声をかけても片づけない、宿題もしない小5の息子/教えて! 陰山先生【第26回】
小6の娘はわりとしっかり者ですが、小5の息子は、部屋を散らかすし、お手伝いもろくにせず、宿題もよく忘れています。せめて自分のこと(身のまわりの片づけや宿題)だけでもやってはしいと思うのですが、こんな息子を指導する方法を教えてください。
質問
わたしには、小6の娘と小5の息子がいます。
小6の娘はわりとしっかり者で、声をかければお手伝いはちゃんとしてくれますし、勉強もそこそこがんばっています。
それに比べて小5の息子は、部屋を散らかすし、お手伝いもろくにせず、宿題もよく忘れています。
もちろん娘も、部屋を散らかすことはありますが、遊びやテレビに夢中になっていても「ちゃんと片づけて」と声をかければやってくれます。同じ状況でも、息子はわたしの声にまったく反応しません。
「聞こえないの?」と聞くと、「聞こえてるよ」と答えるのですが、なかなか動いてくれません。宿題も「やったの?」と聞いても生返事しかせず、結局やっていかないことが多々あります。
もうすぐ6年生になるのですから、せめて自分のこと(身のまわりの片づけや宿題)だけでもやってはしいと思うのです。
こんな息子を指導する方法を教えてください。
回答
しっかり者のお姉ちゃんとわんぱくな弟。よくある姉弟関係ですね。そのようすが目に浮かんできます。弟さんの方は、お姉ちゃんやお母さんに甘えていて、自分が多少手を抜いてもフォローしてもらえるということを、わかっているようなところがありますね。だから、こちらが何か注意しても、そうやってお母さんにかまってもらえることを喜んでいる面もあるでしょう。
しかし、それはそれとして、宿題や片づけなどは、自立してやれるようになってほしいところです。では、いったい、どうすることが重要なのでしょうか。
片づけと宿題の時間を決めることから始めましょう
一番ポイントとなるのは、時間の使い方です。遊びもテレビも宿題も片づけも、すべての時間を管理してみましょう。
まずは宿題をする時間帯を決めてください。もし、学校から帰ってすぐにする・夕食前にするという約束をしているのなら、夕食の前にそれを確認する必要があります。
このとき、約束をたがえて宿題をやっていなければ、それを終えるまで食事をおあずけにしてしまいましょう。決めたことがルーズになってしまうと子どもは、約束は破ってもよいものだという理解をしてしまいます。
もし寝るまでにやっておくというのなら、やはりそれも寝る前にチェックする必要があります。親がチェックをしなければ、当然のことながら、子どもはその約束をすり抜けていってしまうでしょう。
男の子の特性を理解して冷静に根気よく指導すること
次は片づけです。片づけというのは、意外と時間がかかります。ふだんから手伝いもせず片づけもしていないなら、なおさら要領が悪く、時間がかかるでしょう。ですから、片づけのための時間をしっかりと取り、最後にできたかどうかをチェックすることが必要です。
ここで重要なのは、何をどのように片づけるのか、あらかじめ子どもにきちんと分からせておくことです。
女の子の場合、片づける物や場所を、たいてい自分で決めることができます。また親も、自分は片づけができるので、簡単なことと思いがちです。けれども、男の子にとっては、何をどこに置くか決めることは、ひじょうに高度な学習なのです。
ですから、片づけやすいように、棚や引き出しなどを日常的に整理するようにした方が良いでしょう。学習道具をどこにしまい、おもちゃをどこにしまうのが良いか、一度、休日にしっかりと時間をかけ、整理の具体的な方法を親子で話し合いながら決めて、その日から実行してみましょう。
さらに、15分とか20分とか、毎日の生活のなかに片づけの時間を決めておくのも良いでしょう。
先ほども述べたように、子どもにとって片づけというのは、大人が思う以上に長い時間を要することなので、「要領が悪い」と言って注意したり、「不真面目にやっている」と決めつけたりすることは決して良いことではありません。粘り強く、しかるべきものをしかるべきところにしかるべき方法で置く、ということを学習させてあげてほしいと思います。
「男の子は、言えば言うほどに反発し、動かなくなるか、あるいは反対の行動をするものだ」と、あらかじめ理解して取り組むと、あまり感情的にならずに冷静に対応できるのではないでしょうか。
大人の時間管理も大切なポイントに
さて、このように考えていくと、男の子がきちんと宿題や整理をするというのには、大人の側の粘り強い取り組みが必要になってきます。そうなると、真っ先に考えなければならないのは、子どもたちのためにどうすれば時間を生み出すことができるのか……意外にも、大人の側の時間管理が問われてくるのです。
父親をはじめ、家族みんなと連携しながら、家庭のなかでの時間と物の合理的な管理のしかたを確認しあい、その枠組みのなかに子どもの活動が入っていくように考えてあげてください。
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