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「子育てが楽しくなる小さなヒント」⑪ 習い事で得られるものは予測できない

「子育てが楽しくなる小さなヒント」⑪ 習い事で得られるものは予測できない

学研キッズネット編集部と、元保育園園長で現在「花まる子育てカレッジ」のディレクターである井坂敦子さんがタッグを組んで、月・水・金の朝6時に配信している、音声プラットフォーム『Voicy』の番組「コソダテ・ラジオ」。月曜日配信のトークテーマ「子育てが楽しくなる小さなヒント」の内容を、いつでもお読みいただけるように記事化しています。さて、今回は「習い事」に関するお話です。

miya227/Shutterstock.com

娘が突然「ダンスを習いたい」

最近は、日本人でも世界的に活躍されている素晴らしい振付師の方やダンサーの方がいて、ダンスブームですよね。そういう流れもあって、娘が小学生の時に、ダンスを習いたいと言い出して、家の近くのダンス教室に通い始めました。

教室が終わるのを待っていると、子どものクラスでも、みんなすごく踊りが上手で、手足が長く、いまどきの体型。そんなかっこいいお兄さんやお姉さんの中に交じって、小学校3年生の娘も通い出しました。

鏡張りのダンススタジオで踊るので、ほかの子の動きがよく見えます。発表会があると、グループを組んで、いろいろな曲を順番に振り付けして貰ってやるのですが、みんなスラッとしている中、うちの娘は私に似て日本人的な体型……。「みんな上手なのに、自分はいまいちだな」なんて思いながらも、本人は踊るのが好きで、楽しく続けていました。

ニューヨークに行くことに・・・

Luciano Mortula - LGM/Shutterstock.com

それから2年経ち、小学校5年生の夏休みに、縁がありニューヨークでダンスのワークショップに参加することになりました。

全米からダンス好きの子どもたちが集まってきて、一緒に先生に習って、最後に発表会がある、というような夏休みのダンスキャンプのようなものです。

その体験をして戻ってきたあと、娘が一番興奮して話してくれたことがあります。それは、「先生の踊りがすごい」や「ダンススタジオが広くて綺麗」、「アメリカの子たちの踊りがかっこよかった」というようなことではなく、参加メンバーの中の、片腕がない女の子についてでした。

心に残ったことはダンスではない!?

ハンディキャップをものともせず参加している勇気に心を打たれたようですし、仲良くなって一緒にお昼ご飯を食べながらおしゃべりしたときに、こんな話を聞いて感動したようです。

それは、「ハンディキャップのことをどう思っているの?」というような話の中でした。彼女は、「私はユニークな存在なの。みんなは同じように両手がある。だけど私は片手しかない。私だからできるダンス、私だから表現できること、伝えられることがあるんだ」と。それはかっこいいことで、そのユニークさが自分の個性で、自慢に思っている、というようなことを言ったそうなんです。

英語なので、全部を理解できたわけではないかもしれない。だけど、そういうふうなことを言ってくれたと。娘からすると、障がいを持っていることに対して少し可哀想と同情していたのを、ガツンとやられて、「私は私で、これでかっこいい。私がこの姿で踊るからこそ表現できる事がある」と、まだ5年生の11歳の女の子が堂々と言うことにすごく感動して帰ってきました。

さまざまな出会いがその子をつくる

BearFotos/Shutterstock.com

正直、娘が小学校3年生でダンスを習うと言い始めた時は、「ダンスなんか習って何になるの?」と考えたこともありました。ダンサーになれるような体型でもなければ、すごく踊れるようになるとも思えず、勉強しても、ダンスに行って帰ってきたら、忘れてしまうのではないかと心配したり。

でも、娘がそういうことを感じる機会を得られたのは、やっぱりダンスを習っていたおかげかなと思います。その子にとって何が良いことなのかなんてあとになってみないとわからない。想像していたよりも、もっと素敵なことが待っていることもあるんだ、と教えられた気がしました。

ダンス自体、楽しくて今でも続けていますが、何より、そのアメリカで出会った女の子とその後メールのやり取りなどをする中で、苦手だった英語を少しずつ頑張るようになったり、そういう生き方をしている彼女の強さに触れて心の中に火がついたり……。そういうことが人生の豊かさにつながったり、その子の骨格を形作ってくれるのかな、というふうに思います。

ユニークであることや、ジェンダーのことなど、「それぞれがそれぞれに輝いて、自分の強みを活かして生きていくのが素敵なことだよ」と言葉で言うのは簡単ですし、子どもに伝えたいことではありますが、うまく伝わらない事ってありますよね。

友達から学ぶことは本当にたくさんあります。どんな人と出会って、どんな影響を受けていくかというのは、その子が選んで感じ取ることなので、親としては、こうしてほしいと強制することはなかなかできません。

環境を整えたり、そういう場を与えてあげることぐらいしかできませんが、習い始めは「どうかな?」と思っていたダンスも、今では通って良かったと思っています。習い事を始めるときの、何かの参考にしていただければ幸いです。

 

話し手/井坂敦子 構成/清野 直

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▼井坂敦子 プロフィール

慶應義塾大学→ 雑誌『オレンジページ』編集部 →公式サイト『オレンジページnet』編集長 →小学校受験対応型保育園園長 →年間約100本の子育てや教育に関する講演会や対談を企画運営  英国留学中高校生女子とボーダーコリー3頭の母

中学校高等学校教諭一種免許状(国語) 保育士 食育カウンセラー 表千家師範

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学研キッズネット編集部(がっけんきっずねっと編集部)

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