があがるにつれて読書をしなくなる日本の子どもたち。子どもたちにどんな影響があるのか読み解きます。
どうして本を読まないの?
前回に引き続き、文部科学省の「子供の読書活動の推進等に関する調査研究」から、小学生・中学生・高校生の読書活動の実態をみていきます。※1
学年や学校段階が上がるにつれて本を読まなくなる日本の子どもたち。1カ月に1冊も本を読まない「未読率」は小学生では1割未満ですが、中学生で約1~2割、高校生で3割以上となっています。
どうして子どもたちは本を読まないのでしょうか。調査結果をみてみましょう。
[現在あまり本を読まない理由]
小学生
1位 他にしたいことがあったから 53.9%
2位 読みたいと思う本がないから 40.2%
3位 ふだんから本を読まないから 39.1%
中学生
1位 他にしたいことがあったから 56.9%
2位 他の活動等で時間がなかったから 54.0%
3位 ふだんから本を読まないから 44.6%
高校生
1位 他の活動等で時間がなかったから 64.5%
2位 他にしたいことがあったから 47.3%
3位 ふだんから本を読まないから 32.8%
本を読まない理由の回答をみると、小学生に比べ中学生・高校生では「時間がなかったから」と回答する割合が高くなっています。また、「他にしたいことがあったから」と「ふだんから本を読まないから」の2つの回答は小学生・中学生・高校生すべてで上位3位に入っています。
今回は、「他にしたいことがあったから」という回答を掘り下げてみていきます。
メール・SNSをする時間が長い中高生は読書時間が短い
読書をしない理由のうち「他にしたいことがあったから」「他の活動等で時間がなかったから」とは、言いかえれば、自由時間の配分をどうするかということ。
この調査では、ふだん学校のある日の時間の使い方について、下記の項目と読書時間の関連性を調べています。
■テレビ、ビデオ、DVDを見る
■メール・メッセージ・ファイルのやり取りをしたりブログ・SNSを利用したりする
■インターネットを見る
■ゲームで遊ぶ
■マンガ・雑誌を読む
■クラブ活動・部活動、委員会活動等で活動する
■塾や習いごとに行く
■勉強・宿題をする
小学生についてみてみましょう。
図のなかで、破線で結ばれているのは「負の関係」で、それらの項目に使う時間が増えると読書時間が減ります。実線で結ばれているのは「正の関係」で、それらの項目に使う時間が増えると読書時間が増えます。線がひかれていない項目は相関関係が低く、読書時間には影響しないものです。
小学生においては、テレビ等を見る時間が長い子ども、ゲームで遊ぶ時間が長い子どもは、読書時間が短いという結果が示されています。
中学生ではどうでしょうか。
中学生においては、テレビ等を見る時間が長い子ども、メールやSNSをする時間が長い子どもは、読書時間が短いという結果が示されています。
高校生は次の図のように、小学生・中学生とは少し異なる傾向になっています。
おもしろいことに、小学生・中学生・高校生に共通して、マンガ・雑誌を読む時間が長い子ども、勉強・宿題をする時間が長い子どもは読書時間も長いのです。マンガを読む子は(マンガを含まない)読書時間が長いなんて保護者世代からすると驚きですし、勉強時間が長い子は読書時間も長いとなると、いったい時間をどんなふうに使っているのか聞いてみたい気さえします。
さて、ネットのコミュニケーションに自由時間の配分で押されつつある読書時間。プライベートな時間がネットのコミュニケーションへシフトすることで、子どもたちにはどんな影響がでてくるのでしょうか。
(次回に続く)
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