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夏休み特別編 その2 夏休みの宿題を計画通りに進めさせたい!/教えて! 陰山先生【第18回】

夏休み特別編 その2 夏休みの宿題を計画通りに進めさせたい!/教えて! 陰山先生【第18回】

小4の娘が毎年、夏休みの宿題をギリギリまでやりません。どうしたら、娘が計画通りに夏休みの宿題をするようになるでしょうか?

質問

小4の娘が毎年、夏休みの宿題をギリギリまでやりません。

4年生になっても遊んでばかりいて、普段の宿題も夜寝る前になってあわててやっている姿を見ると、今年の夏休みも例年通りなのではないかと心配です。

昨年の夏休みは計画表を作ったのですが、その通りにはならず、結局最後の3日間で夫が手伝いながらなんとか終わったという経緯があります。
さすがに4年生になったのですから、今年こそはと思っているのですが……。

どうしたら、娘が計画通りに夏休みの宿題をするようになるでしょうか?

回答

40日間をどのように過ごすか。現実的な計画を立てる

夏休みがはじまる前には、多くの学校や家庭で学習計画を作りますが、多くの場合、それは儀式的になりがちで、ほとんど顧みられません。
しかし、夏休みの40日間をどのように過ごすかは、その後の学習に大きな影響があります。計画がないがしろにされ、学習自体が進まないのは避けなければなりません。
ではどのようにすればいいのでしょうか。

まず、夏休みの学習計画が現実的ではないということを考えなければなりません。もちろん、従来の自分のやり方でうまくいっていれば問題はないでしょう。
しかし、今までのやり方で問題があるのならば、根本から考える必要があります。
わたしが子どもたちに指導していたのは、時期によって、学習すべき内容と目的をしぼりこむことでした。

計画を立てる際のポイント

第一に、学校から出るドリルの宿題は、7月中にやってしまいましょう。このドリルは、量的に見れば多くはなく、わざわざ夏休みの間に分散するほどの意味もありません。1学期終了直後であれば、学習のことがしっかり記憶に残っており、それを土台に進めれば、効率よく終えることができます。

8月に入れば、図画や工作、自由研究を中心に進めるといいでしょう。
これらの題材は、ある程度時間をとらなければなりません。通常のドリル的な学習とでは時間の使い方が違うので、この時期に集中してやってしまいましょう。読書感想文や自由研究などは、それを対象としたセミナーなどがあるので、親子で参加してみるのもいいでしょう。

こうして、8月の初旬までに主だった学習をやってしまえば、気持ちは楽になりますし、お盆前後には、学校の宿題を気にせず、旅行や里帰りなどをすることができます。
お盆終了後から2学期開始までは、やり残したことをやってしまう期間にしましょう。

もっとも重要なのは、宿題が残ったまま、2学期を迎えないことです。なぜなら、2学期がはじまると同時に、シルバーウィークのような休日があり、地域によっては運動会もあります。また、2学期は、12月末までの長丁場です。スタートダッシュをしっかりしなければ、後々の学習がきつくなってきてしまいます。

一方、夏休み中に、学力をより高めたい。または、苦手をなくしたいと思う人も多いと思います。そういう人は、短時間でやれるドリルや学習すべき分野を絞った問題集などを8月の前半にやっておくといいでしょう。
8月後半になれば、2学期が近づいてきます。2学期の予習を、家庭独自に入手したドリルでやっていくといいでしょう。

このように、時期によって学習すべき内容と目的をしぼることが、夏休みの学習を効果的にしていくのです。

2学期を気持ちよくスタートさせるために

夏休み明けの2学期の始業式は、1年のうちでもっとも不登校や非行問題が起きやすい日です。それだけに、子どもたちが気持ちよく2学期をスタートできるよう、夏休みの課題を残すことを避けなければなりません。
教師も、夏休みの宿題のレベルが高いものであるとは期待していません。とにかく2学期をスムーズにスタートしたいという思いが一番なのです。

このように、夏休みの学習計画がスムーズに進むためには、学校から課せられたドリル的な宿題をできるだけ早い段階にやり終えることが一番効果的ということです。

夏休みの早い段階に1つの達成感を得ることができれば、そのあとのさまざまな学習においても意欲が芽生えるでしょう。夏休みがはじまったからといってすぐ遊んでしまうのではなく、最初の段階で重要な課題をやり終えるように努力してください。

「夏休み全体の分を早めに終えていいのかしら」と思って、後半に残す必要はまったくありません。夏休みの後半になれば、1学期のことは忘れてしまうものですから。

以上のことを参考にして、今年は充実した夏休みを過ごしてください。

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 陰山英男(かげやまひでお)

 陰山英男(かげやまひでお)

陰山英男(かげやまひでお)

1958年兵庫県生まれ。岡山大学法学部卒。
兵庫県朝来町立(現朝来市立)山口小学校教師時代から、反復学習や規則正しい生活習慣の定着で基礎学力の向上を目指す「隂山メソッド」を確立し、脚光を浴びる。
2003年4月尾道市立土堂小学校校長に全国公募により就任。百ます計算や漢字練習の反復学習を続け基礎学力の向上に取り組む一方、そろばん指導やICT機器の活用など新旧を問わず積極的に導入する教育法によって子どもたちの学力向上を実現している。近年は、ネットなどを使った個別の小学生英語など、グローバル人材の育成に向けて提案や実践などに取り組んでいる。
2006年4月から立命館大学 教授(立命館小学校副校長 兼任)に就任。現在は、立命館大学 教育開発推進機構 教授(立命館小学校校長顧問 兼任) 。全国各地で学力向上アドバイザーなどにも就任し、学力向上で成果をあげている。また、北は北海道,南は沖縄まで、全国各地で講演会を実施している。
過去には、文部科学省 中央教育審議会教育課程部会委員,内閣官房 教育再生会議委員,大阪府教育委員会委員長などを歴任。
著書多数。
Webサイト http://kageyamahideo.com/

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