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彼女ができたのに、かくしている中3の息子/教えて! 陰山先生【第28回】

彼女ができたのに、かくしている中3の息子/教えて! 陰山先生【第28回】

先日、学校へ行ったときに担任の先生から、息子に彼女がいると聞いて驚きました。思春期の息子と恋愛についてどう話せばよいのか、困っています。

質問

この春から、中3になった息子がいます。
先日、学校へ行ったときに担任の先生から、息子に彼女がいると聞いて驚きました。先生は当然わたしが知っていると思っていて、彼女の話をしてきたのですが、それくらい息子と彼女は校内で公認の仲だったようです。

つきあってから1年以上経つそうですが、クラスメイトのお母さんたちや、彼女のお母さんも、わたしが知らないようだったので話しづらかったとあとで言われました。

息子にそのことを聞くと、ムスッとしてほとんど語ってくれません。

中学生だからつきあうと言っても、いっしょに帰ったり、ちょっと近くに遊びに行くくらいのようですが、話してくれないのもあって心配です。

思春期の息子と恋愛についてどう話せばよいのか、困っています。

回答

お母さんの知らないところで女の子と付き合っていた。年齢を考えると、心配するのは自然かもしれませんね。でもそれって逆にいいことかもしれませんよ。なぜって現代の若者たちは恋愛におっくうなのか臆病なのか、アニメやデジタルの中の疑似恋愛しかできない男の子も多いといいますから。その点では、女の子に恋愛感情を持ち、そして親にわからないように交際するというのはひとつの成長と考えてもいいように思います。

交際を親に言わないのは“恥ずかしい”から

息子さんが、親に分からないようにしていた――というのを気にされているかもしれませんね。しかしそれはうしろめたいからではなく、恥ずかしいからではないでしょうか。

問題になるとすれば、交際のために夜に出歩くとか、友だち関係が悪くなるとか、あるいは服装に異常な変化があるとか、そんな場合でしょう。親が交際に気づかないというくらいだったのであれば、今のところそうした悪い変化がないということですから、まずは落ち着いて接してあげればいいと思います。

もし帰宅時間が遅すぎるなどの“問題”があれば、交際そのものではなく、その“問題”についてたずねるといいでしょう。また、母親からたずねにくい場合は、男の子の気持ちを理解しやすい父親や、親戚など普段から親しくしていて頼れる男性から話をしてもらうのもひとつの方法です。

中学生になれば、男の子はみな異性や性そのものに強い関心を持つものです。成人雑誌をどこかから手に入れ、自分の部屋に隠してこっそり見ているというようなことは、多くの男の子が経験してきているものです。

では、まったく放っておいていいかというと、残念ながらそうとも言えません。というのは、昔は成人雑誌を手に入れるというのは、一定のハードルがあり、それが抑制効果を持っていました。しかし今はスマホやパソコンの時代です。かつてはあり得なかった有害情報が、インターネット上には氾濫しています。しかも、強い関心がある時期だけに、ちょっとしたきっかけからのめりこみ、交際の仕方が過激になったり、友だち関係が急に悪い方向になったりすることもあり得ます。では、どうすればいいでしょうか。

女性の立場からの恋愛観を伝えましょう

最近は、官僚のセクハラ問題や男性タレントのわいせつ問題など公的な立場の人が女性への接し方を間違い、社会的な立場を失うというような事件が続いています。またしばらく前には、著名な大学で学んでいる学生が女性の心身を傷つけた事件もありました。こうしたことを考えれば、女性への接し方は、現代を生きる重要なスキルにもなってきているといえます。

わたしは、お母さんが女性の立場から、あくまでも一般的な話として恋愛に対する女性の感じ方を伝え、女性に対して横暴なことを言ったり、おこなったりすることがいかに迷惑かというようなことを、それとなく、でもしっかりと話しておかれるといいと思います。

そんなことを話せば、本人は「彼女のことを言っているのかな」と思うかもしれません。それでもし、息子さんが自然に彼女とのつきあいについて話をしてくれるのなら、そのまま話を聞いてあげればいいし、やはり恥ずかしがるなら、それ以上は控えてようすをみましょう。

それでも気になることがあるなら、相手の女の子がどのような子なのか、また実際にどんな交際の仕方をしているか、親しいママ友にそれとなく聞いておかれるといいかもしれません。そうすれば、何かしらの変化やトラブルがあったときには対応しやすいでしょう。

しかし多くの場合、そう心配することはないと思います。むしろ近年は、女性にどう声をかけていいかわからないまま、実際に結婚できない男性も増えているといいます。そんな現代を考えれば、心配することなく、「仲のいい女の子がいるならうちに連れておいで」と言ってあげられるくらい、ゆとりを持ってかまえておかれると良いと思います。

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陰山英男(かげやまひでお)

陰山英男(かげやまひでお)

陰山英男(かげやまひでお)

1958年兵庫県生まれ。岡山大学法学部卒。
兵庫県朝来町立(現朝来市立)山口小学校教師時代から、反復学習や規則正しい生活習慣の定着で基礎学力の向上を目指す「隂山メソッド」を確立し、脚光を浴びる。
2003年4月尾道市立土堂小学校校長に全国公募により就任。百ます計算や漢字練習の反復学習を続け基礎学力の向上に取り組む一方、そろばん指導やICT機器の活用など新旧を問わず積極的に導入する教育法によって子どもたちの学力向上を実現している。近年は、ネットなどを使った個別の小学生英語など、グローバル人材の育成に向けて提案や実践などに取り組んでいる。
2006年4月から立命館大学 教授(立命館小学校副校長 兼任)に就任。現在は、立命館大学 教育開発推進機構 教授(立命館小学校校長顧問 兼任) 。全国各地で学力向上アドバイザーなどにも就任し、学力向上で成果をあげている。また、北は北海道,南は沖縄まで、全国各地で講演会を実施している。
過去には、文部科学省 中央教育審議会教育課程部会委員,内閣官房 教育再生会議委員,大阪府教育委員会委員長などを歴任。
著書多数。
Webサイト http://kageyamahideo.com/

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