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「子育てが楽しくなる小さなヒント」⑧ 子育てで「しつけ」より大事なこと

「子育てが楽しくなる小さなヒント」⑧ 子育てで「しつけ」より大事なこと

学研キッズネット編集部と、元保育園園長で現在「花まる子育てカレッジ」のディレクターである井坂敦子さんがタッグを組んで、月・水・金の朝6時に配信している、音声プラットフォーム『Voicy』の番組「コソダテ・ラジオ」。月曜日配信のトークテーマ「子育てが楽しくなる小さなヒント」の内容を、いつでもお読みいただけるように記事化しています。さて、今回は「おもちゃの取り合い」に関するお話です。

MIA Studio/Shutterstock.com

「貸してあげなさい」が正解?

子ども同士で遊んでいると、おもちゃの取り合いになること、よくありますよね。

1歳くらいの小さい頃から、積み木だったり、ぬいぐるみだったり、そうしたおもちゃの取り合いはよく起きると思います。

もめていると、親として止めなければと思って、「まあまあ、仲良く遊びなさい」などと間に入ることが多いのではないでしょうか?

たとえば、家に子どもの友だちが遊びに来てくれたとき、自分の子どものおもちゃをその友だちが使いたがった場合、自分の子に「あなたはいつでも遊べるんだから、今日はお友だちに貸してあげようね」などと言葉がけすること、ありますよね。

それは、譲り合いの心を教えるいい機会でもあります。自分が遊んでいるおもちゃを人に貸してあげられるようになるというのは、とても大事なこと、学んでいってほしいことではあります。

ただ、その子にとってとても大事なおもちゃで、どうしても貸せないというようなとき。それを無理矢理「貸してあげなさい」と言うのは、違うと考えています。

そんなときは、その友達には「順番で使おうね」、「この遊びが終わったらね」というような言葉がけをする。

自分の子どもに、「遊んでいるおもちゃをすぐに貸してあげなさい」と言うのではなく、友だちに少し待ってもらう。それでも貸せない場合は、「これはしまっておこうね」などと言って、おもちゃをその場から見えないところにしまったりしてもいいと思います。

「喪失感」につながることも・・・

どうしてかと言うと、そのおもちゃが子どもにとってとても大事なもので、「誰にも触らせたくない」という想いがあるとしたら、それを貸してしまうこと、無理矢理取り上げてしまうことは、とても大きな喪失感につながると思うのです。

親として、しつけの意味もあって、当たり前のように自分の子どものおもちゃを貸してあげるのが良いことだと思い込んでいるかと思うのですが、常に貸さないといけない、と思っているとしたら間違いです。

おもちゃというのは、ただの「物」ではない場合があるんです。

触られたくないくらい大事なものだったりすることがあります。「この子にとって、このおもちゃはどういう存在なのか?」と考えて、その気持ちを汲んであげたいなと思っています。

子どもは想いを上手に伝えられない

maroke/Shutterstock.com

自分の子どもに限らず、保育園の園長をしていたときも同じです。クラスのおもちゃの中で、その子がすごく気に入っていて、その子にとって特別な物だと見受けられた場合には、無理矢理それを取り上げるようなことはしないようにしていました。園のおもちゃなので他の子どもたちの順番もありますが、少し配慮をして、言葉がけをしてあげたいな、と……。

なぜそんなふうに思うかというと、大人であれば、拒絶したり抵抗したり、言葉で説明することができますが、幼い子どもの場合は、そういう言葉をまだ持っていません。「なぜそれを大切に思っているのか」という想いをなかなか伝えられない。でも、人の想いというのはそれぞれ違いますから、たとえ小さな子であったとしても、大切にしている気持ちに土足で踏み込んでいくようなことはしたくなかったのです。

そして、その子が「大切に想っているもの」や「想い」を大事にしてあげることで、その子が大きくなったときに、「大切なものは誰にも奪われないし、相手の大切なものも無理矢理取り上げてはいけない」というふうに考えられるようになるのだと思います。

相手を尊重できるようになるには

相手の「想い」に気持ちを向けられるようにするためには、まず「自分の大切なものは守ってもらえるんだ」と思えることが、最初のステップになります。

ですから、おもちゃの取り合いが起きたら、「みんなで使いましょう」「貸してあげましょう」という言葉がけが合っているのか、違うのか、見極めていただきたいんです。

「いやいやこれはいつもと違うな、すごく大切にしてこだわっているな」と思ったら、その気持ちを汲んであげるような言葉がけや場の設定をしてあげて下さい。

そうすると、お子さんの中に、「あ、自分の想いは大切にしてもらえるんだ」という気持ちが芽生えてくるはずです。

そうした気持ちを持てるようになって初めて、自分のことや他人のことを大切にできる子になるのだと思います。

 

話し手/井坂敦子 構成/清野 直

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▼井坂敦子 プロフィール

慶應義塾大学→ 雑誌『オレンジページ』編集部 →公式サイト『オレンジページnet』編集長 →小学校受験対応型保育園園長 →年間約100本の子育てや教育に関する講演会や対談を企画運営  英国留学中高校生女子とボーダーコリー3頭の母

中学校高等学校教諭一種免許状(国語) 保育士 食育カウンセラー 表千家師範

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学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと編集部)

学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと編集部)

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