PK戦35試合のうち、先攻が勝ったのが17試合で勝率49%。後攻が勝ったのが18試合で勝率51%。キックの順番に有利不利はありません。
これまで先行の方が勝率60%ほどで有利とした研究報告もありましたが、7000試合以上のPK戦を分析した2025年の研究報告では先攻後攻の有利不利はないと分かっています。 出典:No Evidence of First-Mover Advantage in a Large Sample of Penalty Shootouts(David Pipke、2025)
1976~2004年のワールドカップなどのPK戦41試合、409本のキックを分析。キック順と成功率をみると、各チームの1人目86.6%、2人目81.7%、3人目79.3%、4人目72.5%、5人目80%、サドンデス方式になって6~9人目64.3%で、5人目を除いて下がっていく。 出典:Kicks from the penalty mark in soccer: The roles of stress,skill, and fatigue for kick outcomes(Geir Jordetら、2007)
1974~2006年のワールドカップなどのPK戦36試合を分析。「失敗すれば負け」という状況では、キッカーは、ボールをセットした後に助走位置までキーパーに背を向けて移動すること、審判の合図後すぐに助走を始めてキックすることが多くなった。これは「早く終わらせたい」という消極的な気持ちの表れ。また、審判の合図からすぐにキックを始めると失敗が多くなった。
出典:Avoidance Motivation and Choking Under Pressure in Soccer Penalty Shootouts(Geir Jordet、Esther Hartman、2008)
不安→キーパーへ視線→コースもキーパーへ近づく
PKのキック時の視線を実験で分析。不安の大きいときは大きな刺激や脅威に感じるものに注意を取られることが分かっていて、PKではキーパーを早く、長く見ることが分かった。通常キッカーは狙う場所を見てキックし、その視線の先へボールも飛ぶため、キーパーを見てしまうと、不安のないときと比べてコースが中央・キーパーへ平均14cm近づいた。 出典:Anxiety, Attentional Control, and Performance Impairment in Penalty Kicks(Mark R Wilsonら、2009)
プレッシャー→キーパーにつられて動いた方向へキックすることも
キッカーが、キーパーの動きを見て、その逆をつくPKのシミュレーション実験を分析。プレッシャーを感じているときは、プレッシャーのないときよりも判断に時間がかかり、より早くキーパーが動いてくれないと逆をつけなかった。また、プレッシャーを感じている時は、キック直前にキーパーが動くと、それにつられて、キーパーが動いた方向へキックすることもあった。PKでは、キーパーの逆をつく作戦よりも、キーパーを無視して自分で決めたコースにキックする作戦を取るべきだ。
出典:The Effects of High Pressure on the Point of No Return in Simulated Penalty Kicks(Martina Navarroら、2012)
プレッシャー→脳が考えすぎて、運動が乱れる
プレッシャーがあるときのキック時に、脳の働きがどうなっているかを実験で測定して分析。プレッシャーがあると、脳のうち体の動きに関係する運動皮質の働きが抑えられ、考えることに関係する前頭前野の働きが活発になった。サッカー経験者の場合、キックのフォームや結果などについて考えすぎてしまうことで、普段は考えなくても自然にできていたキックの運動が乱れ、思ったコースにけれずに失敗すると考えられる。 出典:Exploring the Brain Activity Related to Missing Penalty Kicks: An fNIRS Study(Max W. J. Slutterら、2021)
成功を大きく喜ぶと次の相手は失敗しやすくなる
1972年から2008年までの欧州選手権とワールドカップでのPK戦33試合を分析。同点の場面で、キックを成功させた選手が両腕を上げるなど大きく喜びを表現すると、直後の相手キッカーが失敗する確率が2倍以上高くなった。また味方チームも勝ちやすかった。喜びを分かりやすく表現することが味方には前向きな影響を与え、相手にはその逆の効果を与えると考えられる。 出典:Emotional contagion in soccer penalty shootouts: Celebration of individual success is associated with ultimate team success(TJERK MOLLら、2010)
キーパーがキッカーの気を散らす作戦は有効
実験によるPKを分析。キーパーが動いていないときと、キーパーが腕を振っているときでは、腕を振っているときの方がキッカーの注意がキーパーに引かれてしまい、成功率が下がった。コースもキーパーに近い中央にけられる傾向があった。 出典:Anxiety and attentional control in football penalty kicks: A mechanistic account of performance failure under pressure(Greg Wood、2010)
ワールドカップなどの200本のキックと、実験から分析。キーパーがゴールの中心からわずかに左または右にずれて立つと、キッカーは無意識のうちに広い方へキックする傾向がある。キッカーに気づかれない最適なずれ幅は6~10㎝。
出典:Imperceptibly Off-Center Goalkeepers Influence Penalty-Kick Direction in Soccer(R.S.W. Masters、2007)