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スマホが勉強に役立つ!?/データで読み解く、子どもとスマホ【第47回】

スマホが勉強に役立つ!?/データで読み解く、子どもとスマホ【第47回】

スマホは勉強の妨げになる……、大人の目からはそんなふうに見えますが、子どもたちはどう考えているのでしょうか。

スマホが勉強に役立つと考える子どもが8割超

今回から、スマホと勉強の関係についてみていきます。

NTTドコモでは2018年2月、スマホをもつ12歳から18歳の子ども1204人を対象として、スマホと勉強に関するアンケートを実施しました。※1

発表された調査結果でとくに目をひくのが、スマホと勉強との関連を子どもの側からみたデータです。発表によれば、「スマホは勉強に有効だと思いますか?」という質問に対して、「有効だと思う」と回答した子どもは81.2%でした。

8割をこえる子どもが、スマホは勉強に有効だと考えているという、保護者からするとびっくりするような数字が示されています。どういうことなのか、データで探っていきます。

スマホでわからないことを調べる子どもは8割

内容についてくわしくみていきましょう。

あなたの勉強時のスマホの活用法について、あてはまるものをお選び下さい[複数選択可]」という質問に対する回答は次のようになっています。

[勉強時のスマホ活用法]
わからないことをネットで調べる 80.2%
わからないことを友達や知人に聞く 45.3%
辞書アプリを活用する 36.7%
勉強用アプリを使用する 29.0%
わからないことをネット上で不特定多数の人に聞く 15.9%
とくに勉強には活用していない 11.7%

「わからないことをネットで調べる」と答えた子どもが飛び抜けて多いことがわかります。

調査対象となっている年齢の子どもは、小学校・中学校でパソコンやタブレットを使った調べ学習を行なっている(またはかつて行なっていた)世代です。家庭における学習で調べるための道具が、パソコンやタブレットよりも身近なスマホに置き換わったと考えれば、この数字の高さが理解できるのではないでしょうか?

また3番目に多い「辞書アプリを活用する」も、従来は紙の辞書で行なっていたものが、電子辞書、さらにはより身近なスマホに置き換わったものとみるのが自然な流れといえます。

アプリで学習の記録を残す

さらにこの調査で注目したいのは、約3割の子どもが活用している「勉強用アプリを使用する」という項目です。名前があがっているアプリの上位2つは、「Study plus」と「スタディサプリ」。いずれも定番のアプリです。

(株)スタディプラスが提供する「Study plus」は無料アプリで、毎日の学習量と学習時間を記録して見える化できるほか、学習について相談したりはげまし合ったりできるSNS機能があります。2016年には日本e-Learning大賞を受賞しています。

リクルートが提供する「スタディサプリ」は月額980円(税抜)の有料アプリで、プロ講師による1万本以上の授業動画を受講できます。学習計画や正答率の低い分野のドリル演習などの機能があります。保護者ページで子どもの学習状況を確認することもできます。

2つのアプリに共通するのは、学習の記録が可能になっていること。分野ごとの学習状況や学習時間を自動的に記録し、集計・分析してくれます。これは問題集とノート、時計といった従来からあるアナログの学習ツールではなかなかむずかしく、スマホというデジタルツールが本領を発揮する機能といえます。

こんなふうに、学びにかかわるさまざまな記録をデジタル化して記録したものを「eポートフォリオ」といいます。学習の状況を見える化して自分自身の客観的な振り返りにつなげるだけでなく、進学にあたっての評価に活用したり、教育効果の測定を行なったりする試みが始まっています。

スマホのアプリによる学習記録は、eポートフォリオのごく一部を実現しているにすぎませんが、子どもたちが気軽にそして日常的に、新しい学びの形に足を踏み入れていることは確かなことです。

高大接続サイトJAPAN e-Portfolio
高校生が学校内外の活動をeポートフォリオとして記録し、高校の先生が確認できるほか、「JAPAN e-Portfolio」の利用を表明した大学で、平成31年度入試の入学者選抜における評価・参考データ・統計データなどに利用する。文部科学省の委託事業。※2

受身の姿勢が気になる

こうやってみてみると、スマホでの学習はいいことばかりのように感じられるかもしれませんが、調査結果にはいくつか気になる点もみてとれます。とくに注意するべきだとわたしが思うのは、スマホを学習に使う子どもたちが、受身の姿勢でいるように感じられることです。

次回は、この点について読み解いていきます。

※1
NTTドコモ 親のための子どもスマホ”必修”講座
※2
JAPAN e-Portfolio
2018年2月15日現在、国公私立61の大学が利用を表明しています。なお、各大学の利用方法は、募集要項などに明記されます。

 
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渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

渡邉純子(コドモット)(わたなべじゅんこ)

株式会社コドモット代表取締役社長。
NTT在籍時代の2001年、子ども向けポータルサイト「キッズgoo」を立ち上げ、同サイトでデジタルコンテンツグランプリ・エデュテイメント賞受賞。独立後は小学生向けのコンテンツを中心に、企業の子ども向けWebサイトや公共団体の子ども向けツールなどの企画制作を数多く手がける。一男一女の母。

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