〔憲法の制定〕
1889年2月11日に発布され、第二次世界大戦後まで効力のあった国家の基本法。明治憲法ともいう。1881年に10年後の国会開設を国民に約束した明治政府は、その前に憲法制定の準備に取りかかり、伊藤博文らが渡欧して研究し、君主権の強いプロイセン(ドイツ)憲法を手本にして草案を作り、枢密院で検討後、欽定憲法(天皇の定めた憲法)として発布された。
〔大日本帝国憲法の特色〕
主権は天皇にあり、国務大臣や官吏は天皇が任命し、議会は政府を組織する権限をもっていなかった。外国と条約を結んだり、戦争を始めることもすべて天皇の権限であり、とくに軍部は天皇に直属するものとして、政府からも議会からも独立していた。また、国民は「臣民」と呼ばれ、その権利は法律によって制限できるとされていた。
コーチ
大日本帝国憲法は、現在の日本国憲法に比べると不十分な点は多いが、とにかく国民の長い間の夢が実現し、日本は、アジアではじめての近代的な立憲君主国家として出発することになった。
年代暗記
大日本帝国憲法を発布する…いち早く(1889)定めた明治憲法
条文
大日本帝国憲法のおもな条文
第1条 大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス
第3条 天皇ハ神聖ニシテ侵スベカラズ
第6条 天皇ハ法律ヲ裁可シ其ノ公布及執行ヲ命ズ
第11条 天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス
第13条 天皇ハ戦ヲ宣シ和ヲ講ジ及諸般ノ条約ヲ締結ス
第22条 日本臣民ハ法律ノ範囲内ニ於テ居住及移転ノ自由ヲ有ス
第26条 日本臣民ハ法律ニ定メタル場合ヲ除ク外信書ノ秘密ヲ侵サルルコトナシ